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archive: 2022年11月

あさよみ

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          角川文庫発刊に関して     角川源義 第二次世界大戦の敗北は、軍事力の敗北であった以上に、私たちの若い力の敗退であった。私たちの文化が戦争に対して如何に無力であり、単なるあだ花に過ぎなかったかを、私たちは身を以て体験した。西洋近代文化の摂取にとって、明治以後八十年の歳月は決して短かすぎたとは言えない。にもかかわらず、近代文化の伝統を確立し、自由な批判と柔軟な良識に富む文化層と...

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今日の一首(ドーハの喜劇!)

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〇   逆転し二対一で独逸に勝つ!サッカー日本、ドーハの喜劇!  鳥羽散歩 国営放送・NHKのアナウンサーが、未だ真夜中だというのに、「勝った!勝った!」と怒号を上げている。 私としては、「何が勝っただ!一弗が百四十数円という円安なのに、勝ったも無いもんだ!真夜中にこんなことをしているから受信料を払いたくなくなるんだよな!私にだって安眠権があるんだぞ!」とばかりに、チャンネルボタンをあちらこちらに回...

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「山中律雄第五歌集『淡黄』(現代短歌社・2022年)」を読む(其のⅡ)       「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか? 

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〇   死者生者けぢめなくして暁の夢に睦みて言葉をかはす〇   しろうをの透きとほる身をはかなめど口にはこべば口がよろこぶ〇   震災の津波に逝きし人あはれ型ひとつなる位牌がならぶ〇   墨染めの僧衣まとひて乗るバスのわれの傍へに人は座らず〇   窓外にスコップ使ふ人のゐてすこやかげなる音は身に沁む〇   相殺ののちも良きことあまたなるわれのひと世を妻に感謝す〇   そのときの加減におなじ色のなき...

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「山中律雄第五歌集『淡黄』(現代短歌社・2022年)」を読む(其のⅠ)       「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか?

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〇   行き千歩帰り千歩といくばくの坂道を来て沼のべに立つ〇   諍へることなくふたり暮しゐて妻よあなたはしあはせですか〇   大きなる鯉のあふりにたゆたへる水の濁りはしばしにて澄む〇   こころざしどうでもよくて還暦を過ぎていちにちいちにち迅し〇   おのずから窪みにみづは集まりて秋の干潟にひかりを返す〇   海上に雲去りゆきてはつ夏の風吹く街は空軽くなる〇   公園の空よりくだり来し鳩が木立の...

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「木下のりみ第三歌集『真鍮色のロミオ』(・2022年)」を読む(其のⅥ)      「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか?

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〇   前歯なき子供かわゆし前歯なき大人おそろし何故ならむ〇   巻き上がる蔓に支柱の尽きたれば深さ果てなし天上の青〇   眉剃りし野球青年負けて泣くくちびる噛むとき眉毛は大事〇   真夜中のガラスをたたくかなぶんぶん真鍮色の小さなロミオ〇   水面より足逆立てる不可思議の美ありて人はこれを競り合う〇   身の盛りともしきろかも風に伏しし萩のひとむら起き上がりたり〇   虫たちがまだ続けいる輪唱に...

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「木下のりみ第三歌集『真鍮色のロミオ』(・2022年)」を読む(其のⅤ)      「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか?

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〇   撫でて抱いてぼんちゃんの命を手の平に載せていし罪こころを暗す〇   波乗りに飽きたる男のシルエット点景として秋ふかむ海〇   二十人というは多いか少ないか国際フジツボ学会参加者〇   日本人を守らんがため派兵するなどと言い出し始めましたよ〇   脳幹に血は広がりて術は無し舅の眠りはふかき水底〇   野火目守る男らは面熱ほてりつつ影となりゆく煙の中に〇   吞んで帰るふたり転ばぬように手をつ...

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「木下のりみ第三歌集『真鍮色のロミオ』(・2022年)」を読む(其のⅣ)      「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか?

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〇   焚き染めし御衣の姫を抱くやうにうち伏すセージの葉むらを起こす〇   抱いてやろうと犬にいうとき私が抱いてほしいと犬は知ってる〇   ちゃらぽっこ 壁に椿象ぶちあたりテレビの首相の鼻先にとまる〇   治療止めし和顔の患者は医師なりき知の苦しみを持ちてありけむ〇   つぎつぎと花屋は箱を運び込み菊の香満ちる喪の家となす〇   津波来ればあなたは逃げよ僕は犬と残るこの愛どう考えるべき〇   デン...

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「木下のりみ第三歌集『真鍮色のロミオ』(・2022年)」を読む(其のⅢ)      「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか?

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〇   死者となりてゆらぐことなき存在は十年ベッドに動かざりし姑〇   試着する春服はみどりやがて来る季節のすみにたたみ皺あり〇   秋冷にけやきは立てり青蝉の行き止まりかも尽く尽くと鳴く〇   白梅にかすむ苑生は養花雨にぬれてこばめり人の気配を〇   末黒野にふたたび野火のかぎろいを見せたり村は夕映えのとき〇   生物学者のお持たせカメノテ頭無く甲羅のなきをゆでて食せり〇   戦後初の戦闘に死ぬ...

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「木下のりみ第三歌集『真鍮色のロミオ』(・2022年)」を読む(其のⅡ)      「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか?

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〇   重なれる山の果のはたた神しのつく雨をひきつれて来る〇   徒にては遠き熊野へなめらかな道路すっとばして何しようぞ〇   軽やかに蝶白くいく灼熱の土にその影ひきずるように〇   川土手の野焼きの煙充ちている橋を行くなり火渡りのごと〇   金正恩の傲慢そうなこめかみに果敢に食い込む眼鏡のつるは〇   靴音の周りに真空地帯あり遠巻きにしてすだく虫の音〇   高速道路延ばすとダンプ絶え間なし古道に...

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「木下のりみ第三歌集『真鍮色のロミオ』(・2022年)」を読む(其のⅠ)      「歌集」という拘禁から脱し得た時、「連作」という呪縛から逃れ得た時、一首の短歌の前には、如何なる恍惚境が待っているのか?

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〇   青葱の切り口に水あふれ出て朝の光をとき放ちたり〇   あかつきの部屋に静まるものみなに影が生まれるところ見ている〇   アサギマダラ見つけた報せ言いつぎて南下してゆく黒潮の町〇   暖かくなりて姿を消す鶫そう言えばツイードの上着きていた〇   熱りたつ首相を見れば加速度的に冷めてゆくなりこの人は遠い〇   いさなとり浜の小さなスーパーに四角く切られし鯨が凍る〇   オオカマキリはふと現れて...

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