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archive: 2019年02月

「米川千嘉子第九歌集『牡丹の伯母』」を読む

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〇  吉永小百合のほほゑみコンコースにつづき何かの罪のごとく老いざる〇  銀色の高層ビルを仰ぐときおもふ近代断髪のをんな〇  雷も聞こえぬ母の辺にひらく花菖蒲の紺父のごとしも 〇  堤防決壊思はざりけり銃に弾込むるごと川に雨降りゐしを〇  元興寺明日香瓦をぬらす雨牡丹の花のうちがはに入る〇  老人、老人、つひに若者あらはれず満員となり入口閉まる〇  投稿にうつくしき夏の雨詠みし青年「無職」となる職...

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朝日新聞夕刊掲載「あるきだす言葉たち」を読む(黒崎聡美作『変わらないこと』)

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〇  夜の体は少し重くてノンフライミックスナッツをただつまんでいる〇  電線は鈍い白さに張り巡り冬はいつしか真冬となった〇  ねじまわしは暗やみにあり家なかにわたしの知らない暗やみがある〇  明日には忘れるほどのたやすさできみは何度もわたしを名付ける〇  いっせいに鳥飛びたって柿の木の枝先はゆれ 晩年だった〇  冷え込みのきびしい夜に満ちている水のにおいを全身で嗅ぐ〇  変わらないことを数えなくな...

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「永田和宏著『私の前衛短歌』」を読む

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〇  いふほどもなき夕映にあしひきの山川呉服店かがやきつ  『詩歌變』所収〇  山川呉服店破産してあかねさす昼や縹の帯の投売り  『不變律』所収〇  あさもよし紀州新報第五面山川呉服店主密葬  『波瀾』所収〇  青嵐ばさと商店街地図に山川呉服店消し去らる  『黄金律』所収〇  山川呉服店未亡人ほろびずて生甲斐の草木染教室  『魔王』所収〇  嵤域に白雨 山川呉服店累代の墓碑何ぞしたたる  『獻身』...

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