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archive: 2021年06月

杉崎恒夫第一歌集『食卓の音楽』」を拾い読みする

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○  白色のスーザフォーンを先立てて行進すれば風の不意打ち○  彗星のマップ延べつつ長楕円軌道に朝のパン屑こぼす○  地下鉄の窓いっぱいにきて停るコマーシャルフォトの大きな唇○  かなしみよりもっとも無縁のところにてりんごの芯が蜜を貯めいる○  くだものの皮ほぐれつつくだものの芯にサティのオルゴール鳴り○  たくさんの空の遠さにかこまれし人さし指の秋の灯台○  少しさむい春の夜だからワグナーのトランペッ...

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「近藤芳美『埃吹く街』」を読む

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     近藤芳美歌集『埃吹く街』(昭和二十二年刊)      「雨の匂ひ」○  いつの間に夜の省線にはられたる軍のガリ版を青年が剥ぐ○  世をあげし思想の中にまもり来て今こそ戦争を憎む心よ○  苦しみし十年は過ぎて思ふとき思想偽るにあまり馴れ居ぬ○  吊皮に皆モノマニヤの目付きして急停車毎よろめきてをり○  かぎり無き蜻蛉が出でて漂へば病ひあるがに心こだはる○  コンパスの針をあやまち折りしより心は侘...

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