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詩歌句誌面

読解なくして論評あらず。

今週の「朝日歌壇」より(2020/8/2掲載)  慰安とは性を蹂躙する事か?慰安婦とふは哀しき言葉!  生きてれば生きてたなりの希望あり!死んでしまえば元も子も無い!  「責任を痛感します」と云うならば責任取って切腹しろよ!  人間よ!放てイルカを海原へ!丸い海しか知らぬイルカを!  百年に一度か二度の地震なら運が良ければ見舞われないが!  「遠くから祈っています」と書くだけが精一杯の長野県民!


     永田和弘選

○  短冊の「コロナが無くなりますように」も泥まみれの熊本豪雨  (長野県)丸山志保

 首席。
 折りが折りだけに、ボランティアの方々の員数も少なく、しかも、その大半は同県人であり、被災者である場合も多いから、土砂や堆積物の撤去作業もなかなか進みません。
 七夕飾りの「短冊」に「コロナがなくなりますように」と、そして、「球磨川が氾濫しないように」と書いて、七夕様に祈るしか手段が無いのでありましょうか!
     「遠くから祈っています」と書くだけが精一杯の長野県民!
     「遠くから祈っています」と書くだけで<関の山>かも長野県民!
     牽牛と織姫程の距離ならばボランティアにも出で立ちましょう!


○  川幅が昨夜の雨の跡残す今年も続く五十年に一度  (日南市)宮田隆雄
 次席。
 「丸山さん、宮田さん、九州豪雨で祈願の短冊も泥まみれの悲惨さ、五十年に一度の特別警報が毎年のように発せられるやるせなさ」とは、選者・永田和宏氏の寸評である。
 二首纏めての寸評は、いかにも遣っ付け仕事みたいで、せっかくの入選作の作者に対して、あまりにも失礼ではありませんか!
     半世紀一度の豪雨に見舞われた!昨年は二度今年は一度!
     百年に一度か二度の地震なら運が良ければ見舞われないが!
     人間は還暦待たずに死ぬが良し長生きすると碌なこと無し!


○  牛蛙またの名を食用蛙 慰安婦のごと哀しき呼び名  (高松市)島田章平

 三席。
 「普段何げなく使っている食用蛙という名から、慰安婦という言葉の哀しさに思いが及ぶ」とは、選者・永田和宏氏の寸評である。
 然しながら、本作の作者・島田章平さんは、「食用蛙」という言葉でさえも<何げなく使っている>のでは無くて、同じ生物であっても食用に供される者と食用に供する者が存在していることの無情さ!
 即ち、食物連鎖という言葉の無情さを、しみじみと感得しながら使っているのでありましょう。
 従って、「牛蛙のまたの名の食用蛙」から「慰安婦」と呼ばれて哀しい生涯を辿った、朝鮮半島の女性たちを思い起したのは、極めて自然的な事であったのでありましょう。
 今更、私の如き存在が口にする必要はありませんが、日韓両国和平の最大の障害となっているのは<慰安婦問題>でありますが、この重大事を、自らの生活半径に存在する些細な出来事とも言える、生物の名称の「食用蛙」から思い起こして詠まれたのが本作であり、島田章平さんの久々の傑作である。
     慰安とは性を蹂躙する事か?慰安婦とふは哀しき言葉!
     自らの性欲充足せしめむと性交渉を徒に急く!
     「夜の街関連」と云ふ言葉もて片付けられない喫緊の用!


○  吊されたボールへ高く高く跳ぶ丸い海しか知らぬイルカは  (観音寺市)篠原俊則

 四席。
 水族館で飼育され、私たち人間を前にして、「吊るされたボール」を目掛けて「高く高く」跳躍するなどの曲芸を演じている「イルカ」が、塩化ポリエチレン製の浮き輪に拠って限定された「丸い海しか知らぬ」存在であったとしたならば、それは真に以て残酷な事ではありませんか!
      人間よ!放てイルカを海原へ!丸い海しか知らぬイルカを!
      塩化ポリの浮き輪の範囲に限られた丸い海しか知らないのかい!


○  漢字など知らず使った藁半紙、馬糞紙、模造紙昭和の教室  (大和郡山市)四方護

 五席。
 ガリ版を切って「藁半紙」に印刷された期末テストの問題!「馬糞紙」を和鋏で刻んだり肥後守で切ったりして作った工作!そして、廊下の隅の掲示板に貼られているのは模造紙に描かれた期末テストの成績順位表であり、「昭和の教室」の全ては、そうしたあまりにも寂し過ぎる光景であった。
     漢字など知らなくたって糞食らえ!どうせ儂らは昭和の愚民!
     東京のコロナ感染糞食らえ!どうせ儂らは裏日本だ!


○  人間の愚かさ淋しさ味方にし生き延び増える新型コロナ  (西宮市)大山緑

 六席。
 それを云うならば……………!
     国民の愚かさ淋しさ味方にし総理在職期間を延ばす!
     愚直なる吾ら庶民を馬鹿にしてまたも配るか不要なマスク!


○  読んだ本読みさしの本読みたい本読んだことさえ忘れてる本  (さいたま市)丹羽和代

 七席。
 「読んだ本・読みさしの本・読みたい本・読んだことさえ忘れてる本」と、多種多様な本が在る現代社会ではありますが、私・鳥羽散歩の場合は、もう一点、「出版する予定が延び延びになっている本」があります。 
     ブックオフの百均棚に曝されて売れる気配も見せない歌集!


○  「責任を痛感します」叱られて児はアベさんの物真似をする  (堺市)梶田有紀子

 八席。
 あまりにも出来過ぎた話ではありませんか!
 そんなことを口にする悪ガキが居たならば、私・鳥羽散歩はお目に掛かりたい!
     「責任を痛感します」と云うならば責任取って切腹しろよ!


○  トリチウム分離技術も安価なる放出案にはかなわないのか  (福島市)青木崇郎

 九席。
 「近畿大などの研究チームが放射性物質のトリチウムを含んだ水を除去する新技術を開発した。トリチウムは東京電力福島第1原発の汚染水に含まれており、除去が難題になっている。チームは『今は実験室レベルだが、いずれ福島でのトリチウム水の処分に貢献したい』と語る。トリチウムは三重水素と呼ばれ、水素原子に中性子が2個付いた放射性物質。通常の水とトリチウム水には化学的な差がほとんどなく分離が難しい。井原辰彦・近大教授(無機材料化学)と大阪市のアルミ箔(はく)製造会社<東洋アルミニウム>などのチームは、直径5ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の小さな穴が無数に開いたアルミ製フィルターを開発。トリチウム水を含んだ水蒸気をフィルターに通すと、トリチウム水だけが穴に残り、『条件によるが、ほぼ100%分離できた』という。福島第1原発では、汚染水からセシウムなど別の放射性物質を除去し始めているが、トリチウムだけが取り除けていない。敷地内のタンクに貯蔵する汚染水は80万トン超。チームは今後、福島県内の企業などと協力し、原発の汚染水処理ができる実用機器の開発を進めるという。トリチウムは自然界にも存在しているため、原子力規制委員会は「濃度を薄めることができれば、安全上問題ない」と海洋放出すべきだとの立場だが、風評被害を懸念する地元の漁業関係者らが反対。国は有識者委員会を設置し、トリチウム水の処分方法の検討を続けているという記事が、2018年8月27日付けの毎日新聞に掲載されていた、との事でありますが、「こうした革新的な技術でさえも、安価なる放出案にはかなわないのか」とするのが、本作の趣旨であり、福島県福島市にお住いの本作の作者・青木崇郎さんは、ただ「安価なる放出案にはかなわないのか」と述べているだけのことであり、東京電力が断行しようとしている「トリチウム水海洋放出」に就いての自らの意見は何一つとして口に出そうとしないのである。
     希釈して海中放出すれば良い!海水汚染しない程度に!


○  「生きてさえいれば希望が──」周庭氏の今日は如何なる一日だろうか  (近江八幡市)寺下吉則

 末席。
 「言論や集会の自由に制限を加える<香港国家安全維持法>の成立を受け、香港の政治団体<香港衆志」デモシスト)>からの脱退を表明した幹部の周庭(アグネス・チョウ)氏(23)は6月30日、SNSで『私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。生きてさえいれば、希望があります』とコメントした」との趣旨のニュースを、去る2020年7月1日発行の<産経新聞>を初めとした各種情報機関が伝えているが、滋賀県近江八幡市にあ住いの本作の作者・寺下吉則さんは、件のデモシストから脱退した日の周庭さんのご心境を慮って本作をお詠みになったのでありましょうが、周庭さんのご心境は、SNSでの件の言葉、即ち、「私、周庭は、本日をもって、政治団体デモシストから脱退致します。これは重く、しかし、もう避けることができない決定です。絶望の中にあっても、いつもお互いのことを想い、私たちはもっと強く生きなければなりません。生きてさえいれば、希望があります」で以て、言い尽されているように思われます。
 つまり、周庭さんは、当日を以て<政治結社デモシスト>から脱退したのであり、それ以上でも、それ以下でもありません。
 「生きてさえいれば、希望があります」との、彼女の言葉の重みを、寺下吉則さんを初めとした、私たち日本国民は、充分に噛み締めるべきでありましょう。
     生きてれば生きてたなりの希望あり!死んでしまえば元も子も無い!
     死んで花実が咲くものか?生きていてこそまたデモが出来るんじゃない! 
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今週の「朝日歌壇」より(2020/8/2掲載)  仕事柄職員多数感染し医療体制崩壊寸前!  我武者羅とクールを宜しく使い分け自分を生かす職業に就け!  休校の日々の暮らしを題材に詠んだ短歌の一部が入選!  五度嫁ぎ挙句の果ての石田姓!「しのづか」なるは何度目の姓!  コロナ禍の厄落とすため止むを得ず茅の輪くぐりて職場へ出向く!    



     高野公彦選

○  うちひさす京は遠ても十八里若狭おばまを登美子と歩く  (福井市)野原つむぎ

 首席。
 「鯖街道や山川登美子のことを思いつつ小浜散策を楽しむ作者」とは、選者・高野公彦氏の寸評である>
 福井市にお住いの本作の作者・野原つむぎさんが、<白百合の君>こと夭折の歌人・山川登美子を偲んで散策する「若狭おばき」は「うちひさす京」からは遠いと言っても、僅かに「十八里」であり、徒歩で一日半の旅程に過ぎないのである。
 この一首から読み取れるものは、作者・野原つむぎさんの短歌に燃やす情熱と「うちひさす都・京都」への憧れなのである。
 表現上の問題点を指摘すれば、「若狭おばま」は「若狭小浜」と漢字書きしたいところである。
      ひとたびは序二段にまで転落し復活優勝照ノ富士関
      ひちひさす都・京都に憧れて鯖街道を登美子と歩む


○  栄螺焼き伊勢志摩限定ビール飲むコロナが地元を見直せと言う  (松阪市)こやまはつみ

 次席及び佐佐木選の六席。
 「県外の旅に出なくとも地元で十分、と」とは、選者・高野公彦氏の寸評でありますが、そんな事を言ってたら、安倍内閣が推進する<GoToトラベルキャンペーン>に背くことになりはしませんか?
     赤福の賞味期限切れ問題解決したのは解任社長
     赤福は日持ちしません!それだけにお伊勢参りの土産にならぬ!


○  ボート牽く自衛隊員雨に濡れ尊きものは前線にある  (観音寺市)篠原俊則

 三席。
 「被災地の現場で救助活動をする人々の尊さ。また、病院で医療活動するのも<前線>の人々」との寸評から伺われる、選者・高野公彦氏の自衛隊に対する複雑なる思いには、同感を覚えざるを得ません!
      被災者を救済するのを主務とする災害対策自衛隊員


○  仕事柄多くの人が感染し国会議員誰も罹らず  (川崎市)小島敦

 四席。
 「国会議員」がただの一人としてコロナ感染していないのは<アベノマスク>のお蔭なのかも知れません。
      仕事柄職員多数感染し医療体制崩壊寸前!


○  好きな物発掘するのが断捨離で有るから使っていたものを捨つ  (刈谷市)川村浩美

 五席。
 文意不明?
 かと言って、前衛短歌でも無さそうだ?
 本作は、或いは「<断捨離>とは、生命や財産や家族や愛人などへの未練を断ち切って捨て、この世への執着心から離脱する、という意味では無くて、箪笥や押し入れの底から好きな物を発掘するという意味であり、そういった本来の意味の断捨離を徹した暮しをしたいから、私は、これまでとは違い、ただ単に目の前に在るから使っていた、といった程度の品物を捨てて行きたい」といった趣旨の作品でありましょうか?
 仮に、そうであるとしても、あまりにも言葉足らずで、私たち読者にとっては理解不能の作品であり、この作品を、五席入選作とした、選者・高野公彦氏の選歌眼には疑いを持たざるを得ません。
     好きなもの発掘したいと断捨離し家財も友も失くしてしまう
     好きな物発掘するのを目的に出た旅先で感染したら!


○  就活をしている日々にすれ違うがむしゃらな私クールな私  (富山市)松田梨子

 六席。
 本作は、「私・松田梨子は、来春に迫った大学卒業を目前にして、この春以来、就活に明け暮れているのであるが、そうした私の日々は、新たな発見に満ちている日々であり、その具体例を挙げれば、<この私自身の体内にも、この会社には何が何でも入りたいからと、がむしゃらに突進しようとする私と、入れない会社には入れないからと、クールに判断する私とが同居している>ことを発見したのである」といった趣旨でありましょうか?
 今にして思えば、「がむしゃらな私」とは、ご両親の思いや世間体などを気にせずに、ただ只管に恋人に突進して行った頃の松田梨子さんであり、「クールな私」とは、捨てられたのか捨てたのかは解りませんが、一時期の恋愛熱から解放されて、専門知識の習得に徹するようになった松田梨子さんでありましょう。
 でも、「むしゃらな私」と「クールな私」とがすれ違ってばかり居たならば就活戦線に勝ち残れません!
     我武者羅とクールを宜しく使い分け自分を生かす職業に就け!


○  休校の日のありしことの証明のように残った1000ピースのパズル  (奈良市)山添聖子

 七席。
 愛娘の山添葵さんは、件の「1000ピースのパズル」も片付けないままに登校したのでありましょうか?
 だとしたら、その責任の一端は、朝日歌壇への投稿にかまけて碌な躾をしなかった、母親の山添聖子さんも負わなければなりません。
     休校の日々の暮らしを題材に詠んだ短歌の一部が入選!


○  外出を控え能率の上がれども財布の売れの鈍りをりたり  (香取市)嶋田武夫

 八席。
 是を以て「生産過剰・供給過多」と謂うのでありましょう!
 「然う言へば在宅勤務の草分けか財布造りに半世紀過ぐ」とは、去る七月十二日付けの朝日新聞の朝刊に掲載された、嶋田武夫さん作の高野公彦選の六席・入選作であり、本作の作者・嶋田武夫さんは、半世紀の長きに亘って財布造りに専念されたのでありましょう。
 財布に限らず、商品の生産や販売には、需要と供給の関係をよくよく考えて当たらなければなりません!
 安倍内閣から「緊急事態宣言」が発令されたからといって、<夜の街>にも出掛けないで、昼夜別なく仕事場に引き籠って、財布造りばかりして居たら、忽ち<生産過剰>状態になり、<財布インフレ>を引き起こすこと必至ではありませんか!
      香取市の嶋田武夫は愚かにも<財布インフレ>現出犯人!


○  妻が使う古い竹製物差しに薄く残れる旧姓「しのづか」  (下野市)石田信二

 九席。
 我が家にも、「嬬が使う古い竹製物差し」が在りますが、その裏側には、旧制の「然う言へば在宅勤務の草分けか財布造りに半世紀過ぐでは無くて「宣子」と、墨色鮮明に記されておりますよ!
      五度嫁ぎ挙句の果ての石田姓!「しのづか」なるは何度目の姓!


○  コロナ禍に初めて茅の輪くぐりして行かねばならぬ仕事へと行く  (横浜市)三好れいこ

 末席。 
 本作の作者・三好れいこさんは横浜市にお住まいでありますが、横浜市界隈で、今年、「茅の輪くぐり」を行った神社は、私の知る範囲に於いては、川崎市麻生区の琴平神社、横浜市中区の本目神社、同旭区の八幡神社、同同の本村神社等などでありますが、三好れいこさんは、何神社で行われた「茅の輪くぐり」をして「行かねばならぬ仕事へと」出向かれたのでありましょうか?
      コロナ禍の厄落とすため止むを得ず茅の輪くぐりて職場へ出向く!  

今週の「朝日歌壇」より(2020/8/2掲載)

     馬場あき子選

○  祈りし後平和の礎に老い人は鮭のおにぎり二つ供えぬ  (仙台市)村岡美知子

 首席。
 「デレビの画像であろうか。沖縄の平和の礎に身内の名をたどる老人。『鮭のおにぎり』という供え物に痛切な思いがこもる」とは、選者・馬場あき子氏の寸評である。

 沖縄・辺野古で進む基地建設の前提が揺らぐ事態だ。直ちに埋め立て工事をやめ、県と真摯に話し合う。安倍政権がとるべき道はそれしかない。
 米軍普天間飛行場の移設予定海域で確認された軟弱地盤対策として、政府がいまの設計計画を変更する方針であることがわかった。このままでは地盤沈下の恐れがあり、基地は造れないと判断した模様だ。
 だが軟弱地盤問題は、県が昨年夏に埋め立て承認を撤回したときにあげた最大の理由の一つだ。「辺野古ノー」の圧倒的な民意をうけて当選した玉城デニー知事が変更を承認する可能性はない。さらなる混迷を避ける方策は、政府がこれまでの強硬姿勢を改めて出直すことだ。
 この間の政府の不誠実さには目にあまるものがあった。
 「マヨネーズ並み」といわれる地盤の存在は、沖縄防衛局による14~16年のボーリング調査で判明していた。ところが政府はこの事実を明らかにせず、県民らの情報公開請求を受けて、昨年3月にようやく開示した。それでも「他の調査結果を踏まえて総合的に強度を判断する」などと弁明し、特段の対策を講じないまま移設工事を続行。昨年12月には一部海域への土砂の投入に踏みきった。
 異論や疑問を力で抑え込み、既成事実を積み上げる。あるところまで進んでしまえば、埋め立てに反対する勢力もあきらめ、最後は屈服する。工費がいくら膨らんでも構わない。そんな思惑が明白だった。
 最近も県民を愚弄するような政権の振る舞いが続く。
 安倍首相はNHK番組で「土砂投入にあたり、あそこのサンゴは移している」と発言した。実際に移植したのは区域外のごく一部なのに、あたかも環境保全に万全を期しているように装う。首相がよく口にする「印象操作」に他ならない。
 設計変更の方針が報じられると、その日のうちに県に対し、3月下旬から新たな海域への土砂投入を始めると通知した。沖縄基地負担軽減担当でもある菅官房長官は会見で、軟弱地盤について「承知していない」と言い放ち、防衛省ともども表立った説明を拒み続ける。
 さらには、いま埋め立てに使っている土砂に、県条例が規制する赤土が混じっている疑いも浮上している。だが政府はこの疑念にも、正面から答えようとしない。
 国民に向き合う政治、まともな行政を取り戻さなければならない。この国の民主主義の地盤が溶けかかっている。
 (以上、2019年1月27日付けの『朝日新聞』の朝刊に掲載された「社説」を転載させていただきました。)

 名護市辺野古の新基地建設について、沖縄防衛局が埋め立て用土砂の採取地を県内全域に広げて検討していることが28日までに分かった。防衛局が4月に県へ提出した設計変更の申請書に、離島を含む7地区9市町村を記載した。実際の調達場所は、気象や交通状況などを踏まえて決定する。県内で調達可能だとする最大の量が当初申請の670万立方メートルから、約6.7倍の4476万立方メートルへと増えた。関係者が明らかにした。  
 県内の土砂調達可能量の7割超(3160万立方メートル)が新たに加わった「南部地区」(糸満市・八重瀬町)だ。防衛局はその他、うるま市の宮城島と宮古島市、石垣市、南大東村を追加した。搬出に使う港名は明記せず地図で示した。
 2013年当初の申請書では、県内の土砂採取地は国頭地区と本部地区のみだった。市町村名を明記していなかったが、本部地区に本部町と名護市が含まれると主張していた。
 県外の土砂採取場所についても福岡県や山口県、香川県を削除。奄美大島や徳之島に加えて新たに追加した鹿児島県の複数箇所を中心に土砂を採る計画に変更している。実際に埋め立てに使うために鉱山から採取する土砂(岩ずり)量は約1690万立方メートルと設定している。
 玉城デニー知事は設計変更を承認しない構えだ。
 (以上、2020年7月29日付けの『琉球新報(WEBNEWS)』に掲載された記事を、無断転載させていただきました。)
     二丁目のお稲荷様に参拝し油揚げ二枚進上します


○  道端にたびたびマスクが捨ててあるあなたを守つた愛のこもるを  (岐阜市)臼井均

 次席。
 「近頃よく見かける道端のマスク。下句の思いが濃い」との、選者・馬場あき子氏の寸評であるが、「あなたを守つた愛のこもるを」と云う段に及んでは、とてもとてもいただけません。
     血税の数百億を費やしたアベノマスクの成れの果てかも

○  濁流に吞み込まれゆく深水橋朱きアーチよ幾度渡りし  (八代市)桑田美智代

 三席。
 2020年7月5日19時37分付けの「NHKNEWSWEB」の報じるところに拠ると、「熊本県では、球磨川を中心に14の橋が流失した」との事であり、「熊本県によりますと、5日午後1時の時点で、球磨川を中心に合わせて14の橋が流されたことが確認されました。▼球磨川では、▽球磨村の相良橋、沖鶴橋、大瀬橋、松本橋、▽八代市の深水橋、坂本橋、鎌瀬橋、▽人吉市の西瀬橋、天狗橋、▽芦北町の神瀬橋、球磨川の支流でも流された橋が相次ぎ、▼川内川では球磨村の丸岩橋、永椎橋、▼小川では球磨村の糸原橋、▼鳩胸川では人吉市の麓橋」がそれぞれ流失したとの事である。
 本作の作者・桑田美智代さんは、流失した深見橋が在った熊本県八代市にお住いでありますから、物見高くも、件の「深見橋」が流失して行く有様を実見されたのでありましょう。
 「朱きアーチよ幾度渡りし」という下の二句に込められた喪失感が切ない!
     濁流に飲み込まれたのは熊本の球磨川水系の十四の橋!


○  鮆の身を全て食せり心臓は汁に沈みて黄色く苦し  (諫早市)藤山増昭

 作中の「鮆」に就いては、選者・馬場あき子氏の寸評に「鮆は有明海の希少魚で美味」とありますが、あの食通で有名な馬場あき子氏も、「有明海の希少魚で美味」なる「鮆」は、未だ食された事が無いものと思われる。
 事の序でに、如何に<魚編>の漢字を画数別に列挙しますから、本ブログの読者の方々に於かれましては、コロナ休業中の暇潰しの一環として、漢和辞典などを繙かれ、その<ヨミ(日本名)>などをお調べになられたら如何てありましょうか。
0画 魚
2画 魛 魞
3画 魡
4画 魣 魥 魦 魨 魪 魫 魬 魭 魮 魯 魲 魳 魴 魵 魶 魷 魸 魹
5画 魿 鮀 鮃 鮄 鮅 鮆 鮇 鮉 鮊 鮋 鮍 鮎 鮏 鮐 鮑 鮒 鮓 鮔 鮖 鮗
6画 鮚 鮝 鮞 鮟 鮠 鮦 鮧 鮨 鮩 鮫 鮬 鮭 鮮 鮰 鮱 鮲 鮴
7画 鮷 鮸 鮹 鮻 鮼 鮾 鮿 鯀 鯁 鯆 鯇 鯈 鯉 鯊 鯎 鯏 鯐 鯑 鯒 鯽 𩷛
8画 鯔 鯖 鯗 鯘 鯛 鯝 鯟 鯡 鯢 鯣 鯤 鯥 鯧 鯨 鯪 鯫 鯮 鯯 鯰 鯱 鯲 鯳 鯵 𩸽 𩸕
9画 鯷 鯸 鯹 鯺 鯿 鰀 鰂 鰄 鰆 鰈 鰉 鰊 鰋 鰌 鰍 鰏 鰐 鰑 鰒 鰓 鰔 鰕 鰖 鰘 鰙 鰚 鰛 𩹉
10画 鰜 鰝 鰞 鰡 鰢 鰣 鰤 鰥 鰦 鰧 鰨 鰩 鰪 鰭 鰮 鰯 鰰 𩺊
11画 鰱 鰲 鰵 鰶 鰷 鰹 鰺 鰻 鰽 鰾 鱁 鱃 鱄 鱅 鱆 鱇 鱈 鷠 𩺰 𩻄
12画 鱉 鱊 鱎 鱏 鱐 鱒 鱓 鱔 鱖 鱗 鱘 鱚 鱛 𩻛
13画 鱜 鱝 鱞 鱟 鱠 鱢 鱣 鱥 鱧 鱩 鱪 鱫
14画 鱨 鱭 鱮 鱰
15画 鱲 鱵 鱶
16画 鱷 鱸
19画 鱺
22画 鱻
33画 䲜

     「鱻」は<セン>とよみ「活魚・新しい・少ない」などの意味を持つ漢字!
     「鑫」は<キン>とよみ「金銭や財産などが多いさま」を表す!
     「麤」は<くろごめ>とよみ「玄米」や「精白されていない米」の意である!




○  授業中時化の波間の板きれのごとく机を抱えて寝る子  (可児市)前川泰信 

 五席。

○  月間の短歌雑誌もウイルスの歌ばかりなり汚染されしか  (高崎市)門倉まさる

 六席。

○  たっぷりとキャビアのごとき種だいて追熟中のパパイヤ香る  (三島市)渕野里子

 七席。

○  数匹の鮭の目玉浮く池にトマトとナスの水もらうなり  (伊賀市)秋田彦子

 八席。

○  行商を終へたる女が荷にもたれ眠る電車が行く青田中  (日立市)加藤宙

 九席。

○  母ねがい父植え替えし檸檬の木母死して後小さく実る  (福津市)岩永芳人

 末席。 

今週の「朝日歌壇」より(2020/8/2掲載)

     佐佐木幸綱選

○  追っかけて追っかけられてアナグマが梅雨の晴れ間の庭を突っ切る  (霧島市)久野茂樹
 首席。
○  赤じそを並んでむしる昼さがりいたちがさっき走っていった  (大和高田市)森村喜和子
 次席。
○  ひいふうみ穴より出づる子狸の戯れ合ふ庭に梅雨晴れやさし  (会津若松市)足利純一
 三席。
○  雄雉子の鋭声をよそにわが家の隣る空地に餌を食める雉  (東金市)山本寒苦
 四席。
 「一~四首、梅雨の季節を迎えて、日本各地でたようなけものたち、鳥たちが里におりてきて活躍しているらしい。そんな動物たちを見るそれぞれのやさしいまなざし」とは、選者・佐佐木幸綱氏の寸評である。


○  猿が好きだから切手も猿を貼る猿の親子をうふふと眺め  (高崎市)笠井弥生

 五席。

○  堰普請忙しく終へて淋しくも今年は常の打上げはなし  (さいたま市)泉明

 七席。

○  七月はハンカチを手にすれちがうとき口にあてまたは汗をふく  (川崎市)小林冬海

 八席。

○  ほんのりと瀬戸の塩ふり蒸したての新ジャガを食ぶ自粛のこひる  (嘉麻市)野見山弘子

 九席。

○  除染後に敷かれた硬い土塊へ緑生い立つとうとう九年  (福島市)米倉みなと

 末席。

 

「阿波野巧也第一歌集『ビギナーズラック』」を捲る

○   冬と春まじわりあって少しずつ暮らしのなかで捨ててゆく紙

○   だいなしの雨の花見のだいなしな景色のいまも愛なのかなあ

○   フードコートはほぼ家族連れ、この中の誰かが罪人でもかまわない

○   きみが青いリュックを抱いて眠りゆく電車でぼくは海を見ている

○   虚無(コミュ)力がほしい けっこう降ったあと光ってた、濡れている草ぐさ

○   遠くに近くにかすかに揺れるはるじおん いろんな顔をぼくに見せてよ

○   入り口はこちらと示す貼り紙のラミネートがほんのりずれている

○   噴水をかたむけながら吹いている風、なんどでもぼくはまちがう

○   憂鬱はセブンイレブンにやって来てホットスナック買って食べます

○   駅までの道を覚えていきながらふたり暮らしのはじまる四月

○   いくつになっても円周率を覚えてる いくつになっても きみがいなくても

○   きみの書くきみの名前は書き順がすこしちがっている秋の花

○   道ばたの草も濡らしてて雨が降る ぼくはこころに曳かれて歩く

○   秋の光をそこにとどめて傘立てのビニール傘をひかる雨つぶ

○   夜の居酒屋はじけるような暗算を見せつけられてうれしくなった

○   父親とラッパの写真 父親は若くなりラッパを吹いている

○   まわらない寿司まわる寿司まわしてもまわらなくても変わらない寿司

○   フードコートはほぼ家族連れ、この中の誰かが罪人でもかまわない

○   裏切り者、と書かれたシャツを着たひとと赤信号でいっしょになった

○   帰省した部屋のソファーでねむるとき匂いはしてももういない犬

○   どのかなしみも引き受けるからはつなつの回転寿司を食べにいこうよ

○   百円硬貨落とせば道に花は咲く きれいな気持ちで死んでいきたい

○   本の帯をいためてしまう愚かさで暮らしていくだろうこれからも

○   下の方だけの葉桜 中の上ぐらいのワイシャツを買いたいな

○   出遅れたマリオカートのそのあともずっとふてくされる男の子

○   やめたサークルの同期会のお知らせの通知、その通知の薄明かり

○   ほどほどの川が流れているほどの地元があなたにもあるでしょう?

○   噴水がきらきら喘ぐ 了解ですみたいなメールをたくさん送る

○   きみが青いリュックを抱いて眠りゆく電車でぼくは海を見ている

○   解き方を忘れ去られたルービックキューブがこの町にいくつある?

○   風水をつよく信じるひとのことすこし信じる 青草を踏む

○   ワールドイズファイン、センキュー膜っぽい空気をゆけば休診日かよ

○   打ち切りになった漫画のことだって火花のように覚えていたい


阿波野巧也~1993年1月2日、大阪府生まれ。「京大短歌」「塔」を経て現在「羽根と根」に所属。第5回塔新人賞/第1回笹井宏之賞にて永井祐賞受賞。歌集『ビギナーズラック』(左右社)。

今週の「朝日俳壇」より(2020/8/2掲載)

     高山れおな選

○   大出水暮し丸ごと流れ行く  (西海市)前田一草

 首席。
 「<暮し丸ごと>というやや商業コピー的な言い回しがここではなんとも痛切」との、選者・高山れおな氏の寸評には感服せざるを得ません。


○   雲の峰衰へもまた凄まじき  (東京都)望月清彦

 次席。
 「それに見入る心、その時間」との、選者・高山れおな氏の寸評は、掲句の魅力の全てを言い尽しているものとと思われる。

○   離れつつ揚がり花火の重なれる  (大阪市)今井文雄

 三席。
 「大らかかつ繊細な写生だ」との、選者・高山れおな氏の寸評には、付け加える言葉もありません。



○   端居して人傷つけぬやう歪む  (船橋市)斉木直哉

 四席。
 「詠まれているのは、一種の消滅願望にちがいない」と迄も断言とは、さすがに高山れおな氏の寸評である。
      他所様を傷付けぬやう振る舞ひて己が心を歪むる勿れ


○   耳元に夏の湖置いて寝る  (下野市)久保田清

 八席。
 「寝苦しい真夏の夜を屋外から聞えて来る湖の音に耳を澄ませて眠る」といった趣旨の一句でありましょう。
 中七「夏の湖」の「夏の」は不要かと思われるが、「夏の」が在る事に因って<夏の句>になっているのである。
      芦ノ湖の水面涼しき夏の夜を黒き卵をあてにし飲まむ


○   不揃いのコップが並ぶ祭の夜  (越谷市)新井高四郎

 九席。
 「不揃いのコップが並ぶ」とは、いかにも埼玉県越谷市の「祭の夜」に相応しい光景である。
     不揃いのコップ幾つも並べ置き祭り見に来るお客に備ふ

今週の「朝日俳壇」より(2020/8/2掲載)

     長谷川櫂選

○   球磨川の鮎も驚く豪雨かな  (鎌倉市)吉田和彦

 首席。
 「球磨川の鮎は一尺にもなる。下流の八代には鮎問屋もある」とは、選者・長谷川櫂氏の寸評である。
     球磨川の鮎も驚く商魂の逞しさ!鮎の老舗・より藤!


○  大陸の貨車の貨車の死骸にたかる蛆  (大阪市)今井文雄

 選者・長谷川櫂氏の寸評に拠ると、映画『人間の条件』の一場面であるとか?
      人間の生身にさへもたかるから死骸にたかるは当然である     

今週の「朝日俳壇」より(2020/8/2掲載)

     大串章選

○   岩魚釣る鱒二龍太のよき日かな

 去る七月十日は井伏鱒二忌であり、飯田龍太の誕生日であった。
 井伏鱒二は、平成五年七月十日に、荻窪自宅近くの東京衛生病院で肺炎のため死去。享年九十五歳。
 「翌々日の七月十二日に、天沼教会で密葬が行なわれ、龍太はこれに参列している」との事である。
 「井伏鱒二と飯田龍太との付き合いは深くて長く、釣り好きの井伏の川釣りには、飯田龍太がしばしば同行した」との事である。

『逸題』  井伏鱒二

     今宵は仲秋名月
     初恋を偲ぶ夜
     われら万障くりあわせ
     よしの屋で独り酒をのむ

     春さん蛸のぶつ切りをくれえ
     それも塩でくれえ
     酒はあついのがよい
     それから枝豆を一皿

     ああ 蛸のぶつ切りは臍みたいだ
     われら先づ腰かけに坐りなほし
     静かに酒をつぐ
     枝豆から湯気が立つ

     今宵は仲秋名月
     初恋を偲ぶ夜
     われら万障くりあわせ
     よしの屋で独り酒をのむ


『緑蔭』  井伏鱒二   

     池の水ぎはの立札に
     「この池に投石すべからず―当寺住職謹言」
     と書いてある

     ところが池に石を投げこむと
     どぶんといふ音がする
     もう一つ投げこむと
     どぶんといふ音がする
     何か薀蓄ありげな音ではないか
     もう一つ投げこむと
     これまた奥妙なる音ではないか

     もう一つ大きな石を投げこむと
     がらりと庫裏の障子をあけ
     「こら待て、くせもの」
     老僧が帯をしめながら
     おつとり刀の格好でとび出して来た


『寒夜母を思ふ』  井伏鱒二

     今日ふるさとの母者から
     ちよつといいものを送つて来た
     百両のカハセを送つて来た
     ひといきつけるといふものだらう

     ところが母者は手紙で申さるる
     お前このごろ横着に候
     これをしみじみ御覧ありたしと
     私の六つのときの写真を送って来た

     私は四十すぎたおやぢである
     古ぼけた写真に用はない
     私は夜ふけて原稿かくのが商売だ
     写真などよりドテラがいい

     私は着たきりの着たきり雀
     襟垢は首にひんやりとする
     それで机の前に坐るにも
     かうして前こごみに坐ります

     今宵は零下何度の寒さだらう
     ペンのインクも凍りついた
     鼻水ばかり流れ出る
     それでも詩を書く痩せ我慢

     母者は手紙で申さるる
     お前の痩せ我慢は無駄ごとだ
     小説など何の益にか相成るや
     田舎に帰れよと申さるる

     母者は性来ぐちつぽい
     私を横着者だと申さるる
     私に山をば愛せと申さるる
     土地をば愛せと申さるる
     祖先を崇めよと申さるる

     母者は性来しわんばう
     私に積立貯金せよと申さるる
     お祖師様を拝めと申さるる
     悲しきかなや母者びと


『紙凧』  井伏鱒二

     私の心の大空に舞ひあがる
     はるかなる紙凧 一つ
     舞ひあがれ舞ひあがれ
     私の心の大空たかく舞ひあがれ


○  白梅のあと紅梅の深空あり     飯田龍太
○  なにはともあれ山に雨山は春
○  千里より一里が遠き春の闇
○  黒服の春暑き列上野出づ
○  ふるさとの坂八方に春の嶺
○  入学児脱ぎちらしたる汗稚く
○  いきいきと三月生る雲の奥
○  春の鳶寄りわかれては高みつつ
○  夕されば春の雲みつ母の里
○  嶺暸かに初夏の市民ゆく
○  かたつむり甲斐も信濃も雨の中
○  抱く吾子も梅雨の重みといふべしや 
○  子の皿に塩ふる音もみどりの夜
○  どの子にも涼しく風の吹く日かな
○  炎天の巌の裸子やはらかし
○  毒茸月薄目して見てゐたり
○  黒揚羽九月の樹間透きとほり
○  鰯雲「馬鹿」も畑の餉に居たり
○  新米といふよろこびのかすかなり
○  母が割るかすかながらも林檎の音
○  亡き父の秋夜濡れたる机拭く
○  手が見えて父が落葉の山歩く
○  あをあをと年越す北のうしほかな
○  一月の川一月の谷の中
○  大寒の一戸もかくれなき故郷
○  亡きものはなし冬の星鎖をなせど
○  梅漬の種が真赤ぞ甲斐の冬
○  三伏の闇はるかより露のこゑ
○  元日の掌に鉄管の水ひびく
○  冬の雲生後三日の仔牛立つ
○  冬晴れのとある駅より印度人
○  冬深し巨船ひたすら南溟へ
○  冬耕の父母見下ろしに子が帰る
○  凍光や帰省す尿を大胆に
○  凧ひとつ浮かぶ小さな村の上
○  初夢のなかをわが身の遍路行
○  冬晴れのとある駅より印度人
○  ふるさとはひとりの咳のあとの闇
○  山河はや冬かがやきて位につけり


○   子は明日へ父は昨日へ草矢打つ  (京田辺市)加藤草児

 七席。

今週の「朝日俳壇」より(2020/8/2掲載)

     稲畑汀子選     

「朝日新聞夕刊掲載の『あるきだす言葉たち』」を読む(2020/67/29掲載)

     ≪巻き戻し≫ 近江瞬  


○  音の出ない拍手のような相槌でコップの氷を融かして鳴らす

○  君が泣くまでは気付けぬかなしみの咲いたひまわりだけがひまわり

○  かつて僕を励ましたその手のひらが遮るものとして立っている

○  これもまた暗喩だろうな指先が届いたせいで離れるリモコン

○  かなしみの等しくなさに降られつつひとつになってゆく水たまり

○  空っぽのペットボトルを捨てたあと風をかたどるだけの左手

○  ストリートビューの時間を巻き戻し僕らの住んでた街にしていく

○  水たまりを滑るあめんぼあの夜に僕がなくした傘かもしれず  



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