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詩歌句誌面

読解なくして論評あらず。

千曲川  津村信夫

     千曲川

その橋は、まこと、ながかりきと
旅終はりては、人にも告げむ、

雨ながら我が見しものは、
戸倉の燈か、上山田の温泉か、

若き日よ、橋を渡りて、
千曲川、汝が水は冷たからむと、
忘るべきは、すべて忘れはてにき。


 
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今週の「朝日歌壇」より(2020/3/22掲載)

     佐佐木幸綱選

〇  咳をする静まり返るバスの中「花粉症です」被告のごとし  (横浜市)和田順子

 今週の朝日歌壇の入選作・四十首中の二十一首がコロナウイルス禍に取材した作品である。
 バスの中で乗客の一人が咳をすると即座に車内の雰囲気が静まり返り、乗客全員の視線が咳をした件の乗客に集まる!
 自らに向けられた視線に居た堪れなくなった件の乗客は、「私の咳はコロナウイルスに感染しているが故の咳ではありません!断じてありません!私は、毎年この時期になると花粉症で咳をするんですよ!」などと、恰も細菌ばら撒き事件の被告の如く抗弁するのである!
 こんな時期ですから、いかにも在りそうなことではありますが、私・鳥羽散歩としては、眉に唾を付けて聴かざるを得ません!

 
〇  道ゆく人皆マスクして早歩き素顔の私に視線きびしい  (国分寺市)西岡礼子

 「皆マスクして早歩き」!
 確かにそんな雰囲気ですね!
 

〇  会議室ドアを開ければ一斉にマスク着けた目こちらを見てる  (川崎市)小島敦

 「一斉にマスク着けた目こちらを見てる」とは、自意識がやや過剰気味である!
 「一斉に」は「(マスク)着けた(目)」に係る連用修飾語であると同時に、「(こちらを)見てる」に係る連用修飾語でもある。
      「一斉にマスク着けろ」と命令す!総理大臣命令権者?  鳥羽散歩


〇  教職を離れる妻に休校は最後の授業まぼろしとする  (柏市)菅谷修

 「最後の授業」などとは、あまりにも未練がましい事ではありませんか!
 生徒たちの思いなどとは関わりなく、三学期の最終授業はただ単に普段通りに行い、新学期の離任式の日を迎えれば宜しいのではありませんか!


〇  デパ地下の隅に机と筆一本筆耕と言ふわたくしの城  (今治市)藤原守幸

 「筆耕と言ふわたくしの城」とは、あまりにも思い込みが激しいのではありませんか!
      のし紙に筆文字書いて銭を得る<いよてつ高島屋>の嘱託社員!  鳥羽散歩


〇  パソコンに向かいスカイプで稽古するシンガポールに三味線の弟子  (東京都)常磐津津紫摩

 これぞまさしく、当世流行の<在宅ワーク>でありましょう!
     スカイプは相手の顔も見えるから常磐津三味線の稽古に最適!  鳥羽散歩


〇  手綱引けば三月の風にぶははんと大きく鼻の穴をひろげぬ  (長野市)原田りえ子


〇  雪囲いが雪の降るのを待っているような二月の米沢のまち  (仙台市)小室寿子


〇  猪も原発事故も乗り超えしこの山畑に今別れ告ぐ  (仙台市)古谷隆男

今週の「朝日歌壇」より(2020/3/22掲載)

     高野公彦選

〇  「わすれても大丈夫、僕が覚えておくよ」日福大生の認知症カルタ  (名古屋市)諏訪兼位


〇  「もういいよ」泣きながら叫び鬼を呼ぶ保育園児のかくれんぼ遊び  (横浜市)神田芙佐子


〇  単語だけの業務連絡交わしつつ夫婦ゲンカの出口を探す  (佐渡市)藍原秋子


〇  宴会出ずラッシュに乗らず旅を止め消火試合のような毎日  (東京都)神山明夫


〇  マスク着け顔半分が日に焼けぬそんな季節の前に収まれ  (枚方市)東大路エリカ


〇  庫裡の電話今朝鳴りて身構ふる死者出でたるに相違なければ  (三原市)岡田独甫


〇  「就活に克つカット」てふ看板の散髪屋あり大学寮そばに  (京都市)日下部ほのの


〇  山田和樹の指揮棒一閃マーラーの巨人がついに立ち上がりたり  (八尾市)水野一也


〇  まんまるき木瓜の莟がまろやかな陽射しにまろき花となりたり  (京都市)五十嵐幸助 

今週の「朝日歌壇」より(2020/3/22掲載)

     永田和弘選

〇  差別する・される側にもなり得ますオセロのごときコロナ感染  (筑後市)近藤史紀


〇  免罪符求めるように一箱のマスク求める行列長し  (高岡市)池田典恵


〇  学校の給食室の非正規の社員が嘆くコロナウイルス  (東京都)影山博


〇  チャンネルはどこも新型コロナのこと見飽きるようで見飽きも出来ず  (松山市)岡本利恵子


〇  父母に言ってもらいたかったろう少女は「未来のあなたを見たい」と  (八尾市)水野一也


〇  小さき鰭ひらつかせつつ草河豚は汽水に群れて春を待ちおり  (舞鶴市)吉富憲治


〇  街の数村の数ほど地酒あり旅のなかばを酒蔵めぐる  (山形市)黒沼智


〇  暗闇に火を熾すとき人はいつも祈りのかたちにひざまづきたり  (徳島市)上田由美子

今週の「朝日歌壇」より(2020/3/22掲載)

     馬場あき子選

〇  トイレットペーパーはなしマスクなし消毒液もなし山笑う  (新潟市)太田千鶴子


〇  スーパーに冷凍炒飯売り切れて始まる春の全国休校  (観音寺市)篠原俊則


〇  質問の途中で打切る会見を見ながら励む休校準備  (西条市)村上敏之


〇  来賓も保護者も入れぬ卒業式ひとりひとりと目合わせ送る  (朝霞市)青垣進


〇  原発の汚染の始末まだなのに水害に遭い肺炎が来る  (郡山市)芝崎茂


〇  スペイン風邪を病みていのちを愛しみし茂吉を想うウイルスの禍に  (仙台市)沼沢修


〇  消毒液まみれの地上虫たちよ今しまらくは目覚めずにいよ  (水戸市)中原千絵子


〇  温暖化の海を見てきた寒鰤の哀しくひかる目目目目目目目目  (石川県)瀧上裕幸


〇  米沢の雪は少なく子と+ふたりしずかにゆっくり食べる牛鍋  (仙台市)小室寿子


〇  薬局でもらったシールはアンパンマン私もうすぐ四年生です  (奈良市)山添葵

今週の「朝日俳壇」より(2020/3/22掲載)

       高山れおな選

 視力低下が著しいので、朝日俳壇の鑑賞は、当分のあいだ休止させて頂きます。

〇   鷹鳩と化し街中にたむろせり  (山梨県市川三郷町)笠井彰
〇   切株の蜂蜜色や風光る  (加古川市)森木史子
〇   地球春ミラーボールのごと廻る  (霧島市)久野茂樹
〇   陽炎や兵を送りし村境  (埼玉県川島町)小林実
〇   春雷や街複雑に動き出す  (筑後市)近藤史紀
〇   幼子の腰から尻尾春祭  (ドイツ)ハルツォーク洋子
〇   銅鐸になぞの獣や花曇り  (川崎市)小関新
〇   初蝶来ミルク多めのミルクティー  (栃木県壬生町)あらゐひとし
〇   初蝶のやわらかな翅付けて飛ぶ  (稲沢市)杉山一川
〇   ころころとぷくりとつぼみあたたかし  (藤岡市)飯塚柚花

今週の「朝日俳壇」より(2020/3/22掲載)

     稲畑汀子選

 視力低下が著しいので、朝日俳壇の鑑賞は、当分のあいだ休止させて頂きます。

〇   鴨引いてダム湖に残る深さかな  (奈良県平群町)本谷眞治郎
〇   眼裏に夢の残れる春の朝  (八代市)山下接穂
〇   靴跡に知る春泥の深さかな  (泉大津市)多田羅紀子
〇   海苔解し茶漬に塗し朝の膳  (神戸市)岸田健
〇   冴返る日々に戸惑ひをりにけり  (東京都)長谷川弥生
〇   野遊の裸足につかむ天地あり  (茨木市)田邊育子
〇   暖かや池の底より泡一つ  (長岡市)桑原たかよし
〇   下萌ゆる野の明るさになつてきし  (兵庫県太子町)一寸木詩郷
〇   ふきのたう跨ぎ小流れ跨ぎけり  (奈良市)田村英一
〇   鴨の陣水面の塔を乱し過ぐ  (堺市)杉山千恵子
 

今週の「朝日俳壇」より(2020/3/22掲載)

     長谷川櫂選

 視力低下が著しいので、朝日俳壇の鑑賞は、当分のあいだ休止させて頂きます。

〇   春寒や日本一国休校に  (伊万里市)田中南嶽
〇   長らへて雛と守らん国の詩歌  (オランダ)モーレンカンプふゆこ
〇   春寒や心の暇に石を積む  (小田原市)丸山典雄
〇   寒鰤の鎌焦げしより精悍に  (鹿児島市)青野迦葉
〇   なにみかも浄めて庭に梅二輪  (金沢市)前九疑
〇   水温む辺りにはかに動くもの  (小金井市)二瓶みち子
〇   ものの芽というて得体の知れぬ芽も  (今治市)横田青天子
〇   入院をすれば満月妻に見ゆ  (河内長野市)北阪英一
〇   信長の焼きし国々葦の角  (津市)中山いつき
〇   ウイルスにかかはりもなく春の空  (岩倉市)村瀬みさを

今週の「朝日俳壇」より(2020/3/22掲載)

     大串章選

 視力低下が著しいので、朝日俳壇の鑑賞は、当分のあいだ休止させて頂きます。

〇   海越えて二人寄り添ふ内裏雛  (オランダ)モーレンカンプふゆこ
〇   この辺り多喜二住みしと多喜二の忌  (東京都)大澤都志子
〇   被爆地の分校跡の春の空  (いわき市)馬目空
〇   龍天に昇るを追うて島噴けり  (鹿児島市)青野迦葉
〇   ヨーデルの記憶の遙か青き踏む  (塩尻市)古厩林生
〇   啓蟄や古墳出で来る人の列  (霧島市)久野茂樹
〇   国境は海の真ん中鳥帰る  (加古川市)森木史子
〇   落第子無人灯台まで来たる  (横浜市)飯島幹也
〇   梅真白余韻を生くる老の日々  (岡山市)内田一正
〇   耕人に土光り草ひかりけり  (合志市)坂田美代子

今週の「朝日俳壇」より(2020/3/19掲載)

     高山れおな選

〇   人もまた狂ふときあり猫の恋  (名古屋市)池内真澄

 「猫たちが恋をする季節、即ち<発情期>は、春先と夏の二回であり、この時期になると、雌猫が雄猫を求めて狂い鳴きする」とか!
 それに対して、私たち人間どもは年から年中<発情期>であり、雄雌構わず、それぞれ相手を求めて狂い泣きしているのが現状で無ければならないのであるが、昨今の若者たちは恋をする事を忘れたのか、昔なら、結婚適齢期と言われた時期を過ぎても、独り身のままでいるのであるが、掲句の作者・池内真澄さんは、昨今の若者たちのこうした傾向(性欲減退傾向)を称して「人もまた狂ふときあり」と詠んだのでありましょうか?
     定年が六十五歳になると云ふそんな世の中真つ平御免!  鳥羽散歩 


〇   穏やかな風に帆を立て初蝶来  (日立市)加藤宙
 
 「風に帆を立て」と、今年初めて飛んで来た蝶をヨットに見立てているのである。
     春風に帆を立てて飛ぶ初蝶のヤマトシジミかモンシロチョウか  鳥羽散歩


〇   花屋から溢れてきたる春の水  (柏市)田頭玲子

 小川を流れている水を目にして「花屋から溢れてきたる春の水」と詠む、作者の感性の素晴らしさに拍手を!
      

〇   眼球も顫へてゐます春の星  (横浜市)前島康樹

 天体望遠鏡で初めて<春の大曲線>を観測し<おとめ座のスピカ>を見た時の嬉しさよ!


〇   火の山も良か二才振りに雪化粧  (鹿児島市)世路蛮太郎

 中七の読みは「よかにせぶりに」であるが、「二才振り」とは、<二年ぶり>という意味でありましょうか?
      二才振りに雪化粧して良か女子桜島山嬶あ天下だ!  鳥羽散歩


〇   多喜二忌の帝国ホテルロビーかな  (東京都)野上卓

 「多喜二忌」と「帝国ホテルロビー」とのミスマッチが狙いの野上卓流俳句の単調さを蔑視せよ!


〇   戦国を覗き込む井戸猫柳  (川越市)大野宥之介

 戦国時代を覗き込むような古井戸の跡に猫柳が芽生えている春景色。


〇   春の午後客に成りたい縄電車  (河内長野市)西森正治

 「客に成りたい」などと言って、「縄電車」に入って行こうものなら、忽ち痴漢扱いされましょう!
     幼ならの道に描ける電車路を伝ひて通ふ整形外科へ  鳥羽散歩


〇   ねこの日はねこ化しているばばとばば  (東京都)坂本宙海

 「ねこの日」と特定される旗日はありませんから、件の「ねこ化しているばばとばば」にとっては、常在「ねこの日」なのでありましょう。
      「猫の日は猫の国旗を掲げよ!」と無理難題を言ふなアベちやん!  鳥羽散歩


〇   己が死を己れが泣くや夢の春  (小山市)宇津木玲華

 その類の夢は、私・鳥羽散歩もよく見ることがあります。
     己が死を己むが弔う夢見たりコロナウイルス故に悩めば  鳥羽散歩

 視力低下が著しいので、朝日俳壇の鑑賞は、当分のあいだ休止させて頂きます。

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