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詩歌句誌面

読解なくして論評あらず。

今週の「朝日歌壇」より(2021/4/4)

     馬場あき子選

○  守るべき縄張りのまだ無き雲雀空を自在に広々と飛ぶ  (東かがわ市)桑島正樹

 首席。
 「雲雀」はヤクザではありませんから、「守るべき縄張り」などは持たないのでありましょう!


○  使わざる御璽の「璽」常用漢字にて「絆」はなぜか外されており  (松戸市)加賀昭人

 次席。
 大震災や風水害やアベノミクスや菅政治、更にはコロナウイルスと、天災人災続きの昨今に於いては、私たち日本人の多くは、何かにつけても「絆」という言葉を口に出しがちなのでありますが、「絆」という言葉には、必然的に気安さや軽薄さが伴いがちであり、その点が留意されての除外措置なのかも知れません!(などと言ったら、ムラハチブにされたりしましょうか?)


○  コーラスの一員我は若きらの間にありて姿勢を正す  (岡山市)若林とし子

 三席及び佐佐木選の末席。
 「メゾソプラノの若林とし子さんは、姿勢を正し、もう少しシャキッとした声を出して下さい!」などとの不満の声が、あちらこちらから聞こえて来そうな気配なのである。


○  極小のドローンのごとき蒲公英の絮追う視線が絡まる教室  (千葉市)愛川弘文

 四席。
 辺陬の地・みちのくのとある高校の一年三組の5時限目の「教室」に「極小のドローンのごとき蒲公英の絮」が飛び舞うのは、季節柄致し方のない現象、即ち、自然天然の摂理、とでも言うべき現象なのかも知れませんが、件の「蒲公英の絮」を、生徒諸君の「視線」が追うに至り、それが授業の妨げとなり、愛川教諭の授業が益々低張を極めるに至る点に就いては、愛川教諭もまた、その責任の一端を追うべきでありましょう。


○  未熟児で生まれし息子十九歳「おかあしゃん」から「おかん」になりて  (岸和田市)西村史

 六席。
 「『おかあしゃん』から『おかん』になりて」は、著しい成長の証しなのである。


○  医療現場へこれから向かふナースたちの卒業式にて「花は咲く」弾く  (岡崎市)戸田陽子

 七席。
 岡崎市立看護専門学校の卒業式風景に取材した一首でありましょうか?

        「花は咲く」  岩井俊二作詞・菅野よう子作曲・内田ゆう子編曲

     真っ白な 雪道に 春風香る
     わたしは なつかしい あの街を 思い出す

     叶えたい 夢もあった
     変わりたい 自分もいた
     今はただ なつかしい あの人を 思い出す

     誰かの歌が聞こえる 誰かを励ましている
     誰かの笑顔が見える 悲しみの向こう側に

     花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に
     花は 花は 花は咲く わたしは何を残しただろう
   
     夜空の 向こうの 朝の気配に
     わたしは なつかしい あの日々を 思い出す

     傷ついて 傷つけて
     報われず ないたりして
     今はただ 愛おしい あの人を 思い出す

     誰かの想いが見える 誰かと結ばれてる
     誰かの未来が見える 悲しみの向こう側に

     花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に
     花は 花は 花は咲く わたしは何を残しただろう

     花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に
     花は 花は 花は咲く わたしは何を残しただろう

     花は 花は 花は咲く いつか生まれる君に
     花は 花は 花は咲く いつか恋する君のために


○  氷塊はところどころにあるもののスパイクはずし春のみち蹴る  (盛岡市)山内仁子

 八席。
 スパイクタイヤは、アスファルトの粉塵が社会問題となり、今では法律で定められた指定地域の雪や凍結のない道路での使用は禁止されています。
 しかし、指定地域内の雪道や凍結道路では使用できるなど、スパイクタイヤの使用は全面的に禁止されているわけではありません。
 指定地域以外では、スタッドレスタイヤを使用することが、環境保全や健康のためにも役立ちます。
 最後に、車を所有されている方は、チューリッヒの自動車保険をご検討ください。
 万が一の車の事故・故障・トラブルに備えておくと安心です。


○  館内は観光客で賑わいて戦艦大和は無言のままに  (下松市)内山春日

 九席。
 緊急事態宣言が解除されたとばかりに「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」に繰り出す「観光客」の愚劣さも然る事ながら、平和憲法をもて如何なる種類の交戦権をも放棄したはずの平和日本のマイナス遺産でしかない「戦艦大和」を日本海の海底から掬い上げて来て、観光の目玉として入館料稼ぎを目論んでいる呉市当局の反省の足りなさや時代錯誤は、この際、大いに批判されなければなりません!
 「戦艦大和」は我が国の科学技術の粋を結集して建造されたのではなくて、軍国主義日本の無知・無能・愚昧の証明なのである!


○  ドローンにて猟犬の吠え声撒き散らし鹿・猪出るを撃つらし今は  (舞鶴市)吉富憲治

 末席。
 傍迷惑な事この上無しの振る舞いである!  

今週の「朝日歌壇」より(2021/4/4)

     佐佐木幸綱選

○  海風に吹き上げられて霧となる曽々木海岸厳冬の滝  (石川県)瀧上裕幸

 首席。
 取材源は、石川県珠洲市真浦町に在る「垂水の滝」である。
 件の「垂水の滝」とは、「白糸のような滝が、山から海へと直接流れ落ちる全国的にも珍しい滝。輪島市と珠洲市の境目にある八世乃洞門新トンネルのすぐそばにあります。能登の寒い冬の時期には、日本海から吹きつける強風により滝の流れが上空に吹き上げられ、そのまま凍結することもあります。別名は〈逆さ滝〉とも呼ばれるこの滝は、まるで白竜が天へと昇っていくように見え、幻想的な光景が広がります」とか?
 恥ずかしながら、私・鳥羽散歩は、未だ能登の「垂水の滝」を実見したことがあのません。


○  田を植えて稲を刈るとふ当たり前の景色はフレコンバックの彼方  (福島市)安斎真貴子

 次席。
 「当たり前がまだまだとりもどせない福島」とは、選者・佐佐木幸綱氏の寸評でありますが、「田を植えて稲を刈る」は必ずしも「当たり前」の事とは言えません。
 一見すると当たり前のように見える「田植から稲刈り」までの農作業には、お百姓さんたちの並々ならぬ苦労があるのであり、私たち首都圏の消費者は、彼ら、東北地方のお百姓さんたちに感謝しなければなりません。
 ところで、本作の大意は、「田を植えて稲を刈るとふ当たり前の景色、即ち、農作業や田園風景はフレコンバックの彼方に在る」ということになりましょうが、朝日歌壇の入選者諸氏は、如何なる理由が在って、「農作業や田園風景を「フレコンバックの彼方に配置しようとする」のでありましょうか?


○  福島で生きる覚悟の音生るる子が開きたるギター教室  (大和市)澤田睦子

 三席並びに馬場選の五席。
 被災地福島は、一介の青年に過ぎない作中の「子」が「ギター教室」を開いて生計を立てられる程にも著しく復興しているのでありましょうか?
 仮にそうであるとしたら、私も福島県の浪江町辺りで短歌教室を開いて暮らしたいと思います。


○  滑り出す選手を映すジャンプ台ドイツの空に鰯雲あり  (富田林市)芝田敦

 四席。
 秋空に小さな無数の雲が疎らに薄く広がっている雲のことを「鰯雲」と言うのであり、話がいくらドイツでも、ジャンプ大会が行われている真冬の空に「鰯雲」が広がっているはずはありません。
 したがって、本作の内容は、極めて根拠の薄い話と推測せざるを得ません!
 ところで、加藤楸邨作に「鰯雲人に告ぐべきことならず」という名句が在りますが、本作の作者に於かれましても、こんなにも根拠の薄い作品を人前に曝け出したりしてはなりません!


○  カブトガニはまち海月を可愛がる長浜高校水族館部  (東京都)夏目たかし

 五席。
 愛媛県立長浜高校(通称・長校)に、我が国初の水族館が附設されて二十周年の春を迎えましたが、件の長高水族館運営の担い手となっているのは「長浜高校水族館部」の生徒たちです。
「水族館部の活動は、大きく2つあります。1つ目は、自分の担当水槽のメンテナンス、そして2つ目は班活動です。水族館部には3つの班があります。繁殖班は、クマノミなどの繁殖に挑戦します。イベント班は、ハマチショーなどの公開日のイベント企画や展示物の充実を図ります。研究班は、クマノミやクラゲなどの研究に取り組み、様々なコンテストで成果を上げています。長高水族館一般公開日は、毎月第3土曜日11:00~15:00です。ぜひ、生徒たちの頑張る姿をご覧いただければと思います」とは、「生徒一人一人を大切にする教育を推進」する、愛媛県立長浜高校のホームページに記載されている記事を無断転載させて頂いたものであります。
     赤児よりハマチや海月を可愛がる長浜高校水族館部!


○  シベリウス、ラフマニノフと雪の降る国の旋律津軽に馴染む  (五所川原市)戸沢大二郎

 六席。
 本作の作者の居住地・青森県五所川原市の人々の暮らしの中では、シベリウスやラフマニノフといった北欧の作曲家の旋律よりも、もっとずっとずっと津軽三味線の旋律の方が馴染んでいるのではありませんか!
     福士りつ・吉幾三に奈良光枝・井沢八郎・菅原津々子!
     

○  コンビニもファミレスも無いこの島の自給自足の「不便」楽しむ  (長崎市)中山憲雄

 七席。
 作者みずからが「この島」での生活を「不便」と感じている以上は「『不便』を楽しむ」という言い方は、単なる負け惜しみに過ぎません!


○  木の枝に発光体となる鷺の七つ八つ見ゆ春の黄昏  (箕面市)大野恵美子

 八席。
 「木の枝」に止まっている七羽か八羽の「鷺たち」にそれぞれにそなわっている目玉が「春の黄昏」の残り陽を浴びて輝いている光景に取材した一首でありましょうか。


○  十年は昔にあらず慰めは未来にならず子の墓洗ふ  (盛岡市)及川三治

 九席。
 寡聞にして、私・鳥羽散歩には、「慰めは未来にならず」という、三句目から四句目までの文意がイマイチ解りません? 

今日の一首

○ オルガンやハアモニカとは違う

古雑誌を読む(『短歌』2021年1月号)

     『電話会議に』 篠弘(まひる野)


○  柔らかき耳朶を指に揉みながら探しつづくる書棚のはざまに

○  必ずや出でてくるなり探さねばならぬ資料のあと二、三あり
立井す利れゃ炉

○  起床する時刻セットしいねぎはに焦る自分を粉れゆかしむ

○  みづからは歯止めが効かず身をもって仕事を減らすこと怠りぬ

○  皺ばむを鏡に見入ることなけれ病めばやつかむ顔となるまで

○  通院の便に欠かせぬものとしてまた三年の免許あらたむ

○  駐車場ある病院を頼りとしこぶし並木をアクセル踏めり

○  立論の深みに入り込めずして物言ひなづむ電話会議に

.○  定年を今年迎ふる言ひ分のはげしき人の黙せる日あり

○  著作権の放棄うながす一枚のコピー配らる会の終りに   

古雑誌を読む(『短歌』2021年1月号)

     『歳月』  尾崎左永子


○  神杉の林を漏るる冬日光浴びつつ心浄まりゆけり

○  富士の向うにいま冬の日が落ちてゆくわが残命を犒ふごとく

○  「顧みて己れに恥づるなかりしか」海軍兵学校自省ことば

○  〝雨ニモ負ケズ〟生き来しわれが卒寿過ぎていま凡々とTV観てゐる

○  遠からず世を去るわれと知りをれど夜半の窓洩る月光浄き

○  無理を通すことなく過ぎし生といへ知らず傷つけし人もあらむか

○  願はくば眠りの内に穏やかに世を去る運命あれかし吾に

○  死ぬまでに生きねばならぬ人間の運命さしづめ避けがたくして

○  すでに死を怖るることも消え去りてただ穏やかに時は往くのみ

○  生も死も己れの意思にあらざるを改めて知る卒寿のわれは

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Author:鳥羽散歩
卑しくも<詩歌ブログ>を名乗る以上は、イラストやカラー写真で以て読者に取り入ろうとしてはなりません。ましてや、田舎町の安手のレストランで食べた料理のカラー写真で以て読者を幻惑させようとするのは論外です!当ブログは、カラー写真やイラストの類の夾雑物は一切無しの<詩歌ブログ>です。

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