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archive: 2019年12月

「今週の『朝日俳壇』」より  拙い文章をお読みいただきまして真に有難うございました。新年も宜しくお願い致します。

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     長谷川櫂選○  冬銀河中村哲に終はり無し  (筑紫野市)二宮正博 悠久極まりない冬の銀河から連想されるのは、アフガンの砂漠に水路を掘って水を導こうとした中村哲医師の崇高なる事業とその境涯なのである。     井戸掘るや中村哲氏逝きてなほ  鳥羽散歩○  十二月八日毎年二歳かな  (鹿児島市)青野迦葉  「12月8日午前零時を期して戦闘行動を開始せよ」という意味の暗号電報「ニイタカヤマノボレ120...

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「今週の『朝日俳壇』」より  明かり障子の前に立ち、自らの貧しい心を映してみたまえ    山が泣く山に合はせて海も泣く霜の降る夜は枕抱き寝む

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     大串章選○  山鳴りに海鳴りまじる霜夜かな  (霧島市)久野茂樹 本句の作者・久野茂樹さんがお住いの鹿児島県霧島市は、前方に錦江湾を望み、背後に霧島連峰を控えた、海も近く、山にも近い、景勝の地である。 季節が深まり行き、霜が降りる頃ともなれば、「山鳴りに海鳴り」が交って、海と山との奏でる交響曲を聴いてるような思いがする一夜も在り得ましょうか!     花は霧島 煙草は国分      燃え...

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「今週の『朝日俳壇』」より  武満も音で静寂醸せずに和楽器の力を借りただけ

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    高山れおな選○  冬夕焼け浴びて来し蝶欲しくなる  (埼玉県寄居町)水野勝浩 選評に「水野さん、原句の上五は<夕焼けを>。蝶=春、夕焼け=夏で季が曖昧なので右の通り改めた。<欲しくなる>に風狂の詩情あり」と在り。明らかに過大評価である。     七億円含む連番超欲しく貯金叩いて十枚買った  鳥羽散歩○  冬茜に染まず満月昇りけり  (富士宮市)高橋政光 冬の西茜空に充分に抗し得るほどの冬月の...

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「今週の『朝日歌壇』」より  グレタさんさぞかし激怒するならむクリスマスケーキを殆ど廃棄! 

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     高野公彦選○  グレタさんきっと激怒す一つ家で別々に見る同じ番組  (名古屋市)福田万里子 せっかくの歳末の日曜日だと言うのに、私の観たい番組は全くありません。 したがって、環境運動家のグレタさんに叱責される謂れは我が家には絶えてありません。      グレタさんさぞかし激怒するならむクリスマスケーキを殆ど廃棄  鳥羽散歩○  ウォーキングの仕上げを七階まで登る踊り場ごとに一息入れて  (...

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「今週の『朝日歌壇』」より  祝電を打ったからとてお返しを期待するのは大怪我の元 

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     永田和弘選○  電報が最速手段でありし時代下宿の扉の内定通知  (横浜市)大建雄志郎 下宿の汚い扉に挟まれていた電報であったとしても、その中身が内定通知で良かったですね!      電報が装飾手段のこの頃と結婚祝いのウナ電を打つ  鳥羽散歩 私の連れ合いの同級生同士のいざこざの一端を紹介しますが、今から十数年前のある日、同級生A宅へ交際らしきものが絶えてなかった同級生Bから突然電話があっ...

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「今週の『朝日歌壇』」より  いそいそと竿を磨いて行く先が酒田花街アネコ待つ街! 

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     佐佐木幸綱選○  障害は不便であれど不幸ではないなど軽く言いたくはなし  (愛知県)清水将一 作者の清水将一さんは或いは障碍者ならむ? だとしたならば、「不幸ではないなど軽く言いたく」も<軽く言われたくもない>のは当然の事でありましょう。     「障害は一つの個性である」などと嘯きて張る意地など持つな  鳥羽散歩○  老いてなほ歴代住持の墓所を掃く転ばぬように気をつけながら  (三原市)...

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「今週の『朝日歌壇』」より   閉店に間近き時刻になりぬれば50パー引きで筋子など売る

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     馬場あき子選○  海近き寺に住する僧の吾はしばしば魚を貰ひてさばく  (三原市)岡田独甫 馬場選の首席。 つい、うっかり、「生臭坊主め!、しかし貰う者も貰う者だが、呉れる方も呉れる方だ!」と口に出したくなるが、選者の馬場あき子氏が「寺に地元の産物を贈るのはきわめて当然の人情なのだ。第一首の御住職の生を養う魚捌きも許されるのではないか」と選評にて仰るのも当然の人情でありましょう。 馬場あき...

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「今週の『朝日俳壇』」より   執筆途上

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     稲畑汀子選○  寒さ急ナースの吾子に障らずや  (泉大津市)多田羅初美 「ナース」ともなれば、医師と力を合わせて人の命を救わなければならない存在なのである。 そうした事をも心得ずに、「寒さ急ナースの吾子に障らずや」とは、何と言う<親馬鹿チャンリン>! とは、建前上の私の言い文であり、それとは別に、「人の子の親ともなれば、相手が総理であろうが、医師であろうが、ナースであろうが、風吹けば心配...

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短歌総合誌に掲載された佳作(2019年)

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○  ポケットを引き出されたるわがズボン降参したるさまに干さるる  野田光介(短歌研究・7)○  近代をささへし胃弱文学の『こころ』しづかに生みだす力  古谷智子(短歌往来・7)○  買い足して鉢に入れたるヒメダカは道知りたらん迷わず沈む  玉井清弘(短歌往来・7)○  <便利>とか<お得>を追ひて小走りで生きる民族、東洋にあり  高野公彦(短歌研究・9)○  古家が「ああ」とも「おお」とも声挙げて乾きゆ...

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「今週の『朝日歌壇』」より  逝く干支の猪さへも見上げたり屏風岩を攀づるご飯つぶ 

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     高野公彦選○ 頬つつむ認知症の父の手は温し名前を忘れてすまないと言ふ  (宇佐市)長野裕子 自らが入所している介護施設にお見舞いに訪れた実の娘の「頬をつつむ父の手」の温かさを感じている作者と、その作者の「名前を忘れてすまない」と言いながらも、目前の娘との間に在る、何らかの繋がりを感じている「父」の「手」の温かさ! ここに展開されているのは、崇高極まりなき親子の情愛交感ドラマである。   ...

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