FC2ブログ

詩歌句誌面

読解なくして論評あらず。

今週の「朝日俳壇」より(2021/2/21掲載)  初版!出血覚悟の大後悔!

     高山れおな選

〇   たてよこに鳥たわむれる冬木立  (長崎市)下道信雄

 首席。
 「枯木寒鴉など古来の着眼に類するが『たてよこに』でモダンに。桂信子に<たてよこに富士伸びてゐる夏野かな>」とは、選者・高山れおな氏の寸評である。
 掲句を掴まえて「枯木寒鴉など古来の着眼に類するが」と断言するところに高山れおな氏の高山れおな氏たる所以が在る!
     カステラを縦横に切り八等分一切れ食べて残りは後日!


〇   絨毯に優しき人の在りし跡  (新庄市)三浦大三

 次席。
 「故人の家を訪ねての感慨か。詠み口自体も優しい」とは、選者・高山れおな氏の寸評である。
 件の「絨毯」の何処にも井丹凹みが認められないのは、亡き人のお尻が殊の外に小さかったからなのかも知れません!
      殊の外お尻のデカい女ゆゑ凹みの目立つ形見の絨毯!


〇   溜席の美人佐保姫かも知れず  (伊丹市)保理江順子

 三席。
 「先日の初場所の景との事」とは、選者・高山れおな氏の寸評である。
      「相撲中継に映り込む<謎の美女>にネット上は大盛り上がり」!!
 白鵬、鶴竜の両横綱をはじめ、初日から関取16人が休場という異常事態で始まった大相撲初場所。10日目には綱取り場所だった大関・貴景勝まで左足首のケガで休場し、相撲協会は終盤の取組編成に苦労した。大関・正代と前頭・大栄翔と正代の優勝争いは千秋楽までもつれる展開になったとはいえ、見せ場は極めて少ない土俵になってしまった。そんな中、「土俵の外」で話題を集めていたのが、NHKの大相撲中継で向正面の東花道脇(テレビ画面では左上隅)に映り込む、背筋をピンと伸ばした女性だった。
 新型コロナ対策で観客がまばらな溜席の同じ位置、それも先場所から「皆勤」。凛とした佇まいもあいまって、相撲ファンの目に止まった。
 ネット上では、〈毎日同じ場所で観戦している姿勢の良いマスク女性は誰だ〉〈溜席のワンピースの正座女性〉と話題になり、「有名歌手Kの知人のモデル」「大物タニマチTが持っている席だ」などの具体的な書き込みもあった。
 白やピンクのロングワンピース、フレアトップス、プリーツスカートなど、日替わりの清楚系ファッションで、傍らに置かれた高級そうなバックも服装に合わせているのか毎日異なる。14日目となった23日は、白地に花柄をあしらった華やかなワンピース姿だった。
 そして、ネット上では「溜席の妖精」なる呼び名もついた。
 テレビ画面越しだけでなく、国技館で取材する相撲担当記者の間でも初場所序盤から話題になったが、彼女が何者なのかは謎のまま。場内警備を担当する若手親方に聞いてみたが、「いろんな知り合いから聞かれるけど、俺もわからないんだ。親方衆の間でも話題になっているんだけどね」というばかり。
 中日頃には「貴景勝の後援会のメンバーでは」という情報も流れたが、貴景勝の休場後も現われたことで”デマ”と判明した。
 彼女が連日座っている溜席は、「(今場所はコロナ対策で座席数制限を設けており)ネットやプレイガイドでは売り出されない、茶屋の常連客や親方が優先的に使用できる席のひとつです。協会や相撲部屋にそれなりに顔がきかないと、15日間通しで座ることはできないはず。また向正面は必ずテレビに映り込むので、視聴者の目にとまりやすいことはご本人も分かっているとは思います」(若手親方)とのこと。
 13日目の打ち出し後、帰路につく彼女に国技館前で話を聞いてみた。観客が一斉に出てくる中でも、清楚な雰囲気と特徴的な服装でひときわ目を引く。意外だったのは、溜席では背筋をピンと伸ばしているので長身に見えたが、どちらかというと小柄なタイプだったことだ。声をかけると、涼し気な笑顔で会釈してくれた。
 ──テレビ中継で東花道に毎日映る女性として話題になっていますが、お話を伺えませんでしょうか。
 「私は一般人なので…(再び軽く会釈)」
 ──どちらかの部屋の後援会の方でしょうか。
 「私ではなく、家族ですね」
 ──どの関取のファンなのか、聞かせてもらえませんか?
 「いえ、一般人なので…」
 そう言ってもう一度軽く会釈し、両国駅前のタクシー乗り場から乗り込んでいった。
 その後、協会関係者に取材を進めると「二所ノ関一門のある親方がお世話になったタニマチのお嬢さんだと聞いています。それ以上は話せません」ということだった。
 休場力士が相次ぐ中、皆勤を続けた「溜席の妖精」。相撲中継の視聴率にも貢献した(?)のだから、協会は「殊勲賞」として彼女を表彰してもいいのでは。
     マスク取り素顔顕はれ驚きぬ妖精ならぬ醜の御楯だ!


〇   暗いなあと外野手の声つちぐもり  (越谷市)新井高四郎

 四席。
 「外野手」とあるから、ベイスターズからFAでジャイアンツに移籍した梶谷隆幸選手なのかな、と思ったりもしましたが、いくら顔も口も育ちも悪い彼だって、紳士球団の巨人軍の一員となったからには、そんな不満めいたことは言ってられません!
 察するに、件の「外野手」が「暗いなあ!」と愚痴を零したのは、先々週の土曜日に川口市の青木町公園総合運動野球場で行われた草野球の試合での出来事だったのかも知れませんね!
     霾るや「暗いぢやんか!」と呟きて松原聖弥外野に走る!
 

〇   手袋を嵌め煮詰まつてくる答  (東京都)望月清彦

 五席。
 「手袋を嵌め」ると、何故か膠着状態に陥っていた商談も「煮詰まつていくる」から不思議なものですね!
 但し、同じ手袋と言っても「軍手」ではいけませんよ!
 最低でもブランド品の革手!
 出来得れば、「ポロ・ラルフローレン」ぐらいは嵌めてみたいものですね!
     ヘマをして小指三寸詰めたから革手嵌めてもサマにならない!


〇   下萌や生きよと言はれゐるやうな  (高山市)島尻順子

 六席。
 何しろ寒風吹き荒ぶ裏日本の凍土を突き破って姿を現わすんですから、その顕示欲たるや橋本聖子さんのそれに百層倍するものなのかも知れません!
 私・鳥羽散歩は、裏日本の野菜どころに生まれ育ったものですから下萌えした雑草の新芽は勿論の事、例え山菜であろうとも、コゴミだとか、カタクリの花だとか、薊の薹だとか、蕗の薹だとかの食べて美味しくないものは食べません。
そうそう、たったの今、思い出したばかりでありますが、私が<>

下萌の大盤石をもたげたる/高浜虚子
下萌のいたく踏まれて御開帳/芝不器男
相模ノ国国分寺址下萌ゆる 塩田博久
建仁寺八百年の下萌ゆる 宮崎正
南朝の風吹く史跡下萌ゆる 林和子
下萌や引込線の鉄路錆ぶ 石黒興平
下萌の日ごと広がる土手の道 後藤克彦
下萌の荒れ野斜めに過ぎりけり 山本無蓋
下萌や歩幅大きく測量士 佐々木よし子
妻の座の長き月日や下萌ゆる/川口咲子




〇   冒険の赤のセーター落ち着かず  (香川県琴平町)三宅久美子

 七席。

〇  知らんけど推すアイドルが推すおでん  (安曇野市)望月信彦

 末席。           
スポンサーサイト



今週の「朝日俳壇」より(2021/2/21掲載)  毎日更新!訂正版!

     長谷川櫂選

〇   心から笑へる春を待ちにけり  (伊万里市)松尾肇子

 首席。
 「ほんとうに来るのだろうか。昔のような春が」とは、選者・長谷川櫂氏の寸評でありますが、選者の仰る「昔春」は、私たち庶民が、本当に心の底から「笑へる」ような「春」だったのでありましょうか!
 このコロナ禍の中で<東京オリパラ>を強行しようとしている現状だとか、菅内閣がコロナ禍からの脱却よりも<経済を回す>事を優先する政策を断行している現状だとか、著名な男性が目前に現れると無暗矢鱈に抱き付いて行ったり接吻する事を強要するような人物が<東京オリパラ大会組織委員会>の会長に就任している現状だとか、自分の息子と他人の息子との区別もつかないような人物が内閣総理大臣に就任して威張っているような現状だとかに就いて少し真面目に考えてみれば、私たち良識ある庶民にとっては、今年の春だって笑って遣り過ごすしか術の無い春なのかも知れませんよ!
     日本語も碌にしやべれぬ分際が何語でしやべる国際会議!


〇   人日のいよゝ離るゝ人と人  (富士見市)阿部泰夫

 次席。
 「正月七日は人の日。今年はこんなぐあい」とは、選者・長谷川櫂氏の寸評でありますが、「こんなぐあい」を具体的に説明すると、「不要不急・三密・社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)」という事になりましょうか!
      来年もこんな具合の暮らしなら国債売つて腹を満たさむ!
 

〇   セクシーとほめられてゐる狩の犬  (栃木県壬生町)あらゐひとし

 九席。
 察するに、件の「狩の犬」は陽物が殊の外に巨大であったのでありましょう!
    殊の外チンポのでかい犬だから<セクシーわんこ>と持て囃されつ!

今週の「朝日俳壇」より(2021/2/21掲載)  改訂版出来!出血覚悟の大後悔!

     大串章選

〇   風の中明日へ明日へと冬木の芽  (合志市)坂田美代子

 四席。
 斯くして季節は、冬から春へとそよりそよりと動いて行くのでありましょう。


〇   梅林を上り梅林を見下ろせり

 八席。
 越生梅林吟行に取材した一句でありましょうか?
 「越生梅林」は東武東上線越生駅からバス15分、関越自動車道鶴ヶ島ICから30分の距離に在り、1000本余りの紅梅・白梅が咲き誇り、三月上旬から中旬頃までが梅花の見頃である!      

今週の「朝日俳壇」より(2021/2/21掲載)  出血は覚悟の上だ!

     稲畑汀子選

〇   冬帝や災ひ治め去り給へ  (東京都)河野昭彦

 首席。
 「冬帝は、冬をつかさどる神という。世界中をおびやかす災いに対しての、作者の心からの願いの句である」とは、選者・稲畑汀子氏の寸評でありますが、朝日俳壇へ投稿し、あわよくば首席入選を果たさんとする世の俳人たちにとっては、コロナ禍や大震災などは、絶好にして格好の句材なのであり、当然の事ながら類想句が数多投稿されることが予測されるから、例えば、コロナ禍をテーマにして詠む場合でも、他の投稿者の方々の作品とは趣向を変えて、新味のある作品に仕立て上げなければなりません。
 本作の作者・河野昭彦さんの場合は、彼の胸中に「冬帝」という漢和辞典に出て来る単語が浮かんだ瞬間に、稲畑汀子選の入選が決定付けられたのである、と言っても決して過言ではありません!


〇   吾が余生真ん中あたり日向ぼこ  (神戸市)岸田健

 次席。
 「日向ぼこをしながら自分を振り返る。余生の真ん中とは妙」とは、選者・稲畑汀子氏の寸評である。
     もう止せよ!コロナ退治が大切だ!嘘で固めた東京オリパラ!


〇   一羽てふことのなかりし寒雀  (横浜市)小川龍雄

 三席。
 「寒雀に寄せる作者の温かな情」とは、選者・稲畑汀子氏の寸評である。
 試みに「一羽てふことのなかりし群雀」と改作してみましたが、原作よりはずっとずっと面白い句になったような気がしますが、本ブログの読者の方々に於かれましては如何お思いでありましょうか(笑)!
 冗談は兎も角として、「なかりし」の「し」は、<自らが体験した過去の出来事を回想して述べる>際に用いられる助動詞「き」の連体形であるから、厳密な事を言うと、横浜市にお住いの掲句の作者・小川龍雄さんが、件の「寒雀」を実見したのは過去の出来事、という事になりましょう!
 私が思うに、掲句が、朝日俳壇の入選句に相応しい佳作として称揚されるとしたならば、それは「電線や冬木立に寒雀が群れを成して止まっている光景を眼前にして、『寒雀ってヤツは一羽で止まってるってことがなく、必ず群れを成して止まってるんだな!』と作者ご自身が実見し、感動した事を述べた場合、則ち現在進行形の作品の場合に限られましょう!
 従って、原句は「群成していつも止まるや寒雀」などと改作されなければなりません! 
          ♪電線にスズメが三羽止まってた!
           それを猟師が鉄砲で撃ってさ!
           煮てさ焼いてさ食ってさ!
           よ~い!よ~い!よ~い!よい!
           おっとっとと!     『デンセンマンの電線音頭』
                           作詞:田村隆/作曲:不詳/編曲:東海林修 
     電線にイロハニホヘと並び居る吹き矢で落とし焼き鳥にせむ!


〇   幾度も胼の十指を消毒す  (泉大津市)多田羅初美

 六席。
 正岡子規作の「いくたびも雪の深さを尋ねけり」を脳裏に置いての一句であるが、世上に「罅胼(ひびあかぎれ)に効く塗り薬」という、昔ながらのコピーが在りますが、通常「胼」は「あかぎれ」と読み「ひび」とは読みません!
     殊更に「胼」の字を「ひび」などと読ませる必要いずこに在りや?


〇   遠目にも紅梅放つ色仄と  (大阪市)友井正明

 八席。
 高浜虚子作に「白牡丹といふといへども紅ほのか」という名句が在るが、大阪市にお住いの友井正明さん作の本句の場合は、「紅梅放つ色仄か」であり、作者には、「遠目」からの確認ではありますが、「紅梅」が「紅梅」として認識されているのであり、それを今更「色仄か」などと言い直しても訂正する事は出来ません!
     BSの話題出たのか出ないのか今となつては記憶には無し!
 「紅梅といふと言へどもいろ仄か」

今週の「朝日俳壇」より(2021/2/14掲載)

     高山れおな選

〇   冴ゆる夜の机上に残る季語ひとつ  (柏市)田頭玲子

 首席。
 「加藤郁乎に<切株やあるくぎんなんぎんのよる>。田頭さんの句も或る苦吟難吟の銀の夜の景と読んでおきたい。苦しくも楽しいのだ」とは、選者・高山れおな氏の寸評である。
 「冴ゆる」を用いた、先輩諸賢の冬の俳句を以下に列挙させて頂きます(但し、<冴ゆる>が季語として用いられているとは限りません)。

       旧兵舎裸電球冴ゆるかな  水原春郎
       口下手の兄の留守電冴えにけり  関口昌代
       格子戸もすべて黒塗り酢倉冴ゆ  上原瑞子
       詩人伝一夜いのちの冴えにけり  大串章
       熊逃げし森に満月冴えにけり 大串章
       冴え返るもののひとつに夜の鼻  加藤楸邨
       霜柱余命を賭けし一誌冴ゆ  小林康治
       葛城や夜の念仏の鉦冴ゆる  有馬朗人
       冴ゆる灯や獄出ても誦む東歌  秋元不死男
       渦笑窪消え水鏡寡婦に冴ゆ  香西照雄
       詩は怒余寒緑を冴えしめて  香西照雄
       繊月の艶の冴えゆく冬隣  小池文子
       一病冴ゆ五年刻みに生きて来て  北野民夫
       鮒忠の灯と並び冴ゆ通夜の灯  石原八束
       人去りて電燈冴える廣間かな  会津八一
       安曇野に冴ゆる灯数や小正月  鳥羽とほる
       不惜身命天へ高々四肢冴ゆる  渡辺恭子
       冴ゆるのみの庵も柊挿しにけり  中島月笠
       合掌の家霊冴えをり家郷捨つ  石原八束
       十二月八日の冴えに退りけり  渡邊水巴
       山月に冴えて聾ひたる耳二つ  飯田蛇笏
       柊家の忍返しに月冴え来  京極杞陽
       寒月やいよいよ冴えて風の声  永井荷風
       奥穂高冴えたり星座遠ざけて  澤田緑生
       島忠のベッドの発条の冴ゆる哉  鳥羽散歩


〇   豪勢に白息のひと坂より来  (福山市)高垣光利

 次席。
 「白息の形容に豪勢とは豪勢だ」とは、選者・高山れおな氏の寸評である。
 「白息」を吐くのにも「豪勢」と否との区別が在るんですね!
     白息を豪勢に吐く男にて安藤坂を下駄履き下る!
     豪勢に白い息はく娘にて銀座八丁裸足で通る!
 

〇   煮返しのおでんのごとく老いにけり  (みよし市)稲垣長

 三席。
 「しかし、必ずしも不味いわけではない」とは、井上お伝通の選者・高山れおな氏の寸評である。
 それはそうかも知れませんが、二度も三度も煮返したお伝は色黒で且つ塩辛く、私は必ずしも好きとは言えません!
      煮返しの汚点を更に煮返して菅内閣はいつまで続く!


〇   冬の星父に銃創ありしこと  (栃木県高根沢町)大塚好雄

 四席。
 今は亡き父の左脚の腿の銃創は、「冬の星」のように薄っすらと蒼い色のそれであったのかも知れませんね!
     上腕の二頭筋をば鍛へしもバランス崩れ撃てぬ二塁打!


〇   偕老同穴のごとく蒲団かな  (浜松市)佐藤高行

 末席。
 「偕老同穴のごとく蒲団」とは、今風な化繊綿を詰めた蒲団では無くて、仕立てて以来、何回も打ち直した木綿の綿を詰めて仕立て直しを繰り返した古い蒲団でありましょう!

 時雄は雪の深い十五里の山道と雪に埋れた山中の田舎町とを思い遣った。別れた後そのままにして置いた二階に上った。懐かしさ、恋しさの余り、微かに残ったその人の面影を偲ぼうと思ったのである。武蔵野の寒い風の盛んに吹く日で、裏の古樹には潮の鳴るような音が凄まじく聞えた。別れた日のように東の窓の雨戸を一枚明けると、光線は流るるように射し込んだ。机、本箱、罎、紅皿、依然として元のままで、恋しい人はいつもの様に学校に行っているのではないかと思われる。時雄は机の抽斗を明けてみた。古い油の染みたリボンがその中に捨ててあった。時雄はそれを取って匂いを嗅いだ。暫らくして立上って襖を明けてみた。大きな柳行李が三箇細引で送るばかりに絡げてあって、その向うに、芳子が常に用いていた蒲団――萌黄唐草の敷蒲団と、線の厚く入った同じ模様の夜着とが重ねられてあった。時雄はそれを引出した。女のなつかしい油の匂いと汗のにおいとが言いも知らず時雄の胸をときめかした。夜着の襟の天鵞絨の際立って汚れているのに顔を押附けて、心のゆくばかりなつかしい女の匂いを嗅いだ。
 性慾と悲哀と絶望とがたちまち時雄の胸を襲った。時雄はその蒲団を敷き、夜着をかけ、冷たい汚れた天鵞絨の襟に顔を埋めて泣いた。
 薄暗い一室、戸外には風が吹暴れていた。   (田山花袋『蒲団』より)
     古綿の打ち直し業営めば屋号は「綿屋」の婆さんケチだ!
     「綿屋」こと長里さんの家付き娘の礼子さん婿取つて早死に!

 | HOME |  古い記事へ »

文字サイズの変更

プロフィール

鳥羽散歩

Author:鳥羽散歩
卑しくも<詩歌ブログ>を名乗る以上は、イラストやカラー写真で以て読者に取り入ろうとしてはなりません。ましてや、田舎町の安手のレストランで食べた料理のカラー写真で以て読者を幻惑させようとするのは論外です!当ブログは、カラー写真やイラストの類の夾雑物は一切無しの<詩歌ブログ>です。

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

短歌 (867)
俳句 (339)
随想 (25)
詩 (8)
川柳 (18)
「朝日新聞」を読む (6)
昨日のトピック (1)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

designed by たけやん