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詩歌句誌面

読解なくして論評あらず。

古雑誌を読む(かりん・2019年2月号)

   〈作品・坂井〉欄に見られる佳作

〇 壜ひとつふつくらおなかにわらづとを巻いて立つてる朝のヴェローナ  (柏)坂井修一

〇 ごはんたべる?ときけばにつこりする母は再び重湯のやうな眠りに  (市川)日高暁子

〇 二億キロ旅して小石採りにゆくさびしき旅をさせをり人は  (千葉)川野里子

〇 「どこまでも行ける筈でさあ」つぶやきし帽子の男羨望の目で  (東京)日置俊次

〇 年内さいごの墓参に花と線香と置きてさいごに墓石を撫ず  (横浜)佐波洋子

〇 体内のあらゆる菌をほろぼすときらめきて点滴くだりゆくなり  (横浜)池谷しげみ

〇 管楽器吹く唇を知らぬこと少しさみしく食むマスカット  (沖縄)松村由利子

〇 我が世をば待ちし男もありにけむ今日は今日とてすぐる月日を  (小野田)高崎淳子

〇 手をつなぎ校門をくる男女あり女子女子あれば男子男子もあり  (浜田)寺井淳

〇 あなたならできるといはれ重箱の隅でごまめのわれは働く  (川崎)尾崎朗子

〇 偏差値のなかほどにいるような空けやき色づき風も穏やか  (我孫子)遠藤由季

〇 重力に逆はずすべりゆくさまをうつとりと見るチューブの蜂蜜  (さいたま)古志香 

〇 思い出せない風景のあるクラス会記憶の欠片で埋め合わせゆく  (川崎)佐怒賀弘子

〇 〈弘子ちゃん〉と呼ばれとまどう時間なりいじめっ子との熱き握手も

〇 グツキリ腰第五腰椎のゆがみなりとかけ込みし医師いとも淡々  (川崎)阿部康男 
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古雑誌を読む(かりん・2019年2月号)

      「作品Ⅲ」欄で頑張って居られる方々のの佳作

〇 横っ腹ふるればとてもあたたかい冷ぞう庫きみの名は冷ぞう庫  (大分)岡方大輔

 発想からして口語短歌でありますから、「ふるれば」は「ふれれば」とした方が宜しいかも知れません。
 また、歌壇(特に、<かりん>)には「漢字をできるだけ少なくして、全体的に白い感じの文字使いをした方がより優れた短歌である」との迷信を金科玉条としていらっしゃる選者クラスの歌人が多いが、それもケースバイケースであり、要は一首の表現に於いて、「ひらがなの利点を生かし、漢字の利点を生かす」という事でありましょう。
 ところで、本作に重出する「冷ぞう庫」は、最初のを「冷蔵庫」とし、二個目のを「れいぞうこ」とした方が宜しいかも知れません。
 【改作案】 横っ腹ふれればとてもあたたかい冷蔵庫きみの名は〈れいぞうこ〉


〇 ごまドレのすごい減り方目の前の同級生の歳の取り方

 「ごまドレ」即ち「胡麻入りドレッシング」は、一億健康志向時代とも言うべき現代日本社会の花形調味料ですからね!
 我が家での「ごまドレのすごい減り方」を目にするに付けても思われるのは、「同級生」の彼の「歳の取り方」である。


〇 漁り火の灯らぬ港海底のやうなホテルの部屋に眠る  (東京)加賀塔子

 「漁り火の灯らぬ港」の「海底のやうなホテル」で過ごされた一夜の味は如何でありましたでしょうか?
 航空機万能時代の今となっては、かつてはそれなりの賑わいを見せていた、地方の「港」には、漁船や貨物船以外は立ち寄る船も無く、かつては追っ掛け妻とマドロスとが一夜の睦言を交わした「ホテル」も「海底のやうな」赴きを呈しているのでありましょう。

 
〇 きつとわたしこの人を好きになるいつか 伸ばされた手の産毛がひかる

 旅先での 「伸ばされた手の産毛がひかる」毛深い男性との一夜限りの密会!
 彼の男性はフランス野郎なのかしら?
 それともイタ公なのかしら!
 その孰れにしろ、悔いの残る一夜であったのかも知れませんね。


 〇 古ぼけた青い靴下が空にゆれ旅にでようかとひそかに思ふ  (横浜)池田広明

 色はともかくとして、「古ぼけた靴下」とは、履き古してゴムの緩んだ靴下!
 そんな靴下なら旅先のホテルのゴミ箱に放り込んで来ても惜しくありませんからね!


〇 戦争が先端技術の父ゆゑにその日がくるまで進歩はつづく

 「戦争が先端技術の父」とする認識は、今やそれほど新しい認識とは言えませんが、これを短歌表現に採り入れた点は大いに評価するべきでありましょう。
 私たち人間が、決して立ち入ってはならない<神の領域>に泥足を踏み入れてから、もう、半世紀以上にもなりましょうか?


〇 東京も貧しき戦後はたいていの家に柿の木植えられていし  (野田)大澤眞

 冬間近に北東北地方を旅行していたら、あちらこちらに捥がれないままに碧空を紅く染めている柿の実が目に着いた。
 飽食時代も通り越した感じの今となっては、人間は勿論の事、鴉や椋鳥さえも柿の実なんかには見向きもしないのかも知れません。
 マンションなんて代物は無かった時代の東京の民家の狭い庭を占領していた柿の木よ!


〇 古民家をつつむごとくに柿すだれ詩情をまもるはボランティアの手

 今や、一億総員、ボランティア志向の裕福さ?
 アベ政治は当分の間、安泰なのかも知れません!
 斯く申す、私・鳥羽散歩も博物館学芸員資格の保持者であり、かつては〈博物館類似資料館〉でボランティア活動をしていたことがあります。


〇 雪は手にすべて溶けゆくものだから根雪という語を知らず育った  (福岡)のつちえこ

 雪国育ちの私の場合は、南国の福岡に雪が降るとは思いもしませんでした。
 でも、あなた!「根雪」なんて決して有難いものではありませんよ!
 毎朝、目を覚ますと、玄関先に置かれている雪!
 車を通すためにブルトーザーが運んで来た固い雪を除去するために汗を流して一働きしなければ月日よ!


〇 約束のことを言うとき喉元に手を当てながら話そうとする

 身に付いた性癖の不思議さよ?


〇 京都駅構内を出る階段に鮭の遡上のごとく人々

 「鮭の遡上のごとく人々」とありますが、先日、友人と旅行した福島県の大内宿にも「鮭の遡上のごとく」中国語を話す男女が押し寄せていましたよ!


〇 後に来し研修生に抜かされず追いつかれ得しレフェリーライセンス  (東京)松坂わかこ

 〈女性ながら〉と言ったら失礼かも知れませんが、女性ドライバーが皆無だった時代に生い育った評者としては、〈隔世の感在り〉といった思いで読ませていただきました。
 いっそのこと、プロボクサーになったら如何でしょうか!


〇 真夜中に寝てる子なでて早朝に寝てる子なでて仕事の毎日

 ボクシングのレフェリーとしての仕事がそんなにも多忙なのかしら?
 それとも、大型スーパーの品出しのアルバイトでもなさっているのかしら?


〇 新しいビキニを素直に褒めあって流れるプールをまわりつづける  (熊谷)大渕まこ

 私はまた、「ビキニ」なる言葉は、今となっては死語化している存在である、と思っていましたが、この際は素直に認識を改めなければなりませんね!
 しかし、人間誰しも「 流れるプールをまわりつづける」にして暮し、回ることができなくなったら、黄泉路に赴くのでありましょう。


〇 悔しさを語ることばを持ちたくてたまに青春小説を読む

 五木寛之作の『青春の門』なんか如何かしら!


〇 かなで書く恋歌ひとつ下の句は金銀砂子のなかにうづもる  (茅ケ崎)白倉みづゑ

 是はまた、古めかしくも、金銀砂子の料紙に草仮名で書かれた古典和歌を題材にした作品!

 
〇 湘南の秋の帆あまた煌めいて那須与一がゐてほしき濱

 「湘南」と来ましたか!
 私は、あの若大将が大嫌いなんですよ!


〇 のほほんとジンベエザメが通るたび形に変える鰯の大群  (東京)中武萌

 「マクセル アクアパーク品川」と来ましたね!
 さすがは東京の女性です!
 ところで、私たちは誰しも「のほほんとしたジンベエザメ」気取りで暮らして行きたいものでありますが、所詮は、「ジンベエザメが通るたび形に変える鰯の大群」の中の一匹でしかないのかも知れません。


〇 ビルのなかLEDのひかり浴びルッコラ、ルリルラ葉が伸びてゆく  (東京)池本日出美

 私の歌友の池本さん、すっかり調子に乗っちゃって、「ルッコラ、ルリルラ葉が伸びてゆく」と来たもんだ!
 でも、さすがの池本さん!全く呆れるほどにも上手ですね!
 貴女を「作品Ⅲ」の片隅に置いておくなんてね!「かりん」は勿体ない事しているもんですね!

  
〇 ガード下の新保育園は二重窓児らは翼をたたんでゐます

 「待機児童ゼロ」を歌い文句にしている、小池都政の実態を見たり!


〇 二つ目のポストを過り駅へゆくまだ手に残る欠席葉書

 同窓会への欠席葉書は、かつてのマドンナの日出美さんとしては出すに出されないのでしょうね!


〇 痩せるため極細麺に変えてみる検診日までの三週間を

 馬鹿じゃないかしら?
 「極細麺に変えてみ」たからと言っても、持ち前の肥満体や如何せん?
 斯くなる上は、短歌会の会計担当に従事されて、遣り繰り算段に苦しむに如かず!
 三十年記念合同歌集を発行する、という大物が目の前に控えて居ますからね!


〇 秋風に揺れて咲いてるコスモスの私語が聞こえる鼻高の丘  (高崎)岸田佳子

 「私語が聞こえる鼻高の丘」とは、何と言うタイミングの良さ!
 ところで、作中の「鼻高の丘」は、あの群馬県高崎市に実在し、正式名称は「鼻高展望花の丘」とか?


〇 男孫に「内緒話をしようね」と言えば耳元で「こしょこしょ」と言う 

 「耳元で『こしょこしょ』と言う」には脱帽!


〇 「しかもね」と上気している孫の顔飼育箱には羽化したアゲハ  (高崎)清塚和子

 「『しかもね』」とは、何に加えての「しかもね」でありましょうか?
 「言いおおせて何になる」とは、よく言ったものですね!
 「作品Ⅲ」欄に斯かる名人上手を置いておくとは?


〇 すつきりとシステムキッチンになりたるを荒神様が棚より見下ろす  (徳島)新井忠代 

 「システムキッチン」と「荒神様」とのミスマッチが素敵な一首です!
 上から目線の荒神様でありましょう!


〇 背を壁に「お一人様用」テーブル席ゐならぶ女の午餐に加はる (川崎)木村寛子

 「背を壁に」した「『お一人様用』テーブル席」の狭さと居心地の宜しく無さがそれとなく偲ばれる一首である。
 「お一人様」とは、本来は差別語なのかも知れませんが、レストラン側としては「様」を付けているから差別している訳では無い、との認識を持っているのでありましょう。
 そもそも頼みもしないのに、「様」が付けられる場面と言えば、直ぐに思い付くのは、病院の病室の入り口に貼られている「鳥羽散歩様・木村寛子様」という入院者を示す標識や火葬場の竈の入り口に貼られた標識などであり、「様」付きであるからと言っても、決して喜ばしいことではありません。
 それでも、尚且つ、このレストランを選んで入って来た当人としては、まさか家族席の余席に割り込んで座る訳にもいきませんから、いやいやながらも、件の「壁を背に」した「お一人様用の「テーブル席」に座らざるを得ません。
 それと無く周囲を見渡すと、居並ぶ方々は、「お一人様」と呼ばれるに相応しい女性ばかりであるが、自分には他人が聴いて羨むような立派が河童を着たようなご亭主が在るのにも関わらず、と口に出してこそは言わないものの、それなりの不満を感じながらも、件の「お一人様」の方々と並んで、束の間の「女の午餐」のひと時を持たれたのでありましょう。
 本作の作者の木村寛子さんは、私の数多い歌友の一人であり、また、作歌歴十数年のベテランである。
 そして、本作は、その木村寛子さんがお詠みになられるに相応しい、批評眼に優れ、皮肉たっぷりの作品であり、また、その批評眼は、自分以外の事物のみならず、自らにも向けられているのでありましょう。


〇 凭れ来る女の体重押しかへす攻防つづく真昼の電車

 小田急線の込み具合には、尋常ならざるものがありますかるね!
 人相風体怪しげな男性である私の場合は、ただひたすらに痴漢と間違われないようにとの思いで、両手で吊り革にぶら下がっているばかりなのである。

 話題は一転するが、いよいよシーズン開幕という事で、本日付けの朝日新聞の朝刊に、セ・パ両リーグ十二球団の支配下選手一覧が掲載されているが、何と驚いたことに、読売ジャイアンツには、他チームの監督コーチが羨むばかりの捕手が七人、しかもその七人中の五人が、阿部・小林・住谷・大城・宇佐美との精鋭拾いなのである。
 それに比べると、同チームのコーチ陣の手薄さは否めません。
 投手総合コーチの宮本和知、投手コーチの水野雄仁、内野守備兼打撃コーチの元木大介と、プロ野球のコーチと言うよりも〈お笑い〉ばかりを並べたのが、今年のジャイアンツのコーチングスタッフなのである。
 それともう一件、彼の有名な〈ハンカチ王子〉こと斎藤佑樹くんがとうとうプロ野球界から消滅してしまいましたか? と思って居たら、彼は未だに日ハムの投手陣の一郭を占めているのでありました。
 彼に託された任務は唯一、彼の清宮幸太郎選手をこれ以上毒さないようにする事なのかも知れません。
 西武の大石達也は相変わらずのテイタラク、昨シーズンまで広島に居て、期待されたいる役割の三分の一程度の役割を、辛うじて果たしていた、福井優也は楽天にトレード、そして、件の〈ハンカチ王子〉と、かつての早稲田の三羽ガラスは、誰一人として、物の役には立ちませんでした。 

鳥羽散歩作「嗚呼貴乃花親方」を読む

〇  貴景勝の大関昇進を前にして元親方の醜態を思う

○  貴乃花ああタカノハナ高の鼻たかが相撲じやないかもう止せ    

○  貴乃花鼻持ちならぬ貴乃花 聞いて呆れる巡業部長

〇  貴乃花 龍馬気取りの悪ガキが理事長狙いと聴いて呆れる

〇  貴乃花いまだ少年光司くん年増女房に去られておじやん

〇  愚息をば靴職人にしたと謂う具足も縫えぬ靴職人か

〇  父子ともタレント狙いと言われても仕方が無いぞ所詮それだけ

〇  とは言うが所属事務所は何処にする大阪ならばお笑い興業

○  親方の理事長選の道連れにされて哀れな元貴ノ岩

〇  貴ノ岩引退したあとどうになる母国に還れずプロレス遣るか

〇  プロレスは今は流行らずモンゴルに戻つてあの大草原を走れ今こそ

○  理事長の夢も虚しく総スカン食うか食わぬか瀬戸際過ぎた

○  このままじや関取衆がかわいそう貴景勝関次代のホープ

○  このままじやひくにひかれぬ貴乃花だんまり決めてばかり居られぬ

○  とは言えど人気稼業の相撲取りタニマチ頼みの現状を知れ

○  時により八百長相撲も面白いガチンコ勝負を誇るのは止せ

○  過ぎたるは及ばざるとか ガチンコで引退早めた例もあるぞ

○  そもそもは大名抱えの花相撲 スポーツとして観るのは野暮だ

○  そもそもは大名抱えの相撲取り アスリートなどと呼ぶのは野暮だ

○  グラサンを掛けちやダメだよ貴乃花 マフラーなどはもつてのほかだ

〇  「もつてのほか」山形県民好むけど鼻の都の俺たち喰はぬ

○  だんまりで棒に振るかよ理事長を時の流れを待つのだ今は

〇  とは言うが今となつては後の祭りで線香花火ぽちやりと消えた

○  父仕込み伯父さん譲りの勝負師の名をぱ惜しまんファンの吾は

○  貴乃花嗚呼貴乃花貴乃花若さ頼みのああ貴乃花

〇  千賀ノ浦 元小結の隆三杉 今や花の大関の親方!

〇  リバイバル版「嗚呼貴乃花親方」日本全国本日公開!ご愛読感謝! 

〇  サバイバル版「嗚呼貴乃花」は多分無し!拙き文才を以てしては詠み難し! 

〇  真夜中に突然どうもスイマセン!眠られぬまま入力しました!

〇  丑三つの狼藉三昧深謝す!貴景勝を責めないで下さい!

〇  今場所は負け越し必至御嶽海!平幕に陥落して再起せよ!

〇  張り差しは下品な手だぞ白鵬よ!力の衰え隠せない今!

〇  鶴竜はモンゴルで政治家になれ!日蒙友好の尖兵たれ!

〇  大方の相撲ファンは感じてる!栃ノ心関の不屈の努力!

〇  カチンコの豪栄道関よく遣つた!全勝優勝一回だけど!

〇  四股名にはとても似合わぬ眼差しでテレビ桟敷を睨む高安!

〇  遠藤は評判倒れの駄目力士!懸賞多くて相手喜ぶ!

〇  炎鵬の大活躍に沸く十両!幕に上つてからが見ものだ!

〇  序二段で照ノ富士が勝ち越した!怪我に泣かされ引退せずに!

「鳥羽省三戯歌集『見沼田圃の畔から』」を読む

〇  連休で帰省せし娘が「大阪の土産よ」と言ひ呉れたタコ焼き

〇  冬富士を眺むる右京とその徒党還れぬことは知るよしもなし

〇  行くもならぬ戻るもならぬ戻り橋去るもさらぬも地獄往還

〇  連休に戻ると言ひし一人子の布団干しをり三月二十日

〇  京極堂・中禅寺明彦肝太で百鬼夜行を恐れもせざる

〇  「戻らぬ」の一言だけを書き置きて消えにし兄の記憶がやさし

〇  監督の落合博光偏屈で選手・コーチが敬遠してる

〇  プッシュ一閃 愛憎を絶つラインメールに敵ふものなし

〇  平日は言ひたいことも言はないでストレスばかり溜めて居ますよ

〇  最初から断る気持ちで居るのならしてはいけないお義理の見合ひ

〇  最初から断る気持ちがないのなら躊躇ふ素振りを見せてはならぬ

〇  立て板に流るる水は断たれない断たむとすれば溢れ出るだけ

〇  ドレス着てワンコが舗道を闊歩する街のいづこに吹く不況風

〇  鬱を病む社員三人馘首して御社の経営いよよ安泰

〇  二羽で来て七羽で暮らす鳩たちのウンコ零るる駅舎を過る

〇  後続の運転席の渋面をバックミラーに見て走る首都高

〇  冬空を映して澄める池水の底にかそけき金魚の生きよ

〇  「開けたなら閉めて行つて」とまた言はれ猫の尻尾を踏んで仕返し

〇  大阪の粟散辺地の八尾に棲みバッハ聴くとはあまりに無粋

〇  塵埃の底に沈める面影のふと蘇る今朝の初雪

〇  斯くありし時の挙句に結ばれて角館にて桜を見てる

〇  嫌なこと水に流して隅田川昨日も今日も芥を浮かべ

〇  夢は夢 誰に遠慮が要るものか 好きなお方と同衾しなさい

〇  許し合ふ心ここらで発揮して鳩山兄弟相続放棄

〇  連休は遠く離れて好きのままキスもしないで居るのがステキ

〇  <かまとと>と<かまねこ>の差も弁へず難渋してます「一首切り裂く」

〇  「東京に住んでゐるけど好きでない!私に構はず結婚しなさい!」
       以上、2010/01/11までの返歌  

「有沢螢第四歌集 『シジフォスの日日』」を読む

〇  シジフォスの神話のごとく幾たびも新しき「我」を選び直さな

〇  今日手術しなければ死ぬと言ひ切られ夜桜の下運ばれてゆく

〇  「呼吸器離脱の可能性は」と英語にて問ふ教授をりhopelessと答ふる主治医

〇  百年に百人ほどの例と聞きわが籤運の良し悪しを問ふ

〇  痰だけは正岡子規に負けるまじ日に三箱のティッシュを空ける

〇  黄色ブドウ球菌とふ美しき名前の細菌がわが脊髄を破壊せむとす

〇  呼吸器につながれし異形の身のわれは一夜のうちに四肢麻痺となる

〇  車椅子テーブルの傍に近づけば母は両手で押し返さむとす

〇  初めての車椅子遠征 丸の内コットンクラブのライブへと行く

〇  十分とたたず車に乗り込みしわれを涙で見送るスタッフ

〇  歌の友が集ひて歌を語るときわが病床に花咲くごとし

〇  クレーンに吊り上げられしインド象になりたる心地宙に浮かべば

〇  われもまた神を許さむ動かざる手足に窓の虹を見上げて

〇  日日に詠む歌を書きとる術もなくそらんじてはまたそらんじてをり

〇  転院の朝贈られし寄せ書きに「ありがとう」と書けり若きナースは

〇  ビニールの袋に入りし聖体を若き神父は鞄より出す

〇  ホスチアを掲げらるればたちまちにわが枕辺は聖堂と化す

〇  横たはるままに拝領終えたれば溢れし涙耳へと流る

〇  いのち落つるときはたちまち九仞の功をいつきにかくごとくなり

〇  「三日とろろ美味しうございました」円谷の遺書思ひつつ駅伝を見る

〇  見送りの青年作業療法士 患者輸送車追ひつつ涙

〇  パンケーキ口いつぱいに頬張りて心残りをひとつ減らせり

〇  信仰はたすけになりしかと問ふ友に祈られをりしことが支えと

〇  幼き日「ストマイつんぼ」となぶられし右耳は今耳鳴り初むる
 
〇  背を上げて足を下ろせば人並みに生きた心地し口紅をさす

〇  煉獄と詠ひ出だせば叱りつけ希望に向かひて生きよと言ふ人

〇  「こんな目におあひになつて」と泣く人にさうは思はぬ我に気づけり

〇  「こんな目」とは思はざりけりかくも深く人と関はる幸せ知れば

〇  やまゆりの園生の闇に振るはれし刃はわれの心をも刺す

〇  愛さるるために生まれしいのちみな祝されてをりその実存を

〇  聖書読む弟の声歌うたふ義妹の声に涙流れぬ

〇  「貴女が笑つてゐると嬉しい」と言ひし医師あり重篤の頃

〇  「短歌人」出詠のため枕辺に看護師長立ちき十五分間

〇  万象の凝れるごとき曇天に白き腹見せ百合鷗飛ぶ

〇  三十一回五十音図を読む友に頷きながら歌は生まるる

〇  動かざる白き繭ひとつ横たはり遠き夜景と対峙してをり

〇  向日葵の花の色なる寝衣着て動かぬ四肢を夏に投げ出す

〇  冬の日の訃報は悲し 竹田圭吾 田村よしてる デヴィッド・ボウイ

〇  良きことの知らせのあれば裸足にて春の坂道駆けたきものを

〇  見舞ひくれし酒井佑子の頰ずりにいのちの砂の熱く流れ来

〇  「神様に返されし命」何にでも挑みてみむと思ふ早春

〇  病院の個室にひとり放置され心ゆくまで母を呼びをり

〇  寝たきりで法令線も消えたれば吉祥天女のごとしと言はる

「有沢螢第三歌集『ありすの杜へ』」を読む

〇  退職の日にまつさきに捨つるべくキャンプ用軍手抽斗にあり

〇  日本語を縦に書くとき少女らのためらふ気配 開始ベル鳴り

〇  春立てばわが背子に添ふ病ひあり半黄泉の甲斐路越えて見舞はむ

〇  醜顔の蝶飛びきたり耳もとに知つているよと囁くごとし

〇  生物学者になるを夢見し弟は展翅されをり白き小箱に

〇  小太りの薬剤師はかる導眠剤 永遠と はの眠りにあと一グラム

〇  啓蟄にわきいづるものよ ながいながい母への思慕に終止符をうつ

〇  花火咲き散りにしのちに隕ちてくる闇の重さに母と寄りそふ

〇  托卵の雛のごとくにゐるべきにあらぬ小部屋に叔父は鎖さる

〇  助けて姉さん  最後の電話の叫びさへ忘れて母はテレビに見入る

〇  死者の指紋空にちりばめさりがての夏のゆふべに鰯雲見ゆ

〇  広瀬直人の追悼句もて送られし棺するする炉に入りゆく

〇  死なうかと思ひし時にかかりたり虹を知らせる間違ひ電話

〇  さかしまに立てば薄き血ことごとく酢となりて落つ深夜のからだ

〇  手術後のからだのうろに幾百の螢たまごを産みつけなむや

〇  夏の日のひとつひとつを受け入れて金魚鉢膨張しつづけてゆく
  
〇  年に二度 榊たむけるためだけに流離されたる女人のからだ

〇  死後の景にフラフープ見えかたちなき身体しばりて回転つづく

〇  とめどなく雲わき御陵にさす影に埴輪の口のはつかな湿り
 
〇  炎天とわれを隔つる大玻璃戸つばくらめの尾をかすかに映す

〇  サティ弾く白きゆびさきつとのびてピアノの上の蟻をつぶせり

〇  観覧車は五日後の開業待ちしまま廃墟となれりチェリノブイリに

〇  かすかなる憎しみと愛もて夜々に『矩形の空』を音読しをり

〇  葛の花 名さへ知られず踏まれたり。ゆとり教育うけし人らに

〇  霧降りの滝のほとりで「あ」といひしのちの言の葉みづおとに消ゆ

〇  干物喰ふひとりの夕餉わが肉をなるため生れし真鰺のひと世

〇  わたくしを知らぬといふ母ひきつれて氷川神社にヨーヨーを釣る

〇  そつと忘れゆくもののひとつにむすめらのなまへもありて母の晩秋

〇  湯豆腐の鍋捨つるとき失ひし家族のかたち面影にたつ

〇  銘仙の座布団一枚 いづこより来たりいづこへゆきし客なる

〇  青柳守音がまづ立ちあがるパソコンの年賀状住所録とりあへづ閉づ

〇  資料室の隅に棲みつく特大のヤマト糊こそ校史をつなぐ

〇  重湯より再開をする食事とふ儀式いささか肉慾に似る

〇  をりをりに魚とびはねる音もしてわが胸うちの冥き泉は

〇  君の顔のやうにデモーニッシュな歌詠めと囁きし師の墓に詣でつ

〇  まるまると尻割れズボンよりこぼれたる白桃ふたつ小川に映る

〇  フライドチキンゆるりと食みて舌先に子鳥の骨を転がす花夜

〇  おびただしき細胞の死をかかへつつ働くために今朝を装ふ

〇  手術後のからだのうろに幾百の螢たまごを産みつけなむや

〇  捨てなむと籠おしあけて手にとればカナリアの卵かすかに温し

〇  墜死せし詩人の行方さがしをり>なべて男は墜落詩人

〇  花火咲き散りにしのちに隕ちてくる闇の重さに母と寄りそふ

〇  ひかがみに人面瘡のあるごとし忍び笑ひのきこえ眠れず

〇  小太りの薬剤師はかる導眠剤 永遠の眠りにあと一グラム 
  
〇  不完全燃焼の湯沸器のごと胸内の熾火いつかはわれを殺めむ

〇  わたくしの心のなかに泣いてゐる若紫よ雀を恋ふな

〇  食断てば一本の管となりゆく身その一本を清めつづけて

〇  濃口の醬油の闇に白き身をつかのまひらく鯉の洗ひは

〇  ぶかぶかのからだのなかによれよれのこころからからけふも働く

〇  ほのしろき陶器の壺の中にゐて反乱の日を待つ少女たち

「有沢螢第二歌集『朱を奪ふ』」を読む

〇  切先の鋭きメスを選ぶ女医われのうちなる朱を奪ふため

〇  ひだまりのバターのやうにとけてゆく怠惰の天使に捕まつてゐる

〇  カナリアの羽ぬけかはる夏となりとまり木の上にひと日黙せり

〇  ラムネ玉 閉ぢこめられし恋ありてからからと鳴る遠き思ひ出

〇  キリストのてのひらの傷に触れたいと日曜学校の子ら求めたり

〇  ライラック散るころ私も死にたいと変体少女文字の答案

〇  タンポポの綿毛ぽんぽん弾みゆく午後に少女は手首を切りぬ

〇  白金の坂の下なる帽子屋に西日のほかに入るひともなく

〇  生殖器神に返して少しだけ長生きをする猫となりけむ

〇  施錠音とほく聞こえて薔薇園に閉ぢこめられし棘のいろいろ

〇  水栽培のクロッカスの花咲くまへに退学をする少女のうなじ

〇  身のうちにみづかねといふ蝕あるを思ふゆふべの『テレーズ・ディケイルー』

〇  友の死を伝へる電話鳴る前にふと静寂がわれをつつめり

〇  マンダリン・ホテルから身を投げし時レスリー・チャンの目に入りし夜景

〇  「死にたまふ母」しか思ひ浮かばない電車の旅のながき夕暮れ

〇  「肺癌だ。こんな手紙でごめんね」と事務封筒の宛名のみだれ

〇  祖母の骨素手でつかみし幼子のゆび薔薇色に火照りて見ゆる

〇  ランドセルの影倒れたりパリ・コミューンに逝きし少年兵のごとくに

〇  ふたり乗りの絶叫マシーン 落ちてゆく闇の深さを甘受している

〇  葛きりの店ほのぐらく身のうちに冷たき蜜の闇ながれこむ

〇  その闇の深さをはかりより深き闇もつひとに惹かるるならひ

〇  中井英夫の本ひもとけばこともなく金魚の味に言及したり

〇  セピア色の画面の中にかつて見し山口二矢の刃の動き

〇  絽の単衣 執念き蛇の目をしたるひとに会ひたり納涼茶会

〇  午前五時 天使翔びたつ気配して街の塑像に酸性雨ふる

〇  フラフープの円にみづからとらへられ緊縛されゆく少女のからだ

〇  そら豆がくつくつ笑ふ鍋の底はじけるまへのざわめきに似て

〇  胡桃割る音かちりと響くときゆるしの予感家を満たせり

〇  テニヲハが省略さるる手話の恋きり捨てられしためらひの数

〇  カルナバル 死者たちはいつ帰るのとささやく声す広場よぎれば

〇  おそ秋の石畳ゆく影ふたつ薔薇科の罪にとらへられたり

〇  「希死念慮」と診断されしおとうとを見舞へば背後に鍵かかる音

〇  二輪草毒もて咲くとおとうとの指さす花の白きかそけさ

〇  真夏日の小樽オルゴール工房に入りて消息消えしおとうと

「有沢螢第一歌集『致死量の芥子』」を読む

〇  ひとすべて敵にまわして終わる恋等身大の闇をのこして

〇  致死量の芥子のごとくに赤き月シルクロードの旅路のはてに

〇  千年がゆっくりと動くこの地なればわがいのちさえゆるされており

「白石瑞紀第一歌集『みづのゆくへと緩慢な火』」を読む

〇  さざんくわの咲きゐる枝の両腕を空にさしあげ雪だるまをり

〇  雪だるまづくりが下手になつてゐてなんてつまらぬ人生だらう

〇  螺子ひとつ床から拾ひ棚に置くさみしいことをシェアしたくない

〇  こつこつと指で鎖骨をたたくとき胸の泉にさざなみの立つ
 
〇  いつの日か後悔する日があるのかな がんばらないと決めたわたしを

〇  泣ききつてしまふのがいい曇天を映せる水に舫ひ船揺る

〇  暗がりにみづは見えねどほうたるのひかりが揺らぎ水面とわかる

〇  見えずとも分水界のあることの、さやうならとも言はずに別る

〇  氷砂糖日ごとに溶けてゆきたるを梅のかをりのそのさきに夏

〇  本当に疲れたるとき買い置きのリポビタンD思わざるなり

〇  初雪を手に受けながら種としての滅びの側にわれがたたずむ

〇  暗がりにみづは見えねどほうたるのひかりが揺らぎ水面とわかる

〇  今回は縦に切らせてもらうねと内診しつつ担当医が言う

〇  縦に切ると言われたるわが腹の上に美容ローラー転がしており

〇  とりあえず肉腫にあらずと担当医が夕食どきにあらわれて言う

〇  全摘の手術をすると電話すればなぜだか母はごめんねと言う

〇  臓器ひとつどうってことないわれはなだひかる時間の真ん中にいる

〇  灯る火のあらざる洞にわが卵はいまもひかりを運びいるらむ

〇  ニンゲンとならずに卵は東京に降る雪のごと消えゆくならむ

〇  暮らしてはゆけない土地のうつくしく望遠鏡に見たる月面

〇  (天国に)単身赴任中なりとセールス電話に母は言いけり

〇  父の食む一口のためタッパーに梨をぎっちり母は詰めたり

〇  手際よく粒子の父を真ん中に集むる刷毛の動き見つめつ

〇  左手の小指から死はひろがれり紫色のこゆびさすりつ

〇  ぬばたまの黒き衣の族来て代わる代わるに父の顔見き

〇  天金の昏きをぬぐいやりたれば人差し指の腹がくすみぬ

〇  襟にゆぴ入るるがごとく花布のうたりに指をひっかけて取る

〇  三分で自動消灯する書庫にスローファイヤーがてんてんと燃ゆ

〇  〈緩慢なる炎〉をわれも持ちおらむ紙片のごとく毀るるなにか

〇  どの部屋の力士なるかを知らざれど高安という四股名のよろし

〇  その響きロシアあたりにありさうな名だと思へりエドユキスキー

〇  くちひげのある魚のゐて真中さん、真中さあんと呼びをれば来ぬ

〇  通販に買ひ来しことを言ひたれば三月書房の店主微笑む

〇  誠光社の書棚の本の背表紙がページめくれと言ふので困る

〇  父の背がラッシュに紛れ地下鉄のどこかにあらむ黄泉平坂

〇  行き先を巻き上げている路線バスが右折するまで眺めてしまう

〇  「バン」「鷭」とスマートフォンに顔寄するヒトを見つめる鷭といふ鳥

〇  アフリカの打楽器が鳴るときがあるMRI装置の中で

〇  その朝の実験等を過ぐるときザムザザムザと低き声のす

〇  じゃがいもの芽を抉り取りてのひらに冥王星のさみしきかたち

〇  唐突な別れ話をするようにハクモクレンがはたはたと散る

〇  花を見て帰ると友が駅ひとつ乗り越してゆく四月の電車

〇  定年後するはずだった篆刻の入門書の背が棚に色褪す

〇  灯る火のあらざる洞にわが卵はいまもひかりを運びいるらむ

〇  上を向く理由がほしい遠まわりして花咲ける並木道ゆく

〇  メイルにて捜索願い出されたる本がとなりの書架で見つかる

〇  取扱注意のしるし 白ひもを資料にかけて天で結わえつ

〇  酸つよき感情の名をわれは知らず夜の湯船に湯が冷えてゆく

〇  ルシフェラーゼ、と言へば笑へる君のゐてひとつの歌をともに抱きぬ

〇  ストレスには太田胃散と吊り革がカーブのたびにいつせいに揺る

〇  まだどこか体に沿はぬ白衣着て学生たちがロビーを通る

〇  お疲れ様と言はれたやうで振り向けば夜を背負ひて裸木の立つ

〇  ひだりうまのちひさき駒を東京の日常にゐてときどきにぎる

〇  その響きロシアあたりにありさうな名だと思へりエドユキスキー

〇  面差しのよく似たひとがコスモスの鉢植えひとつ手渡しくれぬ

〇  なに色のコスモス咲いているだろう岩倉長谷町三〇〇-一

〇  若葉集の詠草用紙伸ばしゐて歌の仲間の肉筆を見る

〇  思い出の少なきわれに残るもの「歌をやめたらあきませんよ」

〇  くちひげのある魚のゐて真中さん、真中さあんと呼びをれば来ぬ

〇  受付が吉川宏志さーんと呼ぶ知らないよしかわひろしさん来る

〇  なだれしを知らざる子らが書籍落下防止のバーを下げつぱなしに

〇  鉄扉に守られしゆゑ流されず郷土資料はそこにありけり

〇  【業務外】流しさうめん大会のお知らせメイル受信す 夏だ

〇  矢印を持ちいるわれに会釈してゆく人多し『塔』の人ならむ

〇  泣かないと決めていたのに四つめの弔辞のときにあふれてしまう

〇  灯る火のあらざる洞にわが卵はいまもひかりを運びいふらむ

〇  ここまでの運転士さんが座布団をわきにはさみてホーム歩めり

〇  日にいくど死を思うだろう噴水の水が循環しているように

〇  俯きて図書館に来て俯きて出でゆく子らの手のひらの画面

〇  ショーに出ぬイルカの尾びれ見えてゐるショーのプールの奥の水面

〇  さみしいと言はばあなたは困るだらう凭れゐるドア次開きます

〇  見てをらぬすきにとととと走るらむ尾羽揺らして若冲の鶏

〇  百合の花肩に担ぎて大股でゼブラゾーンを渡る青年

〇  晩秋の午前のひかり溜めているスワンボートの整列が見ゆ

〇  うすらいのようなとんぼの翅ひかる美はしくあらむとしてあらざるに

〇  地下鉄に運ばるるわがうちがはに字母ならべむとするわれのをり

〇  自転車の鍵をさぐればポケットのなかで最初に触るるクリップ

〇  蝉しぐれその瞬間ゆ止みけむやその夏の日のことをぞ思ふ

「河野裕子歌集『蟬声』」を読む

〇  どろどろと太鼓が鳴りて暗闇の藪の向かうを行列がゆく  (神社祭礼前日)

〇  傘さして誰にも言はず来たけれど蛍袋咲く道の辺にゐる

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