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詩歌句誌面

読解なくして論評あらず。

「石原吉郎歌集『北鎌倉』・同句集『石原吉郎句集』」を読む

       『北鎌倉』

○  今生の水面を垂りて相逢はず藤は他界を逆向きて立つ
○  蹼の膜を啖ひてたじろがぬまなこの奥の狂気しも見よ
○  わが佇つは双基立てる樹のごとき墓碑の剛毅の間とぞ知れ
○  「我れ渇く」無花果の成るもと飢ゑたりし〈彼〉
○  男の子しもロトのごとくにふり向きて塩の柱となることありや
○  「この病ひ死には到らず」発念の道なす途の道の行く果て
○  鎌倉は鎌倉ならじ鎌倉の北の剛毅のいたみともせむ
○  鎌倉に在りてやとほき北の空 星の降る夜を清しとみるや
○  鎌倉の鎌倉なりし日の果てを蹌踉と歩ます酢のままの脚
○  遠景はとほきにありて北を呼ぶ北よりとほき北ありやさらに
○  飢ゑしも餓死には到る過程ならずわれらはときに飢ゑにより樹つ
○  北鎌倉橋ある川に橋ありて橋あれば橋 橋なくば川
○  鎌倉の北の大路の行く果てを直に白刃の立つをば見たり
○  塩のごと思想を口に含みてしをとこはいづれ去りて還らず
○  今生の水面を垂りて相逢はず藤は他界を逆向きて立つ
○  夕暮れの暮れの絶え間をひとしきり 夕べは朝を耐えかねてみよ

   短歌集『北鎌倉』
 短歌集『北鎌倉13』は、1978年に花神社から発行された。石原の死の直前に編集され校定されたが、死後〝石原吉郎遺稿歌集〟として出版された。全体は、「病中詠」「鍔鳴り」「 飲食」「切出し」「創傷」「塩」「北鎌倉」「発念抄」「すべては遠し」「生き霊」の部立てのもとに全部で99首が集録されている。

       『石原吉郎句集』

○   その少女坐れば髪が胡桃の香
○   リスボンはいかなる町ぞ霧の燭
○   無花果や使徒が旅立つひとりづつ
○   懐手蹼(ミズカキ) そこにあるごとく
○   懐手蹼ありといつてみよ
○   縊死者へ撓む子午線 南風のair pocket
○   百一人目の加入者受取る拳銃(コルト)と夏
○   林檎の切口かがやき彼はかならず死ぬ
○   緯度ひとしき政変ヨットかたむき去る
○   独立記念日火夫より不意に火が匂ふ
○   「犬ワハダシダ」もはや嘘をつくまでもない
○   柿の木の下へ正午を射ちおとす
○   夕焼けの壁画を食らふ馬ばかり
○   告発や口笛霧へ射ちこまる
○   薔薇売る自由血を売る自由肩の肉
○   ジャムのごと背に夕焼けをなすらるる
○   夕焼けが棲む髭夜が来て棲む髭
○   立冬や徹底的に塔立たず
○   ハーモニカ二十六穴雁帰る
○   ジャムのごと背に夕焼けをなすらるる
○   けさ開く芥子あり確と見て通る
○   無花果や使徒が旅立つひとりづつ
○   いちご食ふ天使も耳を食ふ悪魔も
○   われおもふゆゑ十字架と葱坊主
○   打ちあげて華麗なるものの降りつぐ
○   死者ねむる眠らば繚乱たる真下
○   墓碑ひとつひとつの影もあざむかず

     『石原吉郎句集』
『石原吉郎句集――附句評論6』は、1974年2月に深夜叢書社から発行されており、「俳句155句」「自句自解」「他人の俳句から」「定型についての覚書」「賭けと poesie」「俳句と〈ものがたり〉について」「あとがき」によって構成されている。  
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今週の「朝日俳壇」より(2020/10/25掲載)  出逢つても黙して顔を下げるだけ!メガロポリスに暮らす侘しさ!  赤い羽 僕の背広に似合はない!そもそも僕は赤が嫌ひだ!  コロナ禍を怖れて窓を閉め切つた寝室での吾が夜長かな!

     長谷川櫂選

○   コロナ死者世界百万秋深む  (山梨県市川三郷町)笠井彰

 三席。
 「<秋深し>では終わらない。もっと深刻化するということ」とは、選者・長谷川氏の寸評。
 昨夜、寝室の空気を入れ替えようとして窓を開けたら、隣りの家から二度も三度も咳をする音が聞えて来たので、これはいけないと思って、慌てて窓を閉めました。
 隣家のご主人は、いつもなら、平日は朝早く革鞄を抱えて出勤して行き、土日には野球のユニフォームを着て何処かのグランドにも出掛けて行くのですが、ここ二、三日は朝になっても姿を見せません。
 もしかしたら、彼は新型コロナウイルスに罹患したのかも知れません。
 もしもそうであったとしたら、私の寝室の窓と隣家の窓との間には、三メートル足らずの間隔しかありませんから、隣家のご主人の心身に住み着いている新型コロナウイルスが、私の寝室に飛んで来るかも知れません。
 仮に、そんな事態に見舞われたとしたら、私も私の連れ合いも新型コロナウイルスに対する抵抗力を備えていない高齢者ですからイチコロです。
 そんな次第で、隣家に面した我が家の窓は、今朝も閉めっ切りの状態なので湿っぽくてたまりません。
 今だから言うけれど、都会での近所付き合いって、なんか煩わしいものですね!
     出逢つても黙して顔を下げるだけ!メガロポリスに暮らす侘しさ!


○   赤い羽根つけて胸から歩き出す  (厚木市)北村純一

 五席。
 「胸から歩き出す」とは、なかなか観察眼が鋭い!
 もう三日経つといよいよ十一月!
 国会で代表質問する立憲民主党の枝野さんの胸には赤い羽根が着いて居ませんでした!
 今日の午後からは、日本共産党の志位さんが代表質問するという事ですが、彼の胸には赤い羽根が着いているでしょうか!
 赤い羽根の共同募金は、自公連立政権が、自らの失政を糊塗する為に遣っているのかも知れませんから、枝野さんも志位さんも、殊更に赤い羽を胸に着けたりして登段しないのかも知れませんね!
     赤い羽 僕の背広に似合はない!そもそも僕は赤が嫌ひだ!


○   博多発五島航路の夜長かな  (長崎県小値賀町)中上庄一郎

 七席。
 前日の23時45分に博多港を出発して、翌日の8時15分に福江港に到着する、博多と福江とを結ぶ定期フェリー「太古」に取材した一首でありましょうか?
 「太古」は博多から福江を結ぶ定期フェリーです。
 大正5年創業以来、野母商船の数多くの船に命名され親しまれてきました。
 中国は北栄時代の詩人『唐庚』による漢詩の一節「静如太古(しずかなることたいこのごとし)」より、悠久の時を湛える海の静謐と、航海の無事への祈りをこめて名づけられました。
 博多から福江を結ぶ定期フェリー「太古」は、ながい長い時を重ねて幾度か生まれかわり、生活物資や人々を運ぶ『かけ橋』として、海とともに生きてきました。それはカタチあるものだけでなく、そこに込められた『息吹』や『想い』のようなもっと深く大きな見えないものも、静かにやさしく包み込むように運んできました。
 どうぞ、海を走る『ゆりかご』のようにやさしい夢を見せてくれるこの太古で、快適な船旅をお楽しみください。
     コロナ禍を怖れて窓を閉め切つた寝室での吾が夜長かな! 

今週の「朝日歌壇」より(2020/10/25掲載)  山峡の駅のホームで待つ合ひ間牡鹿入り来て牝鹿と交尾む!  鷹柱見むと思ひて来しかども鷹は見ずして海鵜見にけり!  石鎚に銀河が注ぐこの宵も君を恋ひをりテントの中で!  吾輩は跳び箱音痴の年寄りで開脚跳びの五段を跳べず!  姉ちゃんのアドバイスも空しくて後ろばっかり視ていたそうすけ!  被災地に首都の機能を移転して官僚どもを転住させよ!  政権が嫌ふからとて必ずしも学者であるとは言へません!  学童のふんどし借りて相撲取り葉書十枚せしめた島田氏!  金沢の男と同棲したりするなんて愚かなことしられんな!  春を告ぐる鶯さへも撃ち殺し焼鳥にして喰つてたもんだ!

     馬場あき子選

○  うたうたう小鳥の重さがひとさじの塩くらいだと知った日の空  (丸亀市)金倉かおる

 首席。
 「10グラムから15グラムくらいの体重の小鳥たちの切ないほどの命を塩の重さでうたったことが心に沁みる」とは、選者・馬場あき子氏の寸評である。
 ところで、私・鳥羽散歩の体重は、日によって多少の違いがあるが、約六十㎏である。
 六十㎏と言えば、昭和三十年代までお米の出荷に使われていた米俵一俵の重さであり、その当時の農家の男衆は、是を両肩に担いで歩いていたものである。
 それなのに、現代社会には「うたうたう小鳥の重さがひとさじの塩くらいだと知った日の空」なんて、まるで我が身のか弱さを誇りにしているような女性が居るなんて、一体全体、日本人は何処までだらしなくなって行くのでありましょうか?
     春を告ぐる鶯さへも撃ち殺し焼鳥にして喰つてたもんだ!


○  仕送りをおろす時浮かぶ母の顔「ムダ使いしられんな」の声も  (富山市)松田わこ

 次席。
 「母の言葉、優しい口調とともにきびしさもある」とは、馬場あき子氏の寸評。
 「ムダ使いしられんな」とは、「ムダ使いをしてはいけない」という意味の富山弁である。
 即ち、富山弁の「○○しれんな」は、「○○」する事を軽く禁止する言い方なのである。
      金沢の男と同棲したりするなんて愚かなことしられんな!


○  ふうせんが九つとんでいきました選者四氏の心の中を  (高松市)島田章平

 三席。
 「10月4日付歌壇のやまぞえそうすけ君の歌に感じての歌」とは、選者・馬場あき子氏の寸評である。
 馬場あき子氏の寸評に曰く「10月4日付歌壇のやまぞえそうすけ君の歌」とは下掲の一首であり、私・鳥羽散歩は、その四選者共選という朝日歌壇史上稀に見る傑作に対して、次の如き戯評(ならぬ愚評)を加えているので合せて記して置きます。

    ふうせんが九つとんでいきましたひきざんはいつもちょっとかなしい  (奈良市)やまぞえそうすけ
 馬場あき子選の三席及び佐佐木幸綱選の九席、高野公彦選の末席、永田和宏選の八席。
 「下句の<かなしい>の発見がすばらしい。大量の風船の喪失感」とは、共選者の一人・馬場あき子氏の寸評である。
 奈良市名物の「山添短歌一家」のご長男の<やまぞえそうすけ>君の出番でありますが、「スーパーの開店記念大売り出しで貰った風船十二個の中の九個がママのうっかりミスで風に吹き飛ばされました。残りの風船は幾つででしょうか?」とは、まさしくも「いつもちょっとかなしい」「ひきざん」でありましょう!
     風船を幾つもくれる売り出しはアフターコロナの昨今は無し!
     引き算はいつも哀しい!今週はみんな揃つて嬉しい入選!

 改めて熟慮してみるに、やまぞえそうすけ君は、今年の夏休み中に、新装成って開店記念大売り出しの運びとなった、さるショッピングモールに足を運んで、やっとの思いで手に入れた風船十二個の中の九個を、お母さんのうっかりミスで失ってしまった事を、悔やんでも悔やんでも悔やみ足りない程にも悔やんだのでありましょう。
 そうした彼の悔しい思いが「ふうせんが九つとんでいきましたひきざんはいつもちょっとかなしい」という、四選者共選の傑作を現出せしめたのであり、「<せっかく手に入れた風船十二個の中の九個を失ってしまった事>=<12-9=3>」と即断して悔やむのは、世知辛い現代社会に生きる者としては極めて当然の事でありましょう。
 然るに、この度、この難問に関わり、新たに香川県高松市にお住いの島田章平さんなる畢生のマジシャンが登場して、彼の引き算を一躍掛け算に変幻せしめたのである。
 即ち、件の四選者共選作に関わる数式は、作者・やまぞえそうすけ君の意図としては「12-9=3」という引き算だったのであるが、是が一旦、彼の畢生のマジシャンこと島田章平氏の手に掛ると「(12-3)×4=36」という、掛け算の数式に早変わりするのである。
 「(12-3)×4=36」!
 即ち、小学一年生・やまぞえそうすけくんは、件の畢生のマジシャン・島田章平氏に御助力を仰いだ結果、当初は十二個に過ぎなかった風船を三十六個に変化させ、それに加えて、郵便葉書を四十枚も手に入れたのである。
 持つべきものは斯道の良き先輩であり、粗略に扱わざるべきものは、高齢者の叡智である!
    学童のふんどし借りて相撲取り葉書十枚せしめた島田氏!

  
○  政権に嫌われてこそ学者なれガレリオカント滝川美濃部  (渋川市)中村幸生

 四席。
 手抜きしないで「ガレリオ・カント・滝川・美濃部」と書きなさいよ!
     政権が嫌ふからとて必ずしも学者であるとは言へません!


○  九年半汚染土袋はまだ積まれ一万二千個の仮死の土あり  (福島市)澤正宏

 五席。
 自民党政権と東京電力と福島県の政治屋とが結託して、彼の地に東京電力の原発を誘致しようと画策していた折りに、福島県民の多くがそれに賛意を示した事や、本気になって反対運動を起さなかった事のツケが、それから半世紀以上も過ぎた今になって回って来たという事ではありませんか!
      被災地に首都の機能を移転して官僚どもを転住させよ!


○  さんかんびおねえちゃんからポイントをおしえてもらううしろをむかない  (奈良市)やまぞえそうすけ

 六席。
 嘘おっしゃい!
 先週の高野公彦選の九席入選作が、「初めての一年生の参観はかわるがわるに子らの振り向く」という作品であり、その作者欄には「奈良市・山添聖子」とありましたよ!
 奈良市の山添聖子さんと言えば君のお母さんでしょう!
 そうすけ君は、お母さんが参観に来てるかとうか気になって、まょろきょろ後ろばっかり視てたんじゃないの!
     姉ちゃんのアドバイスも空しくて後ろばっかり視ていたそうすけ!

 
○  ロケットになったつもりで走り出すへいきゃくとびでとび箱五だん  (奈良市)山添葵

 七席。
 「ロケットになったつもりで走り出す」が、抜群にカッコいい!
 山添短歌姉弟の詠歌レベルは、往年の松田短歌姉妹のそれを凌駕しつつあるような感じである!
     でかした!でかした葵さん!
     閉脚跳び箱五段とは!
     月ロケットにも劣るまい!
     見事でかした葵さん!
         オリンピックに出られるかもね!

     吾輩は跳び箱音痴の年寄りで開脚跳びの五段を跳べず!


○  石鎚に銀河が注ぎ込むを待つ君とカメラと星のテント場  (西条市)丹佳子

 八席。
 「石鎚に銀河が注ぎ込むを待つ」との、上の三句は題材が目新しくて宜しい!
 然しながら、下の二句で「君と+カメラと+星のテント場」と、月並みな語句を連ねて<逃げを打った>のは、あまり宜しくありません。
     石鎚に銀河が注ぐこの宵も君を恋ひをりテントの中で!


○  藤村と芭蕉にゆかし伊良湖岬鷹の渡りを灯台に待つ  (津市)中山道治

 九席。
 「鷹ひとつ見つけてうれし伊良湖岬」とは、貞享4年に俳聖・松尾芭蕉がこの地を訪れた際に詠んだ句であり、伊良湖岬の国道259線沿いの「芭蕉の句碑公園」に句碑が建てられてある。
 また、明治31年(1898)の夏の朝、この地・伊良湖岬の恋路ヶ浜を散歩していた後の民俗学者・柳田国男は椰子の実を見つけました。
 その話を東京に帰ってから友人の詩人・島崎藤村に語ったところ、それを素材として、島崎藤村は、彼の有名な抒情詩「名も知らぬ遠き島より流れよる椰子の実ひとつ・・・」を詠んだとのことである。
 時移り、この抒情詩が発表されてか36年後の昭和11年7月、大中寅二によって曲が付けられました。
     名も知らぬ 遠き島より
     流れ寄る 椰子の実一つ
        故郷の岸を 離れて
        汝はそも 波に幾月
     旧の木は 生いや茂れる
     枝はなお 影をやなせる
        われもまた 渚を枕
        孤身の 浮寝の旅ぞ
     実をとりて 胸にあつれば
     新たなり 流離の憂い
        海の日の 沈むを見れば
        激り落つ 異郷の涙
     思いやる 八重の汐々
     いずれの日にか 国に帰らん

    鷹柱見むと思ひて来しかども鷹は見ずして海鵜見にけり!
     

○  山峡の駅のホームの湾曲に沿ひて牝鹿は歩み去りたり  (ひたちなか市)篠原克彦

 末席。
 「山峡の駅のホームの湾曲に沿ひて」とあるが、件の「駅のホーム」は、両側に山が迫っている谷間の湾曲した地形なりに造られているのであり、その湾曲したホームを、件の「牝鹿」は「歩み」去って行ったのでありましょう。
 無人駅と思しき「山峡の駅のホーム」の静けさと、件の「牝鹿」が駅の構内に侵入してから、湾曲したホームに沿って歩み去るまでの時間の経過をも描いている佳作である。
     山峡の無人駅での待ち時間 牝鹿入り来て線路を歩む!
     山峡の駅のホームで待つ合ひ間牡鹿入り来て牝鹿と交尾む!

今週の「朝日歌壇」より(2020/10/25掲載) 葉の揺れてはつか風ある『午後の庭』永田和宏第十三歌集! 妻と子が「チコちゃんに叱られる」を観てる間に吾は茶の間で放屁一発!  水引の花を見つけて止まるとは凄く優しい中津の女!  凹凸の差が激しくて凸凹な田舎道を雨上がりに行く!  浅野川沿ひの凸凹な朝の道 室生犀星の詩碑ある道!  アベチヤンは○流大学出であるが総理になるべき家柄だつた!  施政方針演説に耳傾くる!同郷の彼なれば切なし傷まし!  外されぬ錠前選びが肝要だ!鼠小僧は金庫破りだ!  答弁は言葉選びが肝要だ!ズーズー弁では通用しない!  次回こそ配偶者欄「あり」にマークせむ国勢調査あと五年のち!  前回は妻を「離別」にマークせしも復縁成りて「あり」にマークす!  前々回妻を「死別」にマークすも再婚すれば「あり」にマークす!  草木萌え心も萌ゆる春は来ぬいざ出で行かむ蕨狩りへと!  原発の炎の消えたる被災地に春は来ぬめり復興成らむ!

     永田和弘選

○  ススキゆれ心もゆるる人の世に自死あることの深きかなしび  (福島市)美原凍子

 首席。
 「芸能人などの自死なども頭にあろうか。韻律で読ませる一首」とは、選者・永田和宏氏の示唆される事が多い寸評。
 上掲の一首(美原凍子さん作)を各句毎にローマ字で書くと、「SUSUKIYURE⇒KOKOROMOYURURU⇒HITONOYONI⇒GISIARUKOTONO⇒HUKAKIKANASIBI」と、母音の<A音>が四個、<I音>が八個、<U音>が八個、<E音>が一個、<O音>音が十個用いられている。
 また、子音は<K音>が七個、<S音>が四個、<T音>が二個、<N音>が四個、<H音>が二個、<Y音>が三個、<R音>が五個、<M音>が一個、<G音>が一個、<B音>が一個用いられている。
 即ち、一句目「すすき」の「SUSU」の繰り返し、そして、一句目から二句目の「すすきゆれこころもゆるる」に含まれる「KOKO」、「YUYU」の繰り返し、「RARURU」というラ行音の繰り返しが韻律を構成して居て、細やかで優しくしめやかな言葉運びとなっているのである。
 それとは別に、ひと言冗談を言わせていただきますと、末尾一句を「深きかなしみ」としないで、殊更に「深きかなしび」としたのは、<元・朝日歌壇の女王>としてのプライドの然らしめるところでありましょうか?
     草木萌え心も萌ゆる春は来ぬいざ出で行かむ蕨狩りへと!
     原発の炎の消えたる被災地に春は来ぬめり復興成らむ!


○  今年より妻を死別にマークする国勢調査 中秋の月  (小金井市)神蔵勇

 次席。
 「そうこんな時に伴侶の居ないことを実感する」とは、選者・永田和宏氏のいかにも実感の籠った寸評である。
 令和二年の今年は「国勢調査」が行われたとしであった。
 時宜の宜しきを得た一首であるが、「中秋の月」という末尾一句の月並みが惜しまれる。
     次回こそ配偶者欄「あり」にマークせむ国勢調査あと五年のち!
     前回は妻を「離別」にマークせしも復縁成りて「あり」にマークす!
     前々回妻を「死別」にマークすも再婚すれば「あり」にマークす!


○  外されない言葉選びがこれからは肝要肝要 そうです本音は  (我孫子市)松村幸一

 三席。
 スタメンから外されないようにする為には「言葉選び」が肝要だとの思いを抱いているのは、読売ジャイアンツの小林誠司捕手である。
 彼は開幕直後の試合での怪我が原因で久しく一軍登録から外れていたのであったが、この八月末頃から怪我と怪我が原因の打撃不振から立ち直り、持ち前の強肩とインサイドワークの良さが買われて、時折り、大城卓三や炭谷銀仁朗に代わって一軍戦にスタメン捕手として起用されるようになっていたのであったが、然しながら、その後、監督やコーチ陣に対する言葉遣いが問題にされて、再び二軍に格下げされる憂き目に遭ったのである。
 この話は勿論冗談であり、彼の再度の二軍落ちはは怪我が治り切っていないのが原因だとか?
      外されぬ錠前選びが肝要だ!鼠小僧は金庫破りだ!
      答弁は言葉選びが肝要だ!ズーズー弁では通用しない!


 ○  役人の人事と委員の「除外」とを同じ次元で見ているような  (海老名市)間藤義教

 四席。
 菅義偉首相が「日本学術会議」の新会員の候補者6人を除外したことについて、6人のうちの1人である宇野重規・東京大教授(政治思想史)は2日、次のようなコメントを発表した。
  この度の件に就いて、私の思うところを述べさせていただきます。
 まず、日本学術会議によって会員に推薦していただいたことに感謝いたします。日本の学術を代表する方々に認めていただき、これ以上の名誉はありません。心より御礼申し上げます。
 一方、この推薦にもかかわらず、内閣によって会員に任命されなかったことについては、特に申し上げることはありません。私としては、これまでと同様、自らの学問的信念に基づいて研究活動を続けていくつもりです。政治学者として、日々の政治の推移について、学問的立場から発言していくことに変わりはありません。
 民主的社会を支える基盤は多様な言論活動です。かつて自由主義思想家のジョン=スチュアート・ミルは、言論の自由が重要である理由を以下のように説明しています。もし少数派の意見が正しいとすれば、それを抑圧すれば、社会は真理への道を自ら閉ざしたことになります。仮に少数派の意見が間違っているとしても、批判がなければ多数派の意見は教条化し、硬直化してしまいます。
 私は日本の民主主義の可能性を信じることを、自らの学問的信条としています。その信条は今回の件によっていささかも揺らぎません。民主的社会の最大の強みは、批判に開かれ、つねに自らを修正していく能力にあります。その能力がこれからも鍛えられ、発展していくことを確信しています。

 さすがに天下の東京大学教授である。
 彼、宇野重規・東大教授は、この度の菅内閣の措置を受け入れているのであり、他の五名の方々とは少し趣きを異にしているのであるが、そうした点が、東大教授たる所以であり、また、頭の固い東大の学生相手に政治思想史を講じる所以でもありましょうか?

 ジャーナリストの青木理氏が11日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜前8・00)に出演。菅義偉首相が日本学術会議の推薦した新会員候補6人の任命を見送ったことについて、次のようにコメントした。
 日本学術会議をめぐっては、政府が行政改革の対象として検証する方針を示し、これに対し、学術会議の山極寿一前会長は、任命拒否問題からの論点ずらしだとの認識を示し「まずは6人を任命拒否した理由を示すべきだ。会議の在り方は別の問題で、分けて考える必要がある」と拒否理由の説明を求めている。
 青木氏は「会議の在り方を見直すんだったら、いくらでも見直せばいいんですよ。ただ、せめて6人の方を何で排除したのかを説明してもらわないと。巷では政権の意向に反するようなことを言っていたからじゃないかと思われてしまう」と指摘。
 そして、「この議論をしている時にネットなんかもそうだし、政権も言ってるんですけど、国費を投入しているから、税金を投入しているから当たり前だみたいなことを言うんだけれど、別に税金、国費って時の政権のものじゃなくて納税者全員のものなわけですよね」と言い、「基本的には多数決で運営していくんだけれども、一方で少数者、時の政権に対して疑問を呈する人とか批判をする人の意見も大切にして運営していかないと、それがある意味、差別とかヘイトは論外なんだけれども、多様性とか社会の進歩っていうものを担保する」と持論を展開。
 その上で「だから6人がなぜ排除されたのかっていうのを最低限、説明して先に行かないと。学術会議の在り方を見直すとかなんとかっていうのは別の話ですよね」と自らの考えを述べた。
      施政方針演説に耳傾くる!同郷の彼なれば切なし傷まし!


○  意に添わぬ人物はずし適切と早くも出づる一強の暴  (高崎市)小島文
 五席。
 「三首目から五首目は、学術会議新会員任命拒否を巡る危機感」とは、選者・永田和宏氏の寸評でありますが、この件に関しては、先日の朝日新聞の夕刊に、「任命拒否反対」の立場に立った永田和宏の論述が掲載されて居たので、茶色ハトロン紙で出来た古新聞袋から、件の記事が掲載されている朝日新聞の夕刊を探し出してお読み下さい。
 本日付けの朝日新聞朝刊の記事に拠れば、日本学術会議会員の問題に就いては、既に2014当時から云々されていたとの事である。
 であるなれば、今回の六名の除外措置は、菅総理個人の判断によって為されたと云うよりも、「安倍晋三内閣が積み残した難問を、私・鳥羽散歩と故郷を同じくする菅義偉新総理が、蛮勇を振るって措置した」というのが、事の真相かと思われる。
 田舎者がまかり間違って総理大臣の椅子にすわったりすると、こういう事態を招くのである。
 総理大臣になる者は、生まれるべき家柄に生れ、出るべき大学を出て置かなけれはならないのでありましょうか!
     アベチヤンは○流大学出であるが総理になるべき家柄だつた!


○  凸凹と凹凸の差を思ひつつ雨の上がりし田舎道行く  (金沢市)前川久宜

 六席。
 金沢市にお住いの本作の作者・前川久宜さんは、「雨の上がりし田舎道」を「行く」に相応しい事を「思いつつ」「雨の上がりし田舎道」を歩いていたのである。
     凹凸の差が激しくて凸凹な田舎道を雨上がりに行く!
     浅野川沿ひの凸凹な朝の道 室生犀星の詩碑ある道!


○  水引の花見つけては立ちどまる墓地へと続く坂の勾配  (中津市)瀬口美子

 七席。
 上りにしろ下りにしろ「勾配」が在っての「坂」ですから、この際の「勾配」は無用でありましょう。
     水引の花を見つけて止まるとは凄く優しい中津の女!


○  妻も子もバラエティー観て笑う間にこっそり拾うごはん数粒  (和泉市)長尾幹也

 八席。
 文脈から推察すると、「ごはん数粒」を「こっそり拾う」のは、「バラエティー観て笑う」「妻」と「子」にようにも読み取れましょう。
     妻と子が「チコちゃんに叱られる」を観てる間に吾は茶の間で放屁一発!


○  硝子戸をのぞけばいつも背表紙が手まねきしていた三月書房  (大和郡山市)四方護

 九席。
 「背表紙」を見ただけでは、タイトルと著者名だけしか分らないではありませんか!
 書物、特に、昨今の詩集や歌集には、表紙に特別な趣向を凝らしている場合が多いようですから、店内に入って、書棚から抜き出してみなければ、その著作の作者の意図するところが判りませんよ!
 「三月書房」の閉店に就いては、先般。、縷々解説させていただきましたので、この度は割愛させていただきます。
     葉の揺れてはつか風ある『午後の庭』永田和宏第十三歌集!

今週の「朝日歌壇」より(2020/10/25掲載)  真金ふく備後三原の独甫師よ極楽浄土で歌詠み給へ!  熊の棲む総理の故郷と東都とは一目瞭然ミッシングリンク!  炎天下BМWに二児放置梯子酒した鬼母も居る!  ハンバーグ捏ねて丸める母を見るだけでは成らぬオンライン授業! 名女優・波乃久里子に愛された「デカ盛り蘭州」本日閉店! 官僚の作文通りに読み上げて施政方針演説なのか? アイメイクしても敵せぬ眼鏡猿!松田梨子さん猿知恵止めろ!  備蓄米食して生きた江戸の民!令和の民は水の備蓄だ!  燈台は船の進路を照らすけど何所も照らさぬ東京大学!

     高野公彦選

○  まかねふく備後三原の独和尚ほとけになりて歌詠みたまえ  (八尾市)水野一也

 首席及び永田選の末席。
 「亡き岡田独甫氏を悼む。どうか泉下で歌をお詠み下さい、と。<まかねふく>は枕詞」とは、選者・高野氏の寸評である。
  「真金吹く吉備の中山帯にせる細谷川の音のさやけさ」という和歌は、『古今和歌集』(歌番号1082)所収の「神遊びの歌」であり、「この哥は承和の御辺の吉備の国の哥」という<左注>を伴っている。
 大阪府八尾市にお住いの本作の作者・水野一也さんは、件の古今和歌集所収の「仁明天皇の大嘗会の時の吉備の国の歌」から「まかねふく」という枕詞を借用して、今は亡き岡田独甫氏への哀悼歌を詠まれたのである。
 それにしても、いくら何でも「独和尚」はありませんよね!
 「独和尚」なんて言ったら、「独りよがりの糞坊主」とか「独り暮らしの欲張り和尚」とかと悪口を言ってるみたいで、今は亡き岡田独甫大和尚に失礼ですからね!
     真金ふく備後三原の独甫師よ極楽浄土で歌詠み給へ!


○  経済とコロナ禍の間のミッシングリンクのやうな東京都知事  (西之表市)島田紘一

 次席。
 「<ミッシングリンク>(失われた環、の意)は、生物の系統上で、現生生物と化石生物を繋ぐべき未発見の化石生物のことである」とは、物知り博士の高野公彦氏としては、イマイチ納得の行かない寸評であります。
 『デジタル大辞泉』の解説に拠ると、「ミッシングリンク」とは、「①生物の進化・系統において、化石生物の存在が予測されるのに発見されていない間隙。系図を鎖に見立てていう。始祖鳥の発見は鳥類と爬虫類との間隙をつなぐ例。失われた環。失われた鎖。② 《①から転じて》分断された鉄道や(高速)道路のこと」であり、「ミッシングリンクを解消して経済の活性化を図る」という用例が示されている。
 なるほど!
 是なら納得が行きます!
 つまり、「鹿児島県の南部、大隅諸島の種子島北部にある市・西之表市」にお住いの本作の作者・島田紘一さんは、彼の厚化粧した、小池百合子・東京都知事閣下は、コロナ禍の解消を図ると同時に経済復興を図る事を念願として居ると口にして居られるが、彼女のそうした念願は、「恰も<ミッシングリンク>の如き存在であり、所詮叶わぬ無駄な抵抗だから止めろ!」と言って居られる訳なんですね!
     熊の棲む総理の故郷と東都とは一目瞭然ミッシングリンク!


○  手をはなせばどこにでも行く幼子は生れたことがこんなにたのしい  (福井市)野原つむぎ

 三席。 
 「生まれたことがこんなにたのしい」とは、あくまでも母親側から見た一方的な願望に過ぎません!
     炎天下BМWに二児放置梯子酒した鬼母も居る!


○  実家でのオンライン授業ハンバーグこねて丸める母を見ながら  (富山市)松田わこ

 四席。
 「ハンバーグこねて丸める母を見ながら」、吾らが短歌才女・松田わこさんは、如何なさっていらっしゃるのありましょうか?
     ハンバーグ捏ねて丸める母を見るだけでは成らぬオンライン授業!


○  淋しいなあ二十五年を今日閉じる中華の店に酢豚を食べる  (京都府)島多尋子

 五席。
 京都府にお住いの本作の作者・島多尋子さんは、「淋しいなあ二十五年を今日閉じる中華の店に酢豚を食べる」などとお詠みになり、通い慣れた「中華の店」の閉店を惜しまれて居られますが、何せ<コロナ不況>の令和二年でありますから、開店以来数十年の伝統も空しく、閉店の憂き目に遭われた「中華の店」は、日本全国各地に在り、去る2020年9月20日9時00分付けの『朝日新聞DIGITAL』には、「銀座が愛したデカ盛り蘭州閉店 松也もタッキーも食べた」というタイトルの下に、次のような記事が掲載されていたので、それをそのまま無断転載させていただきます。

 食欲をかき立てるにおいと豪快な盛り、濃厚な味わいで東京・もあったが、新型コロナウイルスによる売り上げ減で、「今が頃合い」と40年の歴史に幕を閉じた。
 オフィス街にある雑居ビル1階に蘭州が開店したのは1981年。寺尾聰さんが「ルビーの指環」で日本レコード大賞を受賞した年だ。武蔵小山(品川区)の商店街で店を5年間切り盛りしていた冨澤直志さん(70)が、新たな挑戦の地として選んだのが銀座だった。シルクロードの出発点にちなんだ名をつけた5卓20席の店は開業当初から客筋に恵まれた。目の前に日産本社があり、部長が深夜、部下を引き連れ、「ずっと、飾らない店でいてくれよ」と励ましてくれた。近所の料亭の女将から「らんしゅうちゃん、銀座で仕事するなら、出前やらなきゃつぶれるわよ」と商売のコツも教わった。
 丼が冷めない距離に歌舞伎座や新橋演舞場があり、役者や花柳界からもひいきにされた。十八代目中村勘三郎さんの姉、波乃久里子さん(74)も開店以来、「家族のような付き合い」だった。波乃さんは「舞台の中日に、『今日は蘭州よ』と言うと、若手がわっと集まってきて。普段は私の楽屋になんて、誰も寄りつかないのに」。
 尾上松也さん(35)ら歌舞伎役者のほか、ジャニーズ事務所副社長の滝沢秀明さん(38)、俳優の藤山直美さん(61)も蘭州を愛した。波乃さんは「役者は忙しいから時間も大事なの。この時間で、とお願いすると、必ず2分前に届けてくれた。においにつられて、また誰かが頼んで、の繰り返しでした」。
 盛りが大きいのは開店当初から変わらなかった。これは冨澤さんの食事量に合わせた。多い日は1日、米を20升炊いた。十数種類で始めたメニューは、テレビでヒントを得たり、客の注文に合わせたりするうち、「裏」も合わせて100を超えた。休みは日曜日だけ。ぎっくり腰になっても、鍋を振っているうちに治った。「量が多くたって、きれいにたいらげてくれる。それが気持ちよかった」。東日本大震災があった日も出前の注文が相次ぎ、午前2時まで温かい食事を届けた。
 これまで、危機がなかったわけではない。バブル崩壊の時も危なかった。だが、新型コロナはこれまでの、どのピンチとも違った。4月の緊急事態宣言後、来客が激減。在宅勤務の影響か、出前も1日で数件の日もあり、売り上げは3割ほどに落ち込んだ。助成金は得たが、従業員3人と店を守るのは難しかった。「生活するために店を続けてきたが、店を続けるほど、生活が苦しくなっていった」
 ビルの大家は「店を続けたい時期まで続けて」と家賃を減額してくれた。夜10時の閉店後、従業員らとの話し合いを重ね、「来夏の東京五輪までは頑張ろう」という話も出たが、みな年齢は65歳を超えていた。最終的に閉店を決意した。「もともと一代限りって決めていたから。でもね、本当は続けたかったよ」
 ひっそりと閉店するつもりだっ…  (以下、有料記事の為に無料では読めません)
     大企業の役員諸氏にも愛された東京・銀座の「蘭州」閉店!
     名女優・波乃久里子に愛された「デカ盛り蘭州」本日閉店!

 
○   この国の経済成長を支えた金の卵も齢八十  (川崎市)小島敦

 六席。
 昨日・開催された「第203回臨時国会」に於ける菅義偉総理の施政方針演説の全てを以下の通り掲載しますから、何卒、熟読玩味賜りたくお願い申し上げます。
 彼・菅義偉総理大臣閣下は、御自ら「集団就職列車に乗車して上京し、板橋の段ボール工場に就職した……」と仰って居られるとの噂でありますから、それが真実であるとしたら、「この国の経済成長を支えた金の卵も齢七十二にして総理大臣に就任」といった具合になりましょうか!

       【1・はじめに】
 演説に先立ち一言申し上げます。一昨日、宮崎県において高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されました。政府は当日中に、鳥インフルエンザ対策本部を開催し、初動対応を行ったところです。本件も含め、感染拡大の防止など、対応には万全を期してまいります。
 発足から半年、私の内閣は、元気な日本の復活を目指し、「経済」「社会保障」「財政」の一体的強化に全力で取り組んでまいりました。これを推し進めた先に、どのような国を造っていくのか。そのために国政はどうあるべきか。本日は、改めて、私の考えを国民の皆さま、そして国会議員の皆さんに申し上げます。
 私が掲げる国造りの理念、それは、「平成の開国」、「最小不幸社会の実現」、そして「不条理を正す政治」の三つです。変化の時代の真っただ中にあって、世界中が新しい時代を生き抜くにはどうすればよいか模索しています。日本だけが、経済の閉塞(へいそく)、社会の不安にもがいているわけにはいかないのです。現実を冷静に見つめ、内向きの姿勢や従来の固定観念から脱却する。そして、勢いを増すアジアの成長をわが国に取り込み、国際社会と繁栄を共にする新しい公式を見つけ出す。また、社会構造の変化の中で、この国に暮らす幸せの形を描く。今年こそ、こうした国造りに向けかじを切る。私のこの決意の中身を、これから説明致します。
       【2・平成の開国-第1の国造りの理念】
 第1の国造りの理念は、「平成の開国」です。日本は、この150年間に「明治の開国」と「戦後の開国」を成し遂げました。不安定な国際情勢にあって、政治や社会の構造を大きく変革し、創造性あふれる経済活動で難局を乗り切ったのです。私は、これらに続く「第3の開国」に挑みます。過去の開国にはない困難も伴います。経験のない変化。価値観の多様化。その中で、安易に先例や模範を求めても、有効な解は見つかりません。自ら新しい発想と確固たる信念で課題を解決する。その覚悟を持って「平成の開国」に取り組みます。
    (包括的な経済連携の推進)
 開国の具体化は、貿易・投資の自由化、人材交流の円滑化で踏み出します。このため、包括的な経済連携を推進します。経済を開くことは、世界と繁栄を共有する最良の手段です。わが国はそう強く認識し、戦後一貫して実践してきました。この方針に沿って、世界貿易機関(WTO)のドーハ・ラウンド交渉妥結による国際貿易ルールの強化に努めています。一方、この10年、2国間や地域内の経済連携の急増という流れには、大きく乗り遅れてしまいました。そのため、昨年秋のアジア太平洋経済協力会議(APEC)に先立ち、包括的経済連携に関する基本方針を定めました。今年は決断と行動の年です。昨年合意したインド、ペルーとの経済連携協定(EPA)は着実に実施します。また、オーストラリアとの交渉を迅速に進め、韓国、欧州連合(EU)およびモンゴルとのEPA交渉の再開・立ち上げを目指します。さらに、日中韓自由貿易協定の共同研究を進めます。環太平洋連携協定(TPP)は、米国をはじめとする関係国と協議を続け、今年6月をめどに、交渉参加について結論を出します。
    (農林漁業の再生)
 そして、「平成の開国」を実現するため、もう一つの大目標として農林漁業の再生を掲げます。貿易を自由化したら農業は危うい、そんな声があります。私は、そのような二者択一の発想は採りません。過去20年で国内の農業生産は2割減少し、若者の農業離れが進みました。今や農業従事者の平均年齢は66歳に達しています。農林漁業の再生は待ったなしの課題なのです。昨年の視察で夢とやりがいに満ちた農業の現場に接し、私は確信しました。商工業と連携し、6次産業化を図る。あるいは農地集約で大規模化する。こうした取り組みを広げれば、日本でも、若い人たちが参加する農業、豊かな農村生活が可能なのです。
 この目標に向けた政策の柱が、農業者戸別所得補償です。来年度は対象を畑作に拡大し、大規模化の支援を厚くします。また、安全でおいしい日本の食の魅力を海外に発信し、輸出につなげます。中山間地の小規模農家には、多面的機能の発揮の観点から支援を行います。農業だけではありません。林業が中山間地の基幹産業として再生するよう、直接支払制度や人材育成支援を充実させます。漁業の所得補償対策も強化します。そして、内閣の「食と農林漁業の再生実現会議」において集中的に議論を行い、6月を目途に基本方針を、10月を目途に行動計画を策定します。
    (国会における議論の提案)
 われわれは、経済連携の推進と農林漁業の再生が「平成の開国」の突破口となると考え、以上のような方針を定めました。国民の皆さまは、この問題に高い関心を寄せています。自民党は、TPPについて、3月中に党の賛否をはっきりさせる意向を明らかにしています。そうした各党の意見を持ち寄り、この国会で議論を始めようではありませんか。
    (開国を成長と雇用につなげる新成長戦略の実践)
 さらに、この「平成の開国」を成長と雇用につなげるため、新成長戦略の工程表を着実に実施します。既に、前国会の所信表明演説でお約束した政策が決定され、実行に移されています。国内投資促進プログラムを策定し、法人実効税率の5%引き下げを決断しました。中小法人の軽減税率も3%引き下げます。観光立国に向けた医療滞在ビザも、約束した通り創設しました。地球温暖化問題に全力を尽くすため、長年議論された地球温暖化対策のための税の導入を決定しました。再生エネルギーの全量買い取り制度も導入します。鉄道や水、原子力などのパッケージ型海外展開、ハイテク製品に欠かせないレアアース(希土類)の供給源確保は、閣僚による働き掛けで前進しています。
 私自らベトナムの首相に働き掛けた結果、原子力発電施設の海外進出が初めて実現します。米国、韓国、シンガポールとのオープンスカイ協定にも合意しました。こうした行動に産業界も呼応し、10年後の設備投資を約100兆円とする目標が示されました。新事業と雇用を創造する野心的な提案を歓迎します。その実現を後押しするため、大学の基礎研究をはじめ科学技術振興予算を増額します。日本をアジア経済の拠点とするため海外企業誘致も強化します。中小企業金融円滑化法の延長や資金繰り対策など、中小企業支援にも万全を期します。有言実行を一つ一つ仕上げ、今年を日本経済復活に向けた跳躍の年にしていきます。
       【3・最小不幸社会の実現-第2の国造りの理念-】
 次に、「平成の開国」と共に推進する、2番目の国造りの理念について申し上げます。それは、「最小不幸社会の実現」です。失業、病気、貧困、災害、犯罪。「平成の開国」に挑むためにも、こうした不幸の原因を、できる限り小さくしなければなりません。一人ひとりの不幸を放置したままで、日本全体が自信を持って前進することはできないのです。われわれの内閣で、「最小不幸社会の実現」を確実に進めます。
    (雇用対策の推進)
 最も重視するのが雇用です。働くことで、人は「居場所と出番」を見つけることができるのです。特に厳しい状況にある新卒者雇用については、特命チームで対策を練り、全都道府県に新卒応援ハローワークを設置しました。2000人に倍増したジョブサポーターの支援で、昨年12月までに約1万6000人の就職が決定しました。私が会ったジョブサポーターは、「誠心誠意語り合えば、自信を取り戻し、元気になる学生がたくさんいる」と話してくれました。学生の皆さん、ちゅうちょせずに訪ねてみてください。ジョブサポーターがきっと味方になってくれるはずです。企業に対しても、トライアル雇用を増やし、卒業後3年以内を新卒扱いとするよう、働き掛けを強化しています。12月現在、大学新卒予定者の内定率は68.8%にとどまっており、引き続き全力で支援していきます。
 そして、雇用対策全般も一層充実させていきます。一つ目の柱は、雇用を「つなぐ」取り組みです。新卒者支援は、今申し上げた取り組みに加え、中小企業とのマッチングも強化します。また、雇用保険を受給できない方への第2のセーフティーネットとして、職業訓練中に生活支援のための給付を行う求職者支援制度を創設します。
 二つ目は、雇用を「創る」取り組みです。新成長戦略の推進で潜在的需要の大きい医療・介護、子育てや環境分野の雇用創出を図るとともに、企業の雇用増を優遇する雇用促進税制を導入します。そして三つ目は、雇用を「守る」取り組みです。雇用の海外流出を防ぐため、既に雇用効果が出ている低炭素産業の立地支援を拡充します。雇用保険の基本手当の引き上げも行います。これら三つの柱による雇用確保に加え、最低賃金引き上げの影響を受ける中小企業を支援します。労働者派遣法の改正など雇用や収入に不安を抱える非正規労働者の正社員化を進めます。
    (社会保障の充実)
 「最小不幸社会の実現」のために何といっても必要なこと。それは、国民生活の安心の基盤である社会保障をしっかりさせることです。来年度は社会保障予算を5%増加させます。基礎年金の国庫負担割合は、2分の1を維持します。また、年金記録問題の解消に全力を尽くします。医療分野では、医師の偏在解消や、大腸がんの無料検診の開始、乳がん・子宮頸(けい)がんの無料検診の継続を盛り込みました。B型肝炎訴訟における裁判所の所見には前向きに対応し、国民の皆さまのご理解を得ながら早期の和解を目指します。介護分野では、24時間対応のサービスなど、一人暮らしのお年寄りに対する在宅介護を充実させます。子ども・子育て支援は、現金給付と現物支給の両面で強化します。3歳未満の子ども手当は月2万円に増額し、保育や地方独自の子育て支援のため500億円の交付金を新設します。障害者支援サービスは法改正を踏まえて拡大し、今国会には障害者基本法の改正を提案します。また、総合的な障害者福祉制度の導入を検討します。
    (社会保障制度改革の進め方)
 厳しい財政状況ですが、来年度については、このように国民生活を守るための予算を確保できました。公共事業の絞り込みや特別会計の仕分けなど最大限の努力を重ねた結果です。昨年決めた財政健全化の約束も守りました。しかし、こうした努力だけで膨らむ社会保障の財源を確保することには限界が生じています。制度が想定した社会経済状況が大きく変化した今、わが国は社会保障制度を根本的に改革する必要に直面しています。この認識に立ち、内閣と与党は、社会保障制度改革の五つの基本原則をまとめました。第1は、高齢者をしっかり守りながら若者世代への支援も強化する「全世代対応型」の保障です。第2は、子ども・子育て支援による「未来への投資」、第3は地方自治体による「支援型サービス給付」の重視です。第4として、制度や行政の縦割りを越え、サービスを受ける方の視点に立った包括的な支援を挙げました。
 そして第5が、次世代に負担を先送りしない安定的財源の確保です。公正で便利なサービスを提供するため、社会保障と税の共通番号制度の創設も必要です。これら五つの基本原則を具体化し、国民生活の安心を高める。そのためには、国民の皆さまに、ある程度の負担をお願いすることは避けられないと考えます。内閣は、今年6月までに社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示します。国民の皆さまに十分に考えていただくため、検討段階からさまざまな形で議論の内容を発信していきます。
    (国民参加の議論に向けた提案)
 負担の問題は、触れたくない話題かもしれません。負担の議論に当たって、行政の無駄を徹底排除することは当然の前提であります。それに加え、議員定数削減など国会議員も自ら身を切る覚悟を国民に示すことが必要だと考えます。国会で議論し、決定すべき問題であることは言うまでもありません。本日は、一政治家、そして一政党の代表として、この問題を与野党で協議することを提案致します。そうした努力を徹底した上で、今の現実を直視し、どう乗り越えるか、国民の皆さまにも一緒に考えていただきたいのです。1年半前、自公政権下で設置された「安心社会実現会議」は、持続可能な安心社会の構築のため、社会保障給付と負担の在り方について、「与野党が党派を超えて討議と合意形成を進めるべき」と提言しました。
 さらに昨年12月、自民党は、「税制改正についての基本的考え方」において、税制の「抜本改革の検討に当たっては、超党派による円卓会議等を設置し、国民的な合意形成を図る」としています。同じ時期に公明党が発表した「新しい福祉社会ビジョン」の中間取りまとめは、「健全な共助、健全な雇用こそ、福祉の原点」とした上で、充実した「中福祉・中負担」の実現を主張し、制度設計を協議する与野党の「社会保障協議会」の設置を提案しました。問題意識と論点の多くは既に共有されていると思います。国民の皆さまが最も関心を有する課題です。各党が提案する通り、与野党間で議論を始めようではありませんか。経験したことのない少子化・高齢化による生産年齢人口の減少は、かなり前から予測されていました。この大きな課題に対策を講じる責任は、与野党の国会議員全員が負っている。その認識を持って、熟議の国会を実現しましょう。よろしくお願いします。
    (生き生きと暮らせる社会の形成)
 こうして、社会保障の枠組みをしっかり築くとともに、国民の皆さまが生き生きと暮らせる社会の形成に向け、具体策を充実させていきます。子どもたちに夢を実現する力を与えるため、幼保一体化をはじめ子ども・子育て支援と教育を充実させます。小学1年生は、1学級35人以下にします。高校授業料の実質無償化を着実に実施し、奨学金も拡充します。
 女性の積極的な社会参加も応援します。育児などで就労をちゅうちょする女性が200万人います。そこで、内閣の特命チームは、2万6000人に上る待機児童を解消するプロジェクトを用意しました。これに沿って、来年度は、認可外保育施設の補助など、柔軟で多様な保育サービスの整備に200億円を投じます。家庭を持つ女性や子育てを経験した女性が、働く意欲を持って職場に参加する。あるいは、仕事人間だった男性が、家庭に参加する。どちらも得られることがたくさんあります。男女が共同で参画できる社会に向け、職場や家庭の環境を整えていきましょう。
 暮らしの安全強化も重要です。サイバー犯罪や国際犯罪の取り締まり強化、消費者行政の体制強化、さらに防災対策の強化を進めます。また、児童虐待防止に向けた民法改正も提案します。
    (「新しい公共」の推進)
 こうした「最小不幸社会の実現」の担い手として「新しい公共」の推進が欠かせません。苦しいときに支え合うから、喜びも分かち合える。日本社会は、この精神を今日まで培ってきました。そう実感できる活動が最近も広がっています。われわれ永田町や霞が関の住人こそ、公共の範囲を狭く解釈してきた姿勢を改め、こうした活動を積極的に応援すべきではないでしょうか。そこで来年度、認定NPO法人など「新しい公共」の担い手に寄付した場合、これを税額控除の対象とする画期的な制度を導入します。併せて、対象となる認定NPO法人の要件を大幅に緩和します。
       【4・不条理を正す政治 -第3の国造りの理念-】
 「平成の開国」、「最小不幸社会の実現」と並ぶ、私の三つ目の国造りの理念は「不条理を正す政治」です。これは、政治の姿勢に関する理念です。私がかつて薬害エイズ問題に全力で立ち向かった原動力は、理不尽な行政で大変な苦しみが生じている不条理への怒りでした。当時、この問題に共に取り組んだ一人が山本孝史議員でした。山本さんは、カネのかからない選挙を展開して国政に飛び込み、「命を守るのが政治家の仕事」と社会保障問題に一貫して取り組みました。5年前に胸腺がんに襲われた後も、抗がん剤の副作用に耐え、痩せ細った身を削りながら、がん対策基本法、そして自殺対策基本法の成立に尽くしました。党派を超えて信頼を集めた彼の行動力、そして世の中の不条理と徹底的に闘う情熱。私はそれを引き継いでいかなければならない。先月、山本さんの3回目の命日を迎え、決意を新たにしました。
    (特命チームによる不条理の解消)
 この国には見落とされた不条理がまだまだ残っています。一人でも困っている人がいたら、決して見捨てることなく手を差し伸べる。その使命感を抱き、いくつかの特命チームを設置しました。
 成人T細胞白血病(ATL)ウイルス(HTLV-1)対策の特命チームは、この問題が長年解決されていないことを菅付加代子さんをはじめとする患者の皆さまから伺い、直ちに設置しました。その3カ月後、妊婦健診時の検査・相談や治療研究を進める総合対策をまとめることができました。このウイルスが原因の病気と闘う前宮城県知事の浅野史郎さんは、「特命チームに感謝し、闘病に勝利を収めたい」とメッセージを送ってくれました。
 また、硫黄島遺骨帰還の特命チームは、4年前に硫黄島を訪問して以来、温めてきた構想でした。国内であるにもかかわらず、硫黄島には今も1万3000柱ものご遺骨が収容されずに眠っています。そのご帰還は国の責務として進めなければなりません。特命チームが米国で大量の資料を調べ、ご遺族や関係者のご協力をいただいた結果、新たな集団埋葬地を見つけることができました。
    (「社会的孤立」の問題への取り組み)
 そして先週、「社会的孤立」の問題に取り組む特命チームを、現場の実務家も参加して設置しました。「無縁社会」や「孤族」と言われるように、社会から孤立する人が増えています。これが、病気や貧困、年間3万人を超える自殺の背景にもなっています。私は、内閣発足に当たり、誰一人として排除されない社会の実現を誓いました。既に、パーソナル・サポーターの普及や、自殺・うつ対策を強化しています。新しい特命チームでは、改めて孤立の実態と要因を全世代にわたって調査します。そして、孤立した人を温かく包み込む「社会的包摂戦略」を進めます。
    (政治改革の推進)
 国民の皆さまは、政治改革に対して不断の努力を求めています。政治家、そして政党は、この要求に応える責任があります。政治資金の一層の透明化、企業・団体献金の禁止、そして個人寄付促進のための税制改正は、多くの政党が公約に掲げています。与野党がそれぞれの提案を持ち寄って、今度こそ国民が納得する具体的な答えを出そうではありませんか。
       【5・地域主権改革の推進と行政刷新の強化・徹底】
    (地域主権改革の推進)
 以上の国造りの三つの理念を推進する土台、それが内閣の大方針である地域主権改革の推進です。改革は、今年大きく前進します。地域が自由に活用できる一括交付金が創設されます。当初、各省から提出された財源は、わずか28億円でした。これでは地域の夢は実現できません。各閣僚に強く指示し、来年度は5120億円、2012年度は1兆円規模で実施することとなりました。政権交代の大きな成果です。そして、われわれの地域主権改革の最終目標はさらに先にあります。今国会では、基礎自治体への権限移譲や総合特区制度の創設を提案します。国の出先機関は、地方による広域実施体制を整備し、移管していきます。既に、九州や関西で広域連合の取り組みが始まっています。こうした地域発の提案で、地域主権に対する慎重論を吹き飛ばしていきましょう。
    (行政刷新の強化・徹底)
 地域主権改革を進め、そしてまた、「平成の開国」や「最小不幸社会の実現」の具体策を実施するため、政治主導を強化した上で、行政刷新は一段と強化・徹底します。一昨年の政権交代以降、行政刷新、とりわけ無駄の削減には、従来にない規模と熱意で取り組んできました。しかし「もういいだろう」という甘えは許されません。1円の無駄も見逃さない姿勢で、事業仕分けを深化させます。さらに、公務員制度改革や国家公務員の人件費2割削減、天下りや無駄の温床となってきた独立行政法人や公益法人の改革にも取り組みます。また、規制仕分けにより、新たな成長の起爆剤となる規制改革を実現します。マニフェスト(政権公約)の事業については、既に実現したものもありますが、公表から2年を一つの区切りとして、国民の皆さまの声を伺いながら検証していきます。透明で公正な行政に向け、情報公開法改正により「国民の知る権利」の強化を図るとともに、検察改革を進めていきます。
       【6・平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策】
 一方、世界に視点を移せば、国際社会が大きく変化している中、わが国周辺には依然として不確実性・不安定性が存在します。こうした情勢にあって平和と安定を確かなものとするためには、現実主義を基調にして世界の平和創造に能動的に取り組む外交・安全保障政策の推進が不可欠です。
    (日米同盟の深化)
 日米同盟は、わが国の外交・安全保障の基軸であり、アジア太平洋地域のみならず、世界にとっても安定と繁栄のための共有財産です。既に、オバマ大統領とは、安全保障、経済、そして文化・人材交流の3本柱を中心に、日米同盟を深化させることで一致しています。これを踏まえ、今年前半に予定される私の訪米時に、21世紀の日米同盟のビジョンを示したいと思います。また、米国とは、アフガニスタン・パキスタン復興支援など世界の平和をけん引する協力も強化します。
    (沖縄の振興強化と基地負担軽減)
 沖縄には今、若者の活力があふれており、観光の振興や情報通信産業の集積などを通じ、日本で最も成長する可能性を秘めています。その実現を沖縄振興予算で支援するとともに、沖縄に集中する基地負担の軽減に全力を尽くさなければなりません。本土復帰から約40年が過ぎましたが、沖縄だけ負担軽減が遅れていることはざんきに堪えません。昨年末の訪問で沖縄の現状を自ら確かめ、この思いを新たにしました。米国海兵隊のグアム移転計画を着実に実施し、米軍施設区域の返還、訓練の県外移転をさらに進めます。普天間飛行場の移設問題については、昨年5月の日米合意を踏まえ、沖縄の皆さまに誠心誠意説明し、理解を求めながら、危険性の一刻も早い除去に向け最優先で取り組みます。
    (アジア太平洋諸国との関係強化)
 アジア太平洋諸国との関係強化にも努めます。中国の近代化の出発点となった辛亥革命から、今年で100年になります。革命を主導した孫文には、彼を支える多くの日本の友人がいました。来年の日中国交正常化40周年を控え、改めて両国の長い交流の歴史を振り返り、幅広い分野での協力によって戦略的互恵関係を充実させることが重要です。同時に、中国には、国際社会の責任ある一員として建設的な役割を果たすよう求めます。韓国とは、昨年の首相談話を踏まえ、韓国の意向を十分尊重しつつ、安全保障面を含めた協力関係を一層強化し、これからの100年を見据えた未来志向の関係を構築していきます。ロシアとは、資源開発や近代化など経済面での協力、そして、アジア太平洋地域および国際社会における協力を拡大します。一方、北方領土問題を解決して平和条約を締結するとの日ロ関係の基本方針を堅持し、粘り強く交渉していきます。東南アジア諸国連合(ASEAN)、豪州、インドなどとも関係を深め、開かれたネットワークを発展させていきます。
    (欧州・中南米諸国との関係強化)
 基本的価値を共有するパートナーである欧州諸国とは、引き続き緊密に連携します。また、国際社会で存在感を高めるブラジル、メキシコなど新興国をはじめとする中南米諸国とは、資源開発を含む経済分野を中心に関係を深めていきます。
    (北朝鮮)
 北朝鮮に対しては、韓国哨戒艦沈没事件、延坪島砲撃事件やウラン濃縮活動といった挑発的行為を繰り返さないよう強く求める一方、日米韓の連携を強化していきます。わが国は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決を図るとともに、不幸な過去を清算し、国交正常化を追求します。拉致問題については、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現するため、全力を尽くします。
    (平和創造に向けた貢献)
 国際社会が抱えるさまざまな問題の解決にも、世界の不幸を最小化する観点から貢献します。私が協力をお願いした延べ26人の非核特使の皆さんが、被爆体験を語るため世界各国を訪れています。唯一の被爆国として、核軍縮・核不拡散の重要性を引き続き訴えていきます。環境問題、保健・教育分野での協力やアフリカなどの開発途上国に対する支援、包括的な中東和平、テロ対策や国連平和維持活動(PKO)を含む平和維持・平和構築にも、各国と連携して取り組みます。国連改革・安保理改革も主導していきます。
    (防衛力や海上保安の強化)
 現在の日本を取り巻く安全保障環境を踏まえ、昨年末、安全保障と防衛力の在り方に関する新たな指針として「防衛計画の大綱」を決定しました。新大綱では、日本の防衛と並び、世界の平和と安定や、人間の安全保障の確保に貢献することも、安全保障の目標に掲げています。この新大綱に沿って、即応性や機動性などを備え、高度な技術力と情報能力に支えられた動的防衛力の構築に取り組み、いかなる危機にも迅速に対応する体制を整備します。その際、南西地域、島しょ部における対応能力を強化します。また、海上保安強化のため、大型巡視船の更新を早めるなど体制の充実を図ります。海上警察権の強化も検討します。
       【7・結び】
 本日、国会が開会しました。この国会では、来年度予算と関連法案を成立させ、早期のデフレ脱却により、国民の皆さまに安心と活気を届けなければなりません。また、前国会では、郵政改革法案や地球温暖化対策基本法案、日韓図書協定など、残念ながら、多くの法案・条約が廃案や継続審議となりました。これらの法案などについても十分な審議をお願いすることとなります。
 国民の皆さまは、国会に何を期待しているのでしょうか。今の危機を脱し、将来の日本をどう築いていくのか、建設的に議論することを求めていると思います。先送りせず、結論を出すことを求めていると思います。国会質疑や党首討論を通じ、その期待に応えようではありませんか。今度こそ、熟議の国会となるよう、国会議員の皆さんに呼び掛け、私の施政方針演説と致します。
     官僚の作文通りに読み上げて施政方針演説なのか?
                                                
                                       
○  妹のアドバイス聞きメイクする少し冒険したアイメイク  (富山市)松田梨子

 七席及び佐佐木選の四席。
 是も亦、所詮叶わぬ無駄な抵抗の「少し冒険したアイメイク」なのかも知れません!
     アイメイクしても敵せぬ眼鏡猿!松田梨子さん猿知恵止めろ!


○  「船に積んだ水は腐らぬ」を思い出しときどき揺らす備蓄の水を  (東京都)松本知子

 八席。
 それが「生活の知恵」という事でありましょう!
 巷間の噂に拠りますと、北海道や東北・関東・甲信越の水源地の森が、某国人に拠って徐々に買い占められつつある、という事でありますから、私たち日本人が飢え死にしない為には、そうした「生活の知恵」を習得する事が肝要でありましょう。
     備蓄米食して生きた江戸時代!令和の世では備蓄の水だ!


○  ぼくのゆめは東京大学がんばるよがんばるから見ていてねパパ  (藤枝市)石塚文人

 九席。
 本作の内容から判断するに、作中の「パパ」は故人と推察され、静岡県藤枝市にお住いの本作の作者・石塚文人君は、「ぼくのゆめ」は「東京大学」に合格する事、東進ハイスクールに通ったり、模擬試験を受けたりして努力し「がんばるよがんばるから見ていてねパパ」と、遠い天国にましますパパに、自らの切なき思いを訴えているいるように思われます。
     燈台は船の進路を照らすけど何所も照らさぬ東京大学!

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Author:鳥羽散歩
卑しくも<詩歌ブログ>を名乗る以上は、イラストやカラー写真で以て読者に取り入ろうとしてはなりません。ましてや、田舎町の安手のレストランで食べた料理のカラー写真で以て読者を幻惑させようとするのは論外です!当ブログは、カラー写真やイラストの類の夾雑物は一切無しの<詩歌ブログ>です。

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