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category: 詩

あさよみ

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       空蟬   作詩・作曲:さだまさし     名も知らぬ駅の待合室で     僕の前には年老いた夫婦     足元に力無く寝そべった     仔犬だけを現世(うつせみ)の道連れに     小さな肩寄せ合って     古新聞からおむすび     灰の中の埋火おこすように     頼りない互いのぬくもり抱いて     昔ずっと昔熱い恋があって     守り通したふたり     いくつもの物語...

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あさよみ

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     鎮魂歌     木原孝一     弟よ おまえのほうからはよく見えるだろう  こちらからは 何も見えない昭和三年 春弟よ おまえの二回目の誕生日にキャッチボオルの硬球がそれておまえのやわらかい大脳にあたったそれはどこか未来のある一瞬からはね返ったのだ泣き叫ぶおまえにはそのとき 何が起こったのかわからなかった  一九二八年  世界の中心からそれたボオルが  ひとりの支那の将軍を暗殺した そ...

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千曲川  津村信夫

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     千曲川その橋は、まこと、ながかりきと旅終はりては、人にも告げむ、雨ながら我が見しものは、戸倉の燈か、上山田の温泉か、若き日よ、橋を渡りて、千曲川、汝が水は冷たからむと、忘るべきは、すべて忘れはてにき。 ...

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「丸山薫詩集『帆・ランプ・鷗』」より

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    翼 鷗は窓から駆けこんで 小屋のランプを微塵にして そのまま闇に氣を失つた かつては希望であつたらう 潮に汚れた翼が いまは後悔のやうに華麗に匂つてゐる    挿 話 蝙蝠が帆に巻き込まれ 帆は帆桁(ヤード)に括られたまま 風が出なかつたので いつまでも展らかなかつた ──あれからどうしたらう? 舷燈(ランプ)がそんな獨り言を言つた    闇 ランプを闇に點すと ランプは叫んだ ──むかふの闇...

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「長田弘作『花を持って、会いにゆく』」鑑賞

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         『花を持って、会いにゆく』      長田 弘              春の日、あなたに会いにゆく。              あなたは、なくなった人である。              どこにもいない人である。              どこにもいない人に会いにゆく。              きれいな水と、              きれいな花を、手に持って。        ...

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