fc2ブログ

archive: 2018年01月

「石田比呂志歌集『冬湖』」を読む(そのⅢ)奔放初演!本日払暁しめやかに後悔!

No image

〇  波瀾あれ波瀾あらすなカレンダー壁に残年卜して吊るす 「波瀾あれ」とは、あくまでも捨て鉢な生き方をしている作者の僻み根性が言わせたものであり、「波瀾あらすな」が本音なのである。それにしても、「残年」を卜したカレンダーを壁に吊るすとは、如何に無頼派とは言え、あまりにも傷ましいことである。〇  あらたまの雪の白妙踏みて行く足に汚るる雪もあるべし 「あらたまの」は、本来「年・月・日」などに係る枕詞で...

  • 0
  • -

「石田比呂志歌集『冬湖』」を読む(そのⅡ)奔放所詮孤立無援!本日憂国大後悔!

No image

〇  苦虫という名の虫を踏み潰し曲る街角ふっと秋風〇  泥濘を踏みて行きたる足跡にああ傍流の哀愁が見ゆ〇  流れ星いくつ浮かべてその底いに暗く水湛えおり〇  起上り小法師畳に転がして日はまだ高いやり直そうか〇  畔草の草ひとところ窪みいて人の坐りし優しさが見ゆ 連作「泥濘」からの抜粋六句の中には、あちらこちらと作者・石田比呂志の優柔不断さが見受けられる。 即ち、「苦虫という名の虫を踏み潰し曲る街角...

  • 0
  • -

「石田比呂志歌集『冬湖』」を読む  奔放初演!今暁、堂々と大後悔!

No image

 最前から私は今週の「朝日歌壇」所収作品の論評を試みていたのであるが、困ったことに書き掛けの評文が殆ど擱筆間際に突如として消滅してしまったのである。 しかも、そうした怪事は、今朝来、前後三回にも及んでいるのである。 察するに、その原因は、件の文中に、ある必要が生じて「平安時代の幻の呪術師・芦屋道満」を登場させた点にあろうかと思われる。 この難局を克服して行く為には、同じ平安時代の呪術師でも彼の芦屋...

  • 0
  • -

「茨木のり子詩集『自分感受性くらい』」より

No image

     「廃屋」     茨木のり子 人が 棲まなくなると 家は たちまちに蚕食される 何者かの手によって 待ってました! とばかりに つるばらは伸び放題 樹々はふてくされて いやらしく繁茂 ふしぎなことに柱さえ はや投げの表情だ 頑丈そうにみえた木戸 ひきちぎられ あっというまに草ぼうぼう 温気にむれ 魑魅魍魎をひきつれて 何者かの手荒く占領する気配   戸さえなく 吹きさらしの 囲炉裏の在り...

  • 0
  • -

「茨木のり子詩集『自分感受性くらい』」より

No image

   「青梅街道」   茨木のり子 内藤新宿より青梅まで 直として通ずるならむ青梅街道 馬糞のかわりに排気ガス ひきもきらずに連なれり 刻を争い血走りしてハンドル握る者たちは けさつかた がばと跳起き顔洗いたるや ぐずぐずと絆創膏はがすごとくに床離れたる    くるみ洋紙店    東洋合板    北の譽    丸井クレジット    竹春生コン    あけぼのパン 街道の一点にバス待つと佇めば あま...

  • 0
  • -

「工藤直子詩集『じぶんのための子守歌』」より(少しばかりの感想でごめんなさい!)

No image

     「ほたる誕生」  工藤直子 はつなつ みどりの風がふき ゆうやみ 水辺をつつむとき 草の葉に つかまって ほたるが つぶやいている   ・・・・・・・・ すこしまえまで つちのなか 「わすれもの」を した気分 「さがしもの」を する気分 そこでとにかく しゅっぱつだ ひとりぼっちで しゅっぱつだ 風になでられ やみにつつまれ 気がつくと光を抱いていた きっと ここだ 「わすれもの」は ま...

  • 0
  • -

「工藤直子詩集『じぶんのための子守歌』」より(お願いだから仲間外れにしないでね!)

No image

    「花マルで待つ」   工藤直子  電話を見ると  電話もわたしを じっと見ている  祈るように電話をみるものだから  電話がもじもじしているではないか  (「待つ」って こういうことなのね)  窓のそとでシャンシャン鳴くセミ・カレシたちは  声をかぎりに セミ・カノジョを「待って」いるし  台所の流しに突っ立っているコップは  早くジュースでもやってこんかい と  クチをまるくあけて「待っ...

  • 0
  • -

「斎藤茂吉作『白き山』抄・そのⅡ」(鳥羽散歩選)

No image

(396)短歌ほろべ短歌ほろべといふ聲す明治末期のごとくひびきて(398)黑どりの鴉が啼けばおのづからほかの鳥啼く春とはなりぬ(399)三月の空をおもひて居りたるが三月になり雪ぞみだるる(410)鎌倉に梅さきたりと告げ來しをしばらく吾はおもひつつ居り(418)名残とはかくのごときか鹽からき魚の眼玉をねぶり居りける(421)遠く去りし物のごとくにおもほゆる明治時代の單舎利別も(426)やうやくに病は癒えて最上川の寒の鮒食むもえにしと...

  • 0
  • -

「斎藤茂吉作『白き山』抄・そのⅠ」(鳥羽散歩選)

No image

(001)蔵王より離りてくれば平らけき國の眞中に雪のふる見ゆ(014)しづかなる空にもあるか春雲のたなびく極み鳥海が見ゆ(028)夜半にして涙ながるることあれど受難の涙といふにはあらず(029)しづけさは斯くのごときか冬の夜のわれをめぐれる空氣の音す(030)あまづたふ日の照りかへす雪のべはみそさざい啼くあひ呼ぶらしも(033)おしなべて境も見えず雪つもる墓地の一隅をわが通りをり(034)わが眠る家の近くの杉森にふくらふ啼けり春た...

  • 0
  • -

「工藤直子詩集『じぶんのための子守歌』」より(お願いだから、秘密にしてね!)

No image

 「みえない手紙」  工藤直子どこにいますかおげんきですか背すじ伸ばして歩いていますかわらう日々を すごしていますかときどき泣いたりしていますかちょっとスネたりもしていますかどこにいますかおげんきですか話につまると空を見あげてきっかけをさがそうとしましたねあの日 あなたもわたしもいっしょうけんめいでしたどこにいますかおげんきですかわたしは なんとかやっていますときどき ふっとたちどまりあなたを探す...

  • 1
  • -